第二話 ~四天王 リディア・レヴァンティンとの邂逅~
第二話
「私はお前を認めないぞ!!エルランド・ハーウッド!!」
「なるほどな。魔王の居城ともあればお前も居るのは道理だな。リディア・レヴァンティン」
声の方へと身体を向け、俺はそう言葉を返した。
「魔王様から薄汚い手を離せ!!そもそも、そのお身体はお前が入っていい器じゃないぞ!!」
燃えるような深紅の瞳に怒りの感情を宿らせて、リディアは俺に指を突きつけながら言い放った。
「すまないなレティシア。お前の身体を愉しむのはもう少し後になりそうだ」
「ふふふ。それは残念です。それではお愉しみは夜に取っておくことにしますね」
彼女から身体を離し、俺はリディアへ向き合う。
「さて。四天王 筆頭のリディア・レヴァンティン。魔王軍の幹部であり『参謀』のこの俺に何の用だ?」
もう俺は人間界の『参謀』では無い。
魔王軍の『参謀』なのだからな。
「そ、そんな言葉が信じられるか!!お前のせいで何人の魔族が死んだと思っているんだ!!」
「くくく。それはお互い様と言うべきだろ?リディアの煉獄魔法で何人の人間が焼かれ死んだと思っている」
「黙れ!!敵を殺すのは当然だ!!恨まれる筋合いなど無い!!」
「ははは。ならばこちらとて同じこと。寧ろ直接手を下したことの無い俺の方がまだ綺麗な手をしてると思わないか?」
「く……減らず口を叩いてからに……」
リディアはそう言うと、全身から深紅のオーラを立ち昇らせる。
『煉獄』の二つ名を持つ彼女の戦闘態勢。
どうやらここでやり合うつもりのようだな。
「さて、レティシア。この女はここでやり合おうとしているが、構わないのか?」
戦闘態勢のリディアからは視線を逸らさずに、俺は後ろに控えるレティシアに問いかける。
「ふふふ。構いませんよ?英雄との戦闘も視野に入れて作られた部屋です。全力で戦闘を行っても壊れることは無いでしょう」
彼女は微笑みを浮かべながらそう言葉を返した。
そして、そのままの表情で俺に続けた。
「貴方としても『その身体の性能』を知りたいのでは無いですか?リディアはその打って付けの相手かと思います」
「くくく……なるほどな。良いだろう。当代最強と言われた先代魔王の身体の力を見せてもらおうか」
俺は彼女にそう言葉を返したあと、リディアの前に一歩身体を進める。
「さて。上司の許可も出たところだ。やり合うとしようか、リディア・レヴァンティン」
「消し炭にしてやる!!喰らえ!!煉獄魔法・
両手を前に突き出しながらリディアがそう叫ぶと、膨大な熱量を持った煉獄魔法が俺の身体へと迫った。
だが、それを眺めながら俺はなんの恐怖も覚えないことに違和感を覚えた。
「まずは『恐怖の無効化』です。同等、もしくは格下の攻撃に対して恐怖を覚えることはありません」
「なるほどな。つまり俺にとってリディアは『格下』という事だな」
なんの防御も取らずに煉獄魔法の直撃を受けた俺。
しかし、なんの熱量も感じることは無かった。
「次は『ダメージの無効化』です。同等、もしくは格下の攻撃に対してダメージを受け付けることはありません」
「格下に対しては無類の強さを発揮するな。だが、この程度で最強とは笑わせる。まだあるんだろ?」
身体にまとわりついた炎を手で払い除け、俺はレティシアに笑いかける。
すると、彼女は微笑みながら言葉を返した。
「ふふふ。もちろんです。先代魔王の『固有能力』は三つあります。今のは能力の内にすら入りません」
「固有能力……リディアの『煉獄』やレティシアの『読心』のようなものか?」
「はい。先代魔王の固有能力は『束縛』『洗脳』『隷属』の三つです」
ははは。なかなか使い勝手の良さそうな固有能力だな。
「まずは両手を前に出して『力』を込めてください」
「了解だ」
彼女の指示に従い、俺は両手を前に出して『力』を込める。
すると、リディアの足元から『無数の鎖』が現れた。
「な、なんだこれは!!う、うわぁぁぁ!!!!」
「
「なるほどな。発動まで若干のタイムラグがあるのが気になるが、上手く使えば有用だな」
俺はそう言いながら縛り上げたリディアの元へと歩み寄る。
「くくく。どうしたリディア・レヴァンティン。四天王 筆頭ともあろう者がこんな様で良いのか?」
「く、くそう!!先代魔王様の力でしかないのに!!いい気になるな!!」
ガチャン!!ガチャン!!と彼女は鎖を軋ませるが、脱出することは叶わないようだった。
「さて、レティシア。残る二つは『洗脳』と『隷属』だったな。このクソ生意気な四天王 筆頭を洗脳して隷属させるのは構わないのか?」
俺が笑みを浮かべながらそう問いかけると、リディアの表情が恐怖に歪んだ。
「ふふふ。そうですね。私としては構いませんよ?」
「ま、魔王様!!??」
「くくく……上司からハシゴを外されたな。それではリディア……覚悟しろよ」
「相手を洗脳する場合は捕縛の鎖で対象を縛り上げている必要があります。その条件は今は満たしてますから平気ですね」
「なるほどな。ある程度の条件が必要な能力のようだ」
「そして、洗脳する対象と視線を合わせます。『洗脳の魔眼』と呼ばれる物です」
「くくく……そうかならば視線を合わせることにしよう」
俺はそう言うと、リディアの頬に手を添える。
「や、辞めろ……」
「ははは……生娘のような可愛い反応をするじゃないか……さぁ、俺の物になれ……リディア・レヴァンティン」
洗脳の力を込めて彼女と視線を合わせる。
すると、リディアの目から次第に怒りの感情が消えていった。
そして、少しすると彼女からは先程までとはまるで違う言葉が出てきた。
「……エルランド・ハーウッド……さまを……魔王軍の……参謀として……認めます……」
「ははは……効果覿面じゃないか」
「満足していただけて光栄です。貴方の力を借りようと言うのです。このくらいの前払いの報酬は無ければ失礼という物でしょう」
捕縛の鎖をリディアから解き放つと、彼女は力無く地面にへたり混んだ。
「さて、レティシア。最後の固有能力について聞こうか」
「ふふふ。隷属の固有能力は貴方が喜ぶやり方ですよ?」
レティシアはそう言うと、リディアの身体を立ち上がらせこちらに寄越してきた。
「貴方の『精液』を対象の身体に取り込ませること。これが隷属の条件です」
「あはははは!!!!とんでもない条件だ!!!!だが、俺にとっては最高の条件だな!!!!」
「ふふふ。そう言っていただけると思っておりました。ちなみに、貴方の洗脳は私には通用しませんから安心してくださいね?」
「くくく。そうか。残念とも言えるが安心したとも言えるな。お前とは対等な立場で居たいと思っている」
「そう言っていただけて光栄です。それでは私は『二時間ほど』席を外しますね」
レティシアはそう言うと俺の横を通って部屋の外へと向かう。
「あとはどうぞ『ご自由に』してください。人払いはしておきますよ?」
「あぁ。楽しませてもらうことにしようか」
くくく。それでは四天王 筆頭のリディア・レヴァンティンの身体を愉しませて貰おうか。
さて、たっぷりと『隷属』させてやることにしよう。
そして、静まり返った玉座の間で、リディアの甲高い嬌声が幾度となく響き渡った。
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