五十七話 【温泉宿】
ガル支部のホランさんより、温泉のあるホルデ村を勧められ向かう事にした。
「私が案内しますよ〜」
ホランさんも一緒にくるらしい。
「ガル支部はどうするんですか?」
「大丈夫よ〜、アームダレスは皆んな自分達で解決しちゃうから依頼なんてあまり来ないんですもの〜。 それに今は依頼を受けられるガルはいませんから〜」
そんな感じで良いのか?
早速明日向かう事になり、今日の所は宿で休む。
まずは食事だな。
エイルとルルアは温泉と聞いてはしゃいでいるが、レアは普通だな。
「レアは温泉嫌いなのか?」
「そんな事はありませんが、そんなにはしゃぐ事でも無い気がします」
さすがレア、落ち着いている。
「レアさん、温泉ですよ! 良い景色と広いお風呂!」
「それに温泉饅頭と温泉玉子、お風呂上がりに飲むミルクはまた格別です!」
エイルとルルアでは温泉の楽しみ方が違うようだな。
レアはどちらもあまり興味が無いようだけど。
そんな事を話していると、注文した料理が運ばれて来た。
大金が手に入ったので、ルルアに借りていた分を返し、今夜はご馳走だ。
エイルはアームダレスならではの食事を楽しみ、ルルアはスイーツを楽しむ。
このアームダレスは和食のような料理が多い。
スイーツも和菓子に似ている。 どれも美味い。
「久しぶりに沢山食べましたー♪」
「どれも美味しかったです!」
「このアームダレスの魚料理は絶品でした」
皆んなが満足出来て良かった。
さて、明日は温泉だ。 ホランさんが早く迎えに来るって言ってたからな、今日は早く寝よう。
食事も終わり、俺、エイル、ルルアとレアで三部屋借りる。
そして次の朝早くホランさんが迎えに来た。
「皆さ〜ん、起きてますか〜?」
宿の外からホランさんの声が響く。
窓を開けて外を見ると、ホランさんが手を振ってくる。
急いで支度をし、皆んなでホランさんの元へ。
「ホランさん早いですね」
「楽しみにしてましたから〜」
「私も楽しみです!」
ルルアがホランさんに気合を入れて答える。
エイルはまだ半分寝てるな。
「それでは〜、参りましょう〜!」
ホランさんが手配した【荒物組】の獣力車に乗りホルデ村を目指す。
途中現れる魔生獣は俺達が出るまでも無く、獣力車を走らせている獣人に蹴散らされて行く。
「凄い凄い!」
「楽ちんですね〜」
「倒した魔生獣もらえないかな?」
各々の感想はさまざまだ。
「皆さん強いですね」
「あたぼうよ! 獣力車を引く者ならこれぐれえ出来て当然! それじゃ先を急ぎやすぜ!」
熊吉さん以外でもこの強さなのか……。
その辺の兵士より強いだろう。
ホルデ村まではホランさんの観光案内を聞きながら向かう。
「このアームダレスは〜、自然豊かですが〜、城より東には【霧の山】があるんです〜」
「霧の山?」
「はい〜、そこは常に霧が発生していて〜、そこにしか生息しない魔生獣もいます〜」
「あんまり近寄らない方が良さそうだな」
「そうですね〜、私達獣人でも滅多に近寄りません〜、でも〜、年に一度のお祭りでは〜、霧の山にある祭壇に〜、お供えをしに行きます〜」
「山の神様にお供えって感じ?」
「神様ではありますが〜、ちょっと違いますね〜」
神様では無いのか?
「ケンジさんは〜、この世界の三神はご存じですか〜?」
「三神?」
「そうです〜、その一神が霧の山にいると言われています〜」
「へ〜、本当にいるなら見てみたいな」
「難しいですね〜、私達も見た事無いですから〜」
「そうなんだ……」
神様ってそんなもんかな?
「その三神に聞いて良い?」
「ん? 構いませんよ〜」
「その霧の山の神様ってどんな感じなの?」
「神様は〜、遥か昔からこの地を守ってくださるお方です〜、アームダレスの神様は〜、空の神様って言われてますよ〜、アームダレスの旗にも絵かがれてますね〜」
「空? 確かアームダレスの旗にはドラゴンが描かれていたな? 他には?」
「そうですね〜、空の神様【ラヴレス】様は〜、このアームダレスの神様です〜。 地の神様が〜……、確か【レグレス】様で〜、海の神様が【ルビレス】様だったはずです〜」
「成程、教えてくれてありがとうございます」
「いえいえ〜」
この世界の神様か……、覚えていて損は無いな。
「さあ、もうすぐ着きやすぜ!」
少し離れたこの場所からでも温泉の湯気が見え始めている。
到着した温泉は俺には懐かしい感じのする木造建だ。
「「すっご〜い!!」」
エイル、ルルアは建物を見て感動してる。
「なかなか良さそうですね」
レアもなんだかんだ満更でも無いようだ。
そして出迎えてくれた女将さんは人の姿をした獣人らしい。
仲居さんはさまざまな獣人の方が出迎えてくれる。
「早速温泉に行きましょう!」
エイルは待ちきれないようで、仲居さんに部屋まで案内されるやいなや、浴衣に着替えて準備万端だ。
勿論俺は別の部屋。
「……えと……、私は……後で……」
ルルアは浴衣に着替えるのを躊躇っている。
「どうしました?」
レアは不思議そうにルルアに聞く。
「だって私……」
ルルアは自分の手足を気にしてもじもじしている。
「そんな事気にしないで下さい。 一緒に温泉楽しみましょう」
「でも……」
「この時期は〜、観光客も少ないので、広いお風呂は貸し切りの様なものですよ〜」
「ルルアも楽しみにしてたじゃ無い。 楽しみましょ! もし変な目で見る奴がいたら私が文句を言ってあげるわ!」
「エイルさん、レアさん、それにホランさんありがとうございます。 温泉に行きましょう!」
皆んな浴衣に着替え温泉に直行!
俺も男一人とは言え、温泉を楽しみに向かっていた。
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