【01-03】

 リッパーラクーンはアライグマに似た外見の魔物で、凶暴だが肉が美味い。


 アライグマは可愛いイメージを持っている人が多いが、成長すると凶暴になり農作物への被害が大きく、日本の環境省は特定外来生物に指定している。前世の子供時代は田舎に住んでいたので、祖父が駆除したアライグマを解体したことがある。アメリカで買った別荘の周辺にも出没していたので、ライフルで駆除せざるを得なかった。


 リッパーラクーンは牙を剥き出しにしてこちらを威嚇し、物凄い速さで俺に向かって飛びかかってきた。とっさに魔力の盾である魔力障壁で防御する。顔面から激しく衝突したリッパーラクーンは、アライグマと同様に凶暴らしく爪でガリガリと引っ掻いているが、魔力障壁は破れない。


 一撃で仕留めるため、風の魔法『ウィンドカッター』でリッパーラクーンの首を攻撃する。頸動脈から大量の血が吹き出し、リッパーラクーンは絶命した。肉の状態が悪くなるかもしれないので、収納魔法の『インベントリー』に保管する。


 『インベントリー』はRPGでお馴染みのアイテムボックス的なやつだ。温かいものを入れておけば温かいまま、冷たいものを入れれば冷たいまま出てくる便利な魔法で、入れておけば腐敗しないらしい。生き物は収納できないが、死骸なら収納できるそうだ。


「ふぅっ」


 初めての魔物を討伐したが、必死だったので本当に怖かった。

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