厨二病社会人は転生したら無双する 〜異能が存在する現代日本に転生した元一般人は、地獄の特訓で世界最強になる〜

いふる〜と@毎日七時投稿!

幼少期編

第一話 『ハロー新世界』


「祈!!よく頑張ったな!!!」


「えぇ、、、!!!私、頑張りましたわ!!」


「お疲れ様でした、祈さん。元気な男の子ですよ。」


そんな会話を、汗水たらしながら行うのは3人の大人たち。一人の女の人は息を切らしながら新たな生命である男の赤子を見つめてうっとりとしていた。


もう一人の男は、自らの妻がその激しい痛みと命の危険も伴う出産を無事終えたことにより安堵して、少し疲れた表情で赤子と妻である祈を交互に見つめる。


「あぁ、、、貴方が私の息子、、、」


「名前は、決めていたのでいいか?」


「えぇ、私とあなたの息子だもの。名前は《霜月神楽》で決定ですよ。」


「もちろんさ!!!」


赤子を抱きかかえて、声音を喜色に染めながらそんな言葉を交わす夫婦。だが、赤子、いや《俺》は困惑から抜け出せないでいた。


「おぎゃあぁぁぁぁ!!!!!!!(うぇぇぇぇぇぇ!!!??ここどこ!!!???)」


一般的な厨二病社会人健一こと俺は、いつの間にか脱線してきたバスに轢かれて異世界へと転生してきたようだった。


当然現代社会で生きてきた俺にとってこの状況は異常事態中の異常事態であり、赤ちゃんになっているとは言え泣き叫んでもおかしくない状況であった。


「《霜在幻塔全知神様》、、、どうか、神楽を霜月の呪いからお護りください、、、」


俺の母親らしき美人な女性が、俺を見て普安の声を漏らす。それは見事なまでのお祈りだった。


(え!!???なんか呪われてんの俺!??)


「おぎゃあああああああ!!!!!!!」


まぁそりゃ、厨二病の俺にとって自分が呪われてるという構造はかなりそそるものがあるため、思わず歓喜のおもらしをしてしまう。すまぬ、まだ会ったばかりの両親よ。


(俺…どうなっちゃうの?)


一抹の不安を抱えながら、俺の異世界人生(パラレルワールド日本)での生活はスタートするのだった。



―――――――――――――――――――――



「おぎゃ。」


転生してからはや1ヶ月。赤子のすぐに眠くなる不便な体と格闘しながらなんとか情報を得ることに成功した。


まずはこの世界にはなんと《異能力》と呼ばれるいわゆる陰陽術的な魔法的な霊術的なものがある。


そして2つ目は俺の家系霜月家は代々相伝の異能力を引き継ぐ大異能力家であり、日本で最も優秀な異能力を引き継ぐ《月煌十二家》の一家であること。


そして3つ目は、我が家が代々異能力者の家系のため、俺にも異能力が備わっている可能性が高いということだ。それに生まれた直後に聞いた呪いとやらもあるし、ますます楽しみになってきた。


「おぎゃあああああああ!!!!!」


「あら、ここ最近すぐにお腹が空くのね?食べ盛りかしら?」


(すまん母こと祈よ、赤ん坊故に感情を制御できずに泣いてしまうのだ。こんな深夜2時にたたき起こして本当にすまん。)


だが、赤ん坊に食べ盛りはないだろう。確かに最近よくお腹が減るし、お腹が減るとなんだか死ぬほどカラダが怠くてインフルにかかったみたいになるけども。


「いや、祈。これはもしや《霜月の呪い》かもしれん。」


「ッッッ!?本当ですか!?」


「あぁ、霜月の呪いが現れるものは様々な不運に見舞われるが、赤ん坊にとって1番現れやすいのはお腹が減るのと同時に霊力暴走をひきおこしてしまうことだからな。」


俺が叩き起こしてしまったであろう第2の被害者、父親の霜月灯輝は驚きの言葉を発する。え?この腹痛と体の怠さって呪いなの?確かに超しんどいけどなんかショボくね?


(呪いっていうもんだから、血を吐いたり動けなくなったりするもんだと思ってたけど、なんかしょぼいな。)


「そんな!?どうすればよいのですか!?」  


「落ち着いてくれ祈、神楽の命は神楽自身の才能で決まる。」


(え?おれの才能で命運がきまるってマジ?それに霊力とかいうめっちゃ興奮する単語出て来たけどもしかしてそれって、、、)


「赤ん坊が霊力暴走を引き起こして衰弱死する。それが霜月の呪いだ。故の解決方法は赤ん坊自身が自分の霊力を制御できるようになふことである。むしろ、それ以外解決法がない。」


「神楽はまだ生後一ヶ月ですよ!?霊力の制御なんて出来るわけが!?」


「だが、それが出来なければ神楽は死ぬ。だから俺も死ぬ気で神楽に伝えてみせよう。霊力制御の真髄を。」


自分の息子が命の危機に瀕していると分かり、滅茶苦茶慌てる母と唾を呑んで覚悟を決めた父だが、当の本人であるおれはかなりらっかんししていた。


(お?これもしや霊力とやらの激アツ要素を訓えてくれるパターン?よし!全力で覚えるぞ。)


「霊力、魂から溢れ出る生命活動に必要無エネルギーであり、異能力者が自身の身体強化や異能力発動に必要なエネルギー。」


父親である灯輝と半分諦めているが、それでも必死に霊力の説明を行う。だが、今までの赤子たちは俺と違いコトバを理解できないので恐らくだが霊力暴走とやらで死んでしまったのだろう。


「霊力が溢れ出るのは心臓だ。心臓をよく感じて、そこにある暴れているエネルギーを探し出して制御してみせろ。」


「おぎゃあああああ!!!(やったるで!!)」


俺は父さんの指示通りに、自分の心臓へと意識を向けてまだ繋がっていないであろう全神経を集中する。すると、心臓から何かバタバタと暴れてるような暖かいエネルギーのようなものを感じ取る。


(これが霊力か、確かに心臓を打ち付けるように暴れているしこれは身体に影響が出ても無理ないな。)


霊力が暴れているのは感知できた。だが、こいつを鎮める方法がわからんのよな。そこ教えてくれないとこのまま死んでしまうんだが。


「霊力を感知したら、その暴れている霊力を自分の手足と思い込め。すると神経が繋がったかのように思い通りに操れる。」


父さんがもはや棒読みで説明を続ける。まぁ普通の赤子なら絶対に霊力を感知できないから説明しても無駄だから無理もない。


(舐めんなよ父さん。こちとら30年以上厨二病を患って未知のエネルギーや魔法を追い求めてきた患者だぞ。操ってみせよう。)


更に意識をのめり込む。赤ん坊の自分の体が休養を訴えかけてくるがそれは完全無視して、もはや心臓内の霊力にしか意識がない状態にまで持っていく。


(自分の手足、、、手足、、、手足、、、)


俺は霊力を観測しながら自分に暗示をかける。それと並行して俺はあるイメージを膨らませていた。


(霊力を手足と捉えて神経をつなげる。そうすれば脳の電気信号を受け取って自在に操れる。)


俺は大人なら誰でも知っているが、赤子では絶対に実践どころか思考することすらできないイメージで霊力を収めようとする。


「頑張って!!神楽!!」


「負けるなよ、、、神楽、、、」


両親が両手を握って祈りを捧げる。だが俺はそれを意にも介さず霊力の制御に全神経を集中させて、5分ほどが経過した。


(波が、、、消えた、、、)


赤子の時分の心臓から流れでてくるのは、穏やかで、波一つない静かな霊力。それは俺の全身を巡って汗だらけの体を暖めていた。


「やった!!!!!!神楽!!!勝ったのね!!!!!」


「本当に制御してしまうとは、、、これは、霜月家始まって以来の大天才かもしれぬ、、、」


「おぎゃあ!!!!」


霊力の制御に成功した俺の視界には、霊力が紫色の液体のように映っていた。恐らくだが母さんと父さんも霊力を視認できるらしく、俺の穏やかな霊力を見て凄い安堵した表情を浮かべている。


(あ、、、やべ、、、赤ちゃんの体で無理したから反動が、、、)


俺は、本能で語りかけてくる眠気に耐えきれずに、その意識を落としてしまう。最後に聞いたのは、母さんの心配する声だった。


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