拝啓、親愛なる願い星へ
たると
いちばん最初のお星さま
あるところに、心優しい男の子がいました。
困っている人は放っておけない性格で、村の誰からも好かれていました。
そんな男の子はある日、かみさまに出会いました。
かみさまは、まんまるなお月さまの浮かぶ夜にひとりぼっちで泣いていました。
その姿があんまりにもきれいで、さみしくて、男の子は「まるでお月さまみたいだ」と思いました。
空からは、お月さまの光だけが注いでいました。それ以外の光は、ありませんでした。
空にはお月さまがひとつぽっかりと浮いているだけで、あとは真っ黒なカーテンにおおわれたように真っ暗でした。
心優しい男の子は、やっぱりそんなかみさまのことを放っておけなかったので、友達になることにしました。
二人は長く長く楽しい時間を過ごしていました。
でも、男の子は人の子で、かみさまはかみさまでした。
ざんこくなほど、命の長さが違いました。
男の子はかみさまをおいて死んでしまいました。
かみさまは泣いて泣いて泣いて、たくさんたくさん泣きました。その間じゅう、おひさまは顔を出してくれませんでした。
困ってしまった村の人たちは、男の子のおはかにお祈りしました。
「どうかどうか、かみさまをしずめてください」「どうかどうか、ぶあつい雲をはらしてください」
男の子は困っている村の人たちがかわいそうで、なによりまたひとりぼっちになってしまったかみさまがかわいそうでたまらなくなりました。
どうにかおはかの下から抜け出して、大事な大事な友達の元へ向かいます。
男の子の姿を見たかみさまは、その場でばったりと倒れて死んでしまいそうなくらいに大喜びしました。
男の子は、それがうれしくてかなしくて笑いました。
気づかずに、かみさまは男の子を抱きしめます。今度こそずっとずっと一緒にいようと。
その男の子がいちばん最初のお星さまです。
それからときどき、死んでしまったかわいそうな子ども達がお星さまの仲間入りをするようになりました。お月さましかなかった夜空はどんどん賑やかになっていきました。
ひとりぼっちのかみさまは、もうひとりぼっちではありません。
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