第43話 邪神モッツァレル
第7エリアで暴走したハーピィエルフの石像型ボウギャークを倒してから数日。
ボウギャークを浄化したことにより、壊れた建物なども元通りに。
結果、再び俺たちプリティ☆デビルと脱獄シスターハイドロは第7エリアで指名手配を受けてしまったので、ハイドロも第7エリアには戻れず、当面は喫茶ペチカでお悩み相談シスターとして活躍している。
「マシュマロ林、モッツァレルからこんなものが届いたルナ」
「モッツァレルから? えーと、なになに……果たし状……果たし状?」
ハイドロちゃんとプリデビのみんな~★ モッツァレルちゃんだよ~ん。
明日の朝に大教会に幽閉してるハーピィエルフ教の信者を処刑しちゃうよ~ん。
助けたかったら第7エリアまで出て来いやあ! じゃね~ん★
あ、しょうもない指名手配犯のハイドロちゃんの為に壁門は開けといたよ~ん★
第7管理局最高責任者モッツァレル
「……果たし状ってか、身代金目当ての誘拐犯みたいだな。最後の文以外」
名前載せてるとこだけなんかすごい逆らえないお役所感出てるわ。
「第7エリアで唐突に囚人の処刑が通達されたらしいルナ。そのせいですごい量のあんはぴエナジーが発生してるルナ」
「ホ、ホワイトさん! 急いで第7エリアに向かいましょうですの!」
「ええーちょっと最近バイトが忙しくて疲れちゃっ」
「はやく向かいましょうですの!!」
「はい」
……。
…………。
はい、えーというわけで、またもや第7エリアまでやってきました。
そろそろ移動がめんどくさくなってきたな。チェックポイント設置してファストトラベルとかできないかな。
「いらっしゃ~い。もしかしたら来ないかと思ったわ~」
「信者の皆さんを解放してくださいですの!」
第7エリアの管理責任者、モッツァレル。今回は単身で、ボウギャークも引き連れていないようだ。
普通に戦ったら俺たちの圧勝だと思うんだが……なにか勝機があるのだろうか。
「解放してあげてもいいけど~一つお願い聞いてくれるかな~?」
「な、なんですの……?」
「これからウチが神になるから。ハーピィエルフ教を棄教してウチを崇めなってみんなに伝えてくれる?」
「な、なにを言ってるんですの……? ハーピィエルフ様以外の神なんていないですの。勿論モッツァレル、あなたが神になるなんて意味不明もいいとこですの」
「ふ~ん、そっかあ。じゃあこれを見ても同じことが言えるかな~?」
怪しげな笑みを浮かべたモッツァレルは、懐から小瓶を取り出す。
「あ、あれは……」
「ボウギャークを生み出す薬、アバレールZルナ!」
以前、第8エリアの管理者であるピックルスたちが使っていた謎の薬品。
アレをかけられたアイテムがボウギャークになってしまうのを何度か目撃した。
「これを~? ウチが飲みまぁす! ゴクゴクゴク」
「ええ……」
「人が飲んでも大丈夫なもんなのかの」
「あれはあんはぴエナジーを凝縮した激ヤバの薬ルナ。あんなのを摂取したら……」
「う、うう……!! うわあああああああ!!」
アバレールZを飲んだモッツァレルが突然叫び出し、身体が黒い煙のような物に包まれる。
「ま、まさかアイツもボウギャークに……!?」
「フレイムもあれ飲みたーい」
「やめとけやめとけ」
シュウウウウ……
しばらくするとモッツァレルの周囲を取り巻いていた煙が晴れていく。そしてそこには……
「ボウギャーク……」
「な、なんですの!?」
元の身体よりも数倍の大きさになったモッツァレル。耳は長く尖り、背中には大きな翼、足は頑強な鋭い爪。
「ハ、ハーピィエルフ様……? いえ、あれは……」
「アガメヨ……アガメヨ……ボウギャアアアアク!!」
「ボウギャーク様だ!!」
いやどうみても悪魔的なやつだろあれは。
「ホワイト、フレイム、変身じゃ!」
「おう!」
「はーい!」
__ __
プリティ☆デビルへと変身した俺たちは、ボウギャークと化した第7エリア管理責任者、モッツァレルと対峙する。
「アガメヨ……アガメ……アガガガガ!! ボウギャーク!!」
「ダメだ、バグってきてやがる」
「見た目をハーピィエルフに近づけて神にでもなろうとしたんじゃろうが、既に自意識が侵されておるようじゃな」
「チューズデーがらくにしてあげるの」
「怖い怖い怖い。えっチューズデーちゃん怖いってそれ」
必殺介錯人かよ。
「ああ……あれはまさにボウギャーク神……」
「この国を救ってくださるのはあの方しかおらん……」
「街の連中は結構あの姿に感化されてるヤツがいるな」
「大変ルナ! モッツァレルの力が信仰パワーで増強されてるみたいルナ!」
「マジかよ! さっさと倒さねえと……」
「アガメヨオオオ!!」
ビイイイイイイン!!!!
「うおっあぶねえ!!」
モッツァレルの目からいきなりビームが発射された。いやウソだろおい。X-MENかよ。
「俺の必殺技は管理者責任者相手には使えねえんだよな……サタデー、頼む!」
「承知した! サタデーの、ろーりんぐ☆更生ビーム!!」
ビビビビビビビ!!!!
「ボウギャアアアアク!!」
「あーダメじゃ。相手のビームで相殺されてもうた」
向こうは神を名乗ってるし、更生ビームが効かないのかもしれない。
「チューズデーにおまかせっ!! チューズデーの~モフっと☆社会的炎上パ~ンチ!!」
ボガッ!!
「ボ、ボウギャアア……!!」
「おっ効いてるぞ!! ナイスだチューズデー……ん?」
「おいお前たち! ボウギャーク様になんてことを!!」
「罰当たりな連中じゃのう!!」
「ボウギャーク様、負けないで!!」
「がんばえ~!! ボウギャーク様~!!」
「ま、まずいルナ! 相手にみんなの信仰パワーと応援パワーが行っちゃってるルナ!」
「これじゃあ拙者たちが悪者扱いじゃ!」
「クソッ! どうにかしてプリデビ側にパワーを集めねえと……!」
「……許せねえですの」
「ん? ……ハイドロ?」
「許せねえですの……!!」
ぴこん! ぴこん!
「プリデビ適合者! プリデビ適合者!」
「あっ! 予備のプリデビ☆チョーカーがハイドロに反応してるルナ! こ、これは……」
「あんなのは神でもなんでもねえですの!! アレが崇められるくらいならわたくしが神になるですの!!」
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