第14話 特待生待遇はいかがですかな

「素晴らしい。海野うみのまつりくん、キミの実力はよくわかりましたな」


 呼び出された学園長室で、僕は学園長からお褒めを受けた。

 ん? やる気がない生徒は見ればわかるとか言っていたジジイはどこへ行った?

 その旨を伝えてみると学園長は苦い顔で「申し訳ないですな」と笑った。


「生徒ひとりひとりの実情を把握できていなかったこと、真摯に謝罪させていただきますな。学園長として、私も未熟だったと反省するところですぞ」


「はあ、そうですか……」


「とりわけレベル9! まつりくんのような逸材を見逃してしまうとは、社会にとって大きな損失でした! キミにはぜひとも特待生として学園に通ってほしいですぞ!」


 特待生待遇が悪いとはおもわないんだけどなあ……

 なんとなく、そういう特別扱いが嫌で、僕は一般入試で入学したわけだし。

 いまさらそれをひっくり返す気にはなれないのが正直なところだ。

 学園長は「うーむ、謙虚謙遜おおいに結構ですなあ」と好ましそうに笑った。


「ではどうでしょうか? 立場は現状のままで、高レベルの能力者が集まる合宿や能力者の部活動、校内大会などに参加していただくというのは?」


「いや、僕は帰宅部がいいので」


「青春の謳歌は学生の本分ですぞ! 大いに学び、学友と切磋琢磨するべきですな!」


 めんどくさいな!

 学園長、根は悪い人ではないのかもしれないが紋切り型もんきりがただ。

 かくあれ、かくあるべしっていうのは、あんまり僕の好きな考え方ではない。

 偉い人を無下にするわけにもいかず、僕が対応に困っていると……


「その必要はないわ」


 どこかで聞いたような天の助け……有栖川先生があらわれた! サンクス!

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