第3話


 男女から可愛いと絶賛されるその子は『さく』ちゃんと呼びましょう。

 そのこはほんわかしていて少し天然が入ってそうな子であった。もちろん可愛いから言い寄る男子もいた。

 言い寄っていた男子は『いり』くんとでも呼びましょう。

 いりくんはさくちゃんとは正反対に嫌われ者だった。何故そんなにも嫌われるのか……。物の言い方が最悪だったからだ。そしていつも人の悪口を言っている。専門知識の実力で周りからギリギリ許されているイメージが強い。

 「やめといたほうが良いよ。仲良くしないほうがいいよ」

 もちろん周りはそういうに決まっていた。

 さくちゃんはというと、

「私も最初話しかけたときは怖くて、でも実際話すとそうでもないかもしれないと思った」

と感じたらしい。

「いや、いりくんはさくちゃんにすっごくベタ惚れしてるからさくちゃんに対しては優しい方だと思うよ」

周りの誰もが感じたことだ。

そう。いりくんは好きな子には激甘であった。

「今、凄く思わせぶりだと思うよ」

「そうだよね……私も今彼氏がいるから思わせぶりは駄目だよね」

「え、さくちゃんはその気はあるの?いりくんに」

「ないよないない。でも、なんかいりくんが振られた相手?とは喋りたくないんだって。授業によって一緒の班の時があるから気まづくなるのはなんか嫌だし……」

 最初はこんな感じであった。そして、ある時。

「実際のところどうなの?今は」

と、唐突に始まった恋バナで新たな進展が発覚するのだった。


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