溺愛系お姉ちゃんヒロインは寝かせてくれない! ハズレスキルでS級パーティーを追放された俺、美少女に拾われたらスキル覚醒しました。加護爆盛りで無双しながら甘々で幸せに暮らします。

みなもと十華@書籍化決定

第1章 閃光姫

第1話 追放された俺は、お姉ちゃんを餌付けする

「おい、何でお前が呼ばれたか分かってるよな! お前はクビだ! 俺たちS級パーティーの中で、お前だけ役立たずなんだよ!」


 パーティーメンバーのグリードが言い放つ。薄笑いを浮かべながら。


「ま、待ってくれ。急に何を言っているんだ」


 俺はアキ・ランデル、S級パーティー煌く剣戟シャイニングソードに所属する冒険者だ。

 クエストを終え宿に帰ったところで、突然仲間からクビを言い渡されたところである。


「聞こえなかったのかよ! アキ! お前は役立たずだから追放するって言ったんだよ!」


 グリードの顔が、明らかに侮蔑ぶべつする表情になった。


「お、おい、このパーティーがここまで大きくなったのは俺の力も貢献していたはずだろ? 俺が皆にバフを掛けたり、作戦やアイテムの管理をしていたのに……」


「はあぁああ!? テメエは攻撃スキルが使えねえだろ! 俺たちは強くなった。もう支援スキルしか使えねえお前は必要ないって言ってんだよ!」


 グリードが言うように、俺には攻撃スキルが無い。俺の固有スキルは【専業主夫】という支援スキルだった。

 人は俺をハズレスキルと言うが、俺の作る戦闘糧食レーションやポーションには様々なバフを掛ける力があるのだ。


 俺たち煌く剣戟シャイニングソードも、結成時は駆け出し冒険者だった。しかし、ここ一年で急成長し、晴れてS級冒険者パーティーへと上り詰めたのだ。


 それを陰で支えていたのは俺だったはずなのだが。



煌く剣戟シャイニングソードには、アキのようなザコは要らねえ! それにお前は地味な陰キャだしダセェんだよ! 華麗なるS級パーティーの中にアキみたいなカスがいると、俺たちの価値が下がるって言ってんだよ! なあ、お前らもそう思うよな?」


 グリードが他のメンバーに話を振ると、横にいたラルフが口を開いた。


「そうだな。アキは用済みだ。もう俺たちは充分レベルが上がったしな。アキ、お前のことを何て言うか知ってるか? 寄生って言うんだ! 俺たち強い者のおこぼれを貰っているのがお前だ。恥ずかしくないのか!」


「そ、それは言い過ぎだろ、ラルフ! 俺だってパーティーに貢献していたのに。な、なあ、サラなら分かってくれるだろ?」


 俺はもう一人のメンバーであるサラの方を向く。魔法職である彼女なら、支援スキルの大切さを知っているはずだ。


「はあ? 分かるわけないでしょ! あんた恥ずかしくないの? 私たちが戦っている後ろでコソコソしていただけなのに! やっぱり男は強くないとね。なによスキル専業主夫って、ウケるわ」


 彼女もグリードと同意見のようだ。冷笑を浮かべて俺を見下している。


「クソッ! こんなのってアリかよ。この一年、仲間として一緒にやってきたのに」


「がっはっはっは! 仲間? テメーを仲間なんて思ったこたぁ一度もねえんだよ! 利用されてたのが分からなかったのか? オラッ、攻撃スキルのねぇテメーには剣も金もレアアイテムも要らねえだろ! 全部置いてけよ!」


 ドガンッ!

「ぐあぁああああっ!」


 グリードの蹴りが腹に命中した。たまらず俺は床に転がりうずくまる。

 床に打ち付けた顔を屈辱で歪めながらグリードをにらんだ。


「ま、待て! 俺のアイテムを返せよ!」


「はははははっ! 誰が返すかアホ! 俺たちは国家冒険者として国王に取り立ててもらうんだよ。用済みのお前は別だがな。まあ、料理道具だけは返してやるよ。こんなゴミは利用価値が無いしな」


 ガタンッ! ガランゴロンッ!


 俺の大事な料理道具を投げ返された。


 今になってやっと気付いた。こいつらは、最初から俺を利用するつもりだったのだと。俺の支援スキルで戦闘を有利に展開させ、レベル上げの道具として利用したのだ。


「今まで荷物持ちと下働きご苦労さん! あばよ!」

「せいぜい他のパーティにでも拾ってもらうんだな」

「あははははっ! こんなハズレスキルの男なんて誰も拾ってくれないでしょうけど」

「「「ははははははははっ!」」」


 奴らの笑い声が遠ざかって行く。俺を利用するだけ利用し嘲笑う声が。


「クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! チクショォオオオオオオッ!」


 惨めだ。何度叫んでも叫び足りない。俺は何の為に皆を支援し続けていたのだろうか。この一年間、全てが無駄だったかのようだ。


 ◆ ◇ ◆




 それから俺は、新たなパーティーを探し歩き回った。しかし、ハズレスキルと噂される俺を受け入れてくれる者はいない。

 どうやら元メンバーのグリードたちが、俺の悪い噂を流しているようなのだ。全てデマなのだが。


「ちくしょう! こんなのってあんまりだろ。パーティーを追い出され、クエストで稼ぐ術もない。新たなパーティーを探そうにも、宿屋に泊まる金も底をついてきた。何で俺がこんな目に……」


 冒険者を夢見て、地方の田舎からここ王都リーズフィールドにやってきたのだ。それなのに、この一年、何の成果も上げられないまま騙され無駄に時間を費やしただけに感じる。


「さて、上着の裏地に隠しておいた金も尽きてきたし、どうしたものか……」


 溜め息まじりに街外れの通りに差し掛かったところで、道端に行き倒れている人影を見付けた。

 どうやら若い女のようだ。


(えっ、女の人が倒れてる! た、助けないと)


「大丈夫ですか?」


 彼女を抱き上げると、美しい青みがかった髪が俺の腕に流れた。まるでシルクのような艶やかさだ。


 歳は二十歳手前くらいだろうか。俺と同い年くらいに思える。

 どうやら女剣士のようだが、白金プラチナ胸当ておっぱいアーマーを必要以上に盛り上げる膨らみとか、短めのスカートから惜しみなく出しまくっている絶妙な肉付きの美脚とか、やたらと目の毒だ。


「んっああぁ……キミは……」

「通りかかった者です。どうかしたのですか?」

「お……お腹が……空いた」

「は?」


 俺の聞き違いだろうか。彼女は空腹だと言った気がする。


「き、昨日から何も食べていなくてね。ははっ、ボクの所属しているパーティは破綻状態なのさ」


 聞き違いじゃなかった。


 よく見れば、彼女の白金プラチナの防具は強力なレア装備のようだ。腰に差している剣も、見るからに強そうな武器に見える。

 こんな上級冒険者のような装備で破綻状態とは何故なにゆえなのか。


(でも、困っているみたいだから放っておけないよな。俺のスキルで何か栄養になるものを……)


「あの、俺で良かったらスキルで食べ物を作れますけど」

「ほ、本当かい!? ぜひ頼むよ!」

 ガバッ!


 行き倒れているはずなのに意外と強い握力で腕を掴まれて驚く。彼女の芸術的に盛り上がった胸当ておっぱいアーマーの隙間から胸の谷間が見え、思わず俺は視線を逸らした。


「すぐ用意しますから落ち着いてください」

「ああ、頼むっ! もう我慢の限界なんだ」

「ち、近い! 近いですって!」

「ああぁ、早くっ! フーッ! フーッ!」

「ちょ、距離感おかしいよ、この人!」


 乱れている髪の間から見えた彼女の顔は、男なら誰もが口をそろえて美しいと言うであろう容姿だった。


 まつ毛が長く少し切れ長の目には、宝石のようなキラキラの瞳が輝いている。凛々しい女騎士のような印象の顔には、すっと鼻筋が通り、柔らかそうなピンク色のくちびるとの対比が印象的だ。


 それだけに容姿と行動のギャップが凄まじいのだが。


 若干、危ない人のような気もするが、行き倒れている人を見過ごすわけにもいかない。

 俺はスキルを使い料理を作り始めた。


「スキル、専業主夫! 創成式再現魔法術式展開!」

 ギュワァアアアアアアーン!


 使い慣れた料理道具にスキルで魔力を込める。俺のスキルが発動した。






 ――――――――――――――――


 新作の異世界ファンタジーになります。

 追放さまぁものですがラブコメ要素多めです。

 裏切った奴らが落ちぶれるのを眺めながら、お姉ちゃんヒロインとイチャラブするのをお楽しみください。


 ちょっとでも面白そうとか期待できそうと思ってくれたら、★やフォローをして応援してくれると嬉しいです。

 ★3でも★1でも思った通りで構いません。

 作者のモチベが上がって喜びます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る