第76話
凛理とルハから教えてもらった配信サイト――〝
裏社会で活動をしている犯罪者さんたちが主に使用しているサイトらしい。これを使ったらどうかと言われた当初は憚られたが、僕がもっと有名になれば僕やペットたちを狙う犯罪者たちはこれから増え続けるであろう。
そこで、僕を狙う犯罪者たちへの
――そして時は遡り、本拠地に乗り込む数時間前。
自分の家を出ると同時に、とある人とばったり出会う。
「あら、もう出掛けるのかしら? 丁度良かったわね」
「えっ、
インターホンを押そうとしている天宮城さんがそこにいた。
どうしよう……。「今から犯罪者さんの配信サイトで配信しながらシャドウファングの本拠地乗り込みます!」とか言ったらピーンマン料理の刑とかに処されるかもしれない!
なんとかして回避しなければと思い思考を巡らせていると、後ろから凛理が僕に言葉をかける。
「安心してくださいまし。彼女はワタクシが呼んだ協力者……もとい、共犯者ですわ。裏配信サイトのことも伝えていて手伝ってくれるそうですの」
「な〜んだ、びっくりしたー。えへへ、でも天宮城さんも来てくれるなら心強いね!」
「ふふ、私は咲太君に随分高く買ってもらえてるみたいね。……まぁ凛理ちゃんから聞いた時はすごい驚いたけれど……」
「おほほ、申し訳ございませんわ♪」
なんだかいつのまにか天宮城さんも凛理が仲良くなっている気がする。
というか、天宮城さんは本拠地に乗り込むという案を僕が出した時に一緒にいたから知っていたけれど、止めないのだろうか。
「天宮城さんは止めないどころか一緒に来てくれるの? 犯罪紛いなことな気がするけど……」
「まぁ、ね。……はぁ、この際だから言うわ。その……たっ、大切な人……というか友達が困ってるのに何もしないなんてことはできないわよ! 友達として力になりたいって心から思ってるし、あなたが気にする必要はないからっ!!」
「天宮城さん……!」
そっぽを向き、耳まで赤くしながらして心内を明かす。その言葉は感慨無量であり、ジーンと僕の心に響いた。
嬉しさのあまり天宮城さんに抱きついてしまったが、逆にぎゅっと抱きしめ返されて優しく頭を撫でられる。
「あ、あまり撫でないでください……恥ずかしい……」
「ふふっ、可愛い……♡」
チラリと天宮城さんの顔を見たのだが、出会った時のクールな雰囲気の彼女からは想像できないほど柔らかい笑みを浮かべていた。
なんと言うか……
敵地へ襲撃する前とは思えないほどまったりとした雰囲気だったが、背後からピシャリと冷水を浴びさせられたように言葉をかけられる。
「――ねぇさくた、もうそろそろ行こーよ。そんな女とイチャイチャしてる時間が勿体無い」
「……あぁ、貴女がルハちゃんね。配信で見たわ。初めまして」
ルハと天宮城さんが目を合わせた途端、火花がバチッと散った気がした。
「そんなに睨んでどうしたのかしら。可愛い顔が台無しよ?」
「別に睨んでないんだけど。そっちが勝手に睨んでると思ってるだけなんじゃない? ってかさ、早くさくた離してよ」
「妬いてるの? 一緒にハグしてあげてもいいわよ」
「いらない。……ってか、あの有名配信者のあまみやってハグでしか好意を伝えられない可哀想な人だったんだね」
「……へぇ。なんだかまだ言いたげな顔ね」
「別に。そっちこそ言いたいことあんなら言えば?」
天宮城さんの足元の地面はパキパキと凍て付き始め、ルハは太い尻尾を鞭のように床に叩きつけて大きな音を立てて威嚇している。
二人に挟まれてる僕のことを忘れて喧嘩(?)をしてる気がする……。
「凛理助けてよ〜……」
「めんどくせぇですし、こういう女同士の争いは無闇に突っ込むとこちらが死にますのよ。甘んじて受け入れてくださいまし」
「そんなぁ……」
……結局、移動中でも二人の険悪な雰囲気が続き、彼女らの仲が深まることなく本拠地まで到着するのであった……。
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――そして、Untubeの初配信がスタートしたとこまで時は進む。
「いや〜、大変だったなぁ……」
◆なんかもうお疲れですやん
◆今なら弱っててチャンスでは?
◆↑本体が弱ってても周り(化け物)がパーフェクトコンディションなんよ……
◆ほんとに配信できるんか?w
◆お子ちゃまはさっさと帰りな
◆ってか何するつもりなんだよ?
「あ、そういえば言ってなかったですね! えーっと、端的にいうとシャドウファングを壊滅させに行きま〜すっ!!」
◆は?
◆はぁ!?
◆まwwじwwかww
◆えぐいてェ!w
◆頭のネジぶっ飛んでるやつとは聞いてたけど流石だな
◆成功したら俺らよりすごくなっちまう
シャドウファングの本拠地である新潟県に存在するダンジョン――雷霆の
僕以外の三人もすぐそばに居るけれど、配信には映っていない。色々と裏で手回ししてくれるが、僕一人で実行ということで犯罪者さんたちに恐ろしさを知らしめる……という作戦らしい。
「さてと。じゃあ早速やろっかな。おいで、
鍵で呼び出したのは、この前のダンジョンで僕を操っていたクラゲだ。巨大かつ発光していて目立つが、天宮城さんがあらかじめ結界を張ってくれているので外からバレることはない。
そして、この拠点から脱走しようとするものをここで止めておくというのが、クラゲのクララの役目である。
「ふっふっふ……なんかスパイのミッションみたいでテンション上がりますね!」
本拠地の入り口前まで近づいてきたが、重厚な扉があって入れそうにない。
◆いきなり馬鹿でかい幻獣呼び出しやがった……
◆くそ目立つんだが??
◆スパイのミッションとはw
◆ま、まぁここからこっそり潜入すんねやろ
◆ダクトとか下見しないでいいの?
◆こっそり行くのは地味だよなー
◆あの扉からは流石に入れねぇだろ
「まぁでも潜入方法は決めてないので、コレでいきまーす!!」
僕は配信カメラの後ろにいる凛理に合図をした。すると武器を構え、扉に向かって放つ。
――チュドォオオオオオン!!!!
扉が木っ端微塵になり、大きな入り口の完成だ。
◆ファーーwwww
◆スパイのミッションとは……(二回目)
◆正 面 突 破
◆厳重な扉……お前の活躍を三秒くらい見ていたぞ(白目)
◆スパイのやることじゃなくて草
◆蛮族かな?
◆もうめちゃくちゃだよw
◆お前ら備えろ! サクたんはこれからがやばいからな!?
◆もうワイよりアウトローで萎えた……
「よし、それじゃあレッツゴーー!!」
こうして、雷霆の
[あとがき]
本格的に攻略を進めるのは次回からです!
そんでもって、天宮城さんがヒロインしてる気がするッ!カワイイカワイイネ……。
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