第42話 対☆消☆滅



「プリデビのみなさん! わたくしはもう大丈夫です! あのボウギャークとクソ女をぶっ倒してくださいですの!」



「口悪いなこのシスター」



 どうやら第7エリアの管理責任者であるモッツァレルと大教会のシスターであるハイドロにはなにか因縁があるようだ。



「信仰心の無い管理局なんてこの国には必要ナッシングですの!」



「じゃあ税金払えっての~! なにが『わたくしたちがお納めになるのはハーピィエルフ様にだけなんですの』だよ。脱税だぞ脱税~!」



「ああ……なんかすごい現実的なとこで争ってんのね……」



 なんで宗教って税金取られねえんだろうな。



「第7エリアは大教会もあって最も信仰心が厚いんですの。実質タックスヘイブンですの」



「いやウチの目の黒いうちはそんなことさせないから」



「ボウギャーク!!」



「この子はみんなの税金で作りました~イエイ☆」



 最悪や。次の選挙で落とした方がいいよあの人。選挙あんのか知らないけど。



「ああっ! ハーピィエルフ様の像が……! サンデーさん、わたくしの脳が破壊される前に早くあのボウギャークを破壊してくださいですの……ッ!」



「よし! 俺に任せろ! サンデーの、のーじょぶ☆制裁ス」



「チューズデーの、モフっと☆社会的炎上パンチ ふろぎすとん☆」



 ボッカーン!!!!



「ボウギャッ!!??」



 チューズデーの炎を纏った強烈なパンチがボウギャークのど真ん中にぶち込まれる。いや俺の必殺技が食い気味に遮られたんだけど。



「さすがチューズデー、ワンパンなのじゃ!」



「うわっあちっ! 火の粉が……」



 燃えながら崩れ落ちるハーピィエルフ像。映像的にはハリウッドもびっくりって感じだな。



「ウ、ウチのボウギャークが……貴重なアバレールZが~!」



「申し訳ございませんハーピィエルフ様……亡骸は回収して再建いたしますの……」



「いや、あれはこの後浄化させるから消え……ってmハイドロ危ねえっ!! 上見てうえっ!!」」



「へ? なんです……のぉっ!?」



 なんとハイドロの頭上から破壊されたボウギャークの破片が。破片っていっても元々が巨大な石像だったので、普通に当たったらぺしゃんこになる隕石レベルのやつ。大ピンチやこれ。



「はっはっは~! 天罰だ天罰~!」



「ああ、これはハーピィエルフ様からの罰なのですね……来世に期待ですの……」



「現世を諦めんなおい! もっと熱くなれよお!」



 このままではハイドロが……!!



 バッ!!



「……えっ?」



「ハイドロ……」



 突如、いきなり現れた謎の石像がハイドロを守るように覆いかぶさる。あれは……



「ミスリル像ver1.01様……!!」



「助けにきてくれたルナ!」



 まさかハイドロが作ったミスリルゴーレムが助けに来てくれるとは。これで彼女も無事……



「ハイドロ……イキロ……」



 バッギイイイイイン!!



「ミスリル像ver1.01さまあああああ!!!!」



「ルナの最高傑作がルナあああああ!!」



 ミスリルゴーレムはハイドロを守ってボウギャークの破片を受け止め対消滅した。短い命だったが役目を全うしたよお前は……



「プリデビ☆はっぴねす」



 パアアアアアアアア……



「こうしてボウギャークと化したハーピィエルフ像、そしてハーピィエルフ像と化したミスリルゴーレムは天へと帰っていったのだった……まさに神話」



「せ、拙者の大金をつぎ込んだゴーレムがあああああ!!」



 そういや製作費ってサタンの稼いだ金だったんだっけ。ドンマイ。



 __ __



「く、くっそ~! これでウチのボウギャークちゃんが2体もやられちゃったじゃんか~!」



「フッフッフ、苦戦してるね~モッツァレルちゃん。あ、ちゃんって歳でもないか」



「ぶっ飛ばしますよサイザー様」



「君に残されたアバレールZも残すはあと1本。並みのボウギャークじゃあプリティ☆デビルは倒せないよ?」



「え~? じゃあどうすればいいんですか~」



「そうだねえ、やっぱこのエリアで最も権力と能力を持っている人がボウギャークになるしかないかな?」



「それってえ~……ウチ?」



 ……。



 …………。



「うう、ミスリスゴーレムで作ったハーピィエルフ様……」



 第7エリアに出現した巨大ハーピィエルフ像のボウギャークはなんとか倒すことが出来たが、ハイドロを庇ったミスリル像も一緒に破壊されてしまった。



「魔核も粉々じゃ。これでは復活することも出来んのじゃ……」



「ミスリルゴーレム、良いやつだったルナ……」



「せめてミスリル素材だけでも再活用して像を作り直そうぜ」



「そうしますの。ハーピィエルフ様、わたくしを守ってくれてありがとうございましたですの」



「ア……アア……」



「いや待つルナ! このゴーレム、まだ生きてるルナ!」



「おいルナよ! 蘇生じゃ蘇生!」



「ハーピィエルフ様あ! これぞ神の奇跡……!!」



「コ……コロシテ……モウコロシテ……」



 体のコアみたいなのを粉々にされても死なないミスリルゴーレム。いやもうとっくに定年過ぎてるよ……もう楽にしてあげてよ……



「変身解除~! あ、この石なに~?」



「これはミスリルゴーレムの残骸なのじゃ」



「これから復活させるルナ」



「そうなんだ! あっ、くしゃみ出そ……はーっくしょん!!」



「あーーーーーっ!!!! ハーピィエルフ様あああああ!!」



 フレイムのクシャミで粉々になったミスリルゴーレムの魔核が風に飛ばされ、第7エリア中に舞い上がり飛んでいった。

彼の魂は第7エリア中に広がり、今も街を見守っているのかもしれない……

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