第8話 壱与

 真の黒幕は壱与いよという人物だったのだ。彼女は毒の仕込まれたペンで金閣寺の近くで小人を襲いかかった。小人は素早い身のこなしでドブに飛び降り、ドンブラコドンブラコと逃げた。


 卑弥呼は京都の南にある鳳凰館ほうおうかんという洋館に逃れていた。

 自分を裏切ったのが壱与いよだと知って驚いた。日本の弥生時代3世紀に、『三国志 (歴史書)・魏志倭人伝』中の邪馬台国を都とした倭の女王卑弥呼の宗女そうじょである。宗女は、同宗(一族・血縁・姓)の女性、特に世継ぎとされる女性を指す言葉。

 卑弥呼の後継の男王の次に、13歳で女王になり倭をまとめたとされる。

「どうして?」

 卑弥呼のすぐ近くに控えていた韮はシャーロット・ケイト・フォックスを思い出した。連続テレビ小説『マッサン』は面白い。

 卑弥呼は独身で未婚だった。だから、未婚で童貞の韮には眩しく思えた。

 

 倭国には元々は男王が置かれていたが、国家成立から70〜80年を経たころ(漢の霊帝の光和年間)倭国乱れ、歴年におよぶ戦乱の後、女子を共立し王とした。その名は卑弥呼である。女王は鬼道によって人心を掌握し、既に高齢で夫は持たず、弟が国の支配を補佐した。1,000人の侍女を持ち、宮室や楼観で起居し、王位に就いて以来、人と会うことはなく、一人の男子が飲食の世話や取次ぎをし、巡らされた城や柵、多数の兵士に守られていた。


 この戦乱は、中国の史書に書かれたいわゆる「倭国大乱」と考えられている。


 卑弥呼に関する「魏志倭人伝」のこの「鬼道」の記述から、卑弥呼は呪術を司る巫女(シャーマン)のような人物であり、邪馬台国は原始的な呪術国家とする見方がある。一方で、弟が政治を補佐したという記述から、巫女の卑弥呼が神事を司り、実際の統治は男子が行う二元政治とする見方もある。


 

 

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