みがかぬかがみ

笑顔の傘

みがかぬかがみ

ある日の朝、私は目を覚ます。今日は休みだがいつもの様に目覚ましをかけて早起きをしてしまった。

 

 二度寝しようとスマホの目覚ましを切りもう一度布団に潜ったが寝付けない。それどころか目が覚めた。もう二度寝は出来ない。

 

 仕方が無いので布団から出る。そして真っ直ぐ朝ごはんを食べに行く。いつもなら朝ごはん前に顔を洗ったり寝癖を直したりするが今日は休みでどこに行く気もない。だから今日は朝ごはんが先なのだ。

 

 家の中は静かだ。家族はまだ寝ている。家族を起こさぬ様に音を立てずに廊下を歩く。

 

 一人で勝手に朝ごはんを作り食べる。そして朝ごはんを食べ終わる。そして顔を洗ったり寝癖を直したり歯を磨いたりする為に洗面所へと向かう。

 

 洗面所に着き鏡の前に立つ。顔を洗って寝癖を直し、その後に歯磨きをする。

 

 歯磨きをしながら何となく鏡に写った自分をボーッと見ていると、鏡が汚れている事に気づいた。

 

 「最後に鏡を綺麗に磨いたのはいつだっけな。」

 

 そんな事を思いながら汚れた鏡を見る。まだ鏡としては全然使えるが、綺麗とは言い切れない程汚れている。特に水垢汚れが酷い。

 

 「何故これほどまで汚れて居るのに今まで気が付かなかったのだろう。」とか考える。

 

 しばらく考えていたがよくよく思い出してみれば汚れているのを見つけては面倒くさがり汚れた鏡から目を逸らして鏡を磨かず、忘れた頃にまた見つけては面倒くさがり汚れた鏡から目を逸らして鏡を磨かない。磨こうともしない。

 

 それは私以外の家族も一緒だろう。家族もとっくの前に鏡が汚れていることぐらい気がついていたはずだ。だけど磨いていない。

 

 それを家族全員で何度も何度も汚れた鏡から目を逸らしている事を繰り返しているうちに今日も私は汚れている鏡をまた見つけたのだ。


 この汚れた鏡をどうするか悩んだ末、私は鏡を磨く事をまた面倒くさがって結局は鏡を磨かずに放っておく事にした。

 

 「多分鏡の汚れをまた見つけた私か家族が汚れた鏡を綺麗に磨いてくれるだろう。」

 

 そんな事を心の中で言いながら汚れた鏡から離れるのだった。


 鏡磨かぬ みがかぬかがみ

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