第6話
裏庭に生えている木の下には、王太子と浮気女の姿がありました。
ここは、図書室の奥の窓から、よく見えるので、写真を撮るには、適しています。
…しかし、王太子ともあろうお方が、こんな誰にでも見られる危険性のある場所で、堂々と浮気をするなんて、まったく何を考えておられるのやら。
まぁ、誰にでも見られているから、噂が立っているのですけどね。
ってか、噂じゃなくて、事実ですし。
次期、国王があんなんじゃあ~とか、影口言われているのに、気づかないなんて、とんだ鈍感野郎です。人の上に立つには、多少鈍いほうが、いいとは言いますが、鈍すぎやしませんか。と、正直、私は思ってしまいます。
おかげで、婚約者の私まで、舐められる羽目になっております。
まぁ、あんまりにもご自分の立場を理解されていない方には、罰といいいますか、仕置きといいますか、見せしめというの名の処刑を行っておりますので、別に気にはしませんが。
お金がないと困るのは、どこの貴族だろうと当然のこと。
私もまだ、子どもですので、親にどんどん告げ口しちゃいます。
ええ。こういう時こそ、親の力を使ってなんぼです。
親ガチャSSRの私に喧嘩を売ったことを後悔させて、なんぼです。
おかげで、友達はおりませんが、ええ。別に気にしてません。
「パパラッチは、ご遠慮ください」
「え!?」
ぱしゃぱしゃと夢中になって、シャッターを切っていれば、急に誰かに遮られ、驚いて、顔を上げてみれば、にっこりと笑う第2王子、エドマンド王子の顔がありました。
私は、あんまりにも驚いて、口をパクパクさせるしかできません。
いつ、帰ってこられたのでしょうか。
「ふふ。驚いた?」
「いつ、帰ってこられたんですか」
「ちょっと前」
「そんな、知りませんでした」
「第2王子のことなんて、どうでもいいからね。興味ないんだよ。だから、噂すら流れない」
肩をすくめておどけているが、実際はそんなことありません。
第2王子は、国民どころか、貴族の噂の的になっております。
理由は、様々ですが、王家の特徴である。美しい銀髪と青い瞳を持ち、美しさと聡明さから、他国の姫君からの婚約話で、持ち切りなのも納得するくらいの美少年なのです。
スキャンダルなど、流れたこともなく、しつこいパパラッチたちにも笑顔で手を振るくらい愛想がよいのが、評判です。
他国の催しにも積極的に参加をしていて、重役とも仲が良いと聞いております。そのせいで、あまり自国にいることはなく、世界中を飛んでいる忙しい方。
次期国王にふさわしいのは、第2王子だ、という声を上げる方は少なくありません。人望が厚く、王子としての品格と人気を兼ね備えた方なのです。
そんな方がどうしてここに…。
「面白いものを見ているね。君にしては、趣味が悪い」
「見たくもありませんが、しかたありません。これも円満な婚約解消のためです」
「えっ!?ついに婚約解消してくれるの?」
「ここまで、馬鹿にされて、付き合う女がどこにいるというのです」
「やったー!」
「は?」
私が、婚約解消して、なぜ諸手を上げているのです。
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