第6話
「失礼しまーす。」
コンコン、と2度ノックをすればどうぞ、と部屋の中から返事が返ってくる。
生徒会とはほとんど関わりのない私は生徒会室に入るのは初めてで。・・・なんか少し緊張。
ゆっくりとドアを開ければ、中には2人の人がいた。
1人は机に向かって何か書類のようなものに文字を書きこんでおり、もう1人は壁側にズラリと並べられている多くの本に手を伸ばしている所で。
「あら、どうしたの?」
本に手を伸ばしかけていた女性は不思議そうに私たちを見つめ、そして手元のノートに目線を移す。
「・・・ああ!もしかして花巻先生に頼まれたの?」
「そうです。」
「そっかそっか!ありがとう。」
そういって彼女はふんわりと微笑む。
女の私でも見惚れてしまいそうなくらい綺麗な顔立ち・・・いや、顔だけではない。美しいオーラが溢れ出ている。そしていい匂い。
「2年生?初めましてかな。副会長の
そう自己紹介した彼女は、微笑んだまま1歩私たちに近づいた。
・・・そういえばこの声はよく聞いたことがある気がする。生徒集会などの司会は副会長が務めているのだろう。
「彼のことは分かるかな?生徒会長の
舞先輩の紹介で、机に向かっていた男の人が手を止めて顔を上げる。
きっちりと着こなした制服に、カックカクの眼鏡。彼のことは分かった。
・・・なんせ今日の昼に覚えたばっかだからね。
会長は特に何かを言うことはせず、小さく会釈をしてからまた作業に戻る。
「ごめんね、重たかったでしょ。」
いえ、と短く答えた春原くんに、
花巻先生いつも溜めちゃうのよね、と舞先輩は少し困ったように微笑む。
ノートを生徒会室の机の上へと移した私達は、手を振ってくれる舞先輩に会釈をしつつ、教室を後にした。
「・・・ねえねえ春原くん。」
「なに?」
「舞先輩、いい匂いしたね。」
「・・・」
「・・・秋山。」
「はい。」
「気持ち悪い。」
「ごめんなさい。・・・えへ。」
春原くんにドン引きされちゃいました。
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