第103話 お前や!
アイシャの上から目線で見下してくる態度には腹が立つもの、今この場所にはドゥーナとマリアンヌは、そしてアイシャのメインヒロイン三名が揃っている光景は、原作ファンとしては素直に感動してしまうレベルであり、思わず映像魔球を使いこの光景を記録として残したい衝動に駆られるのだが、この一触即発しそうな雰囲気にも関わらずいきなり映像魔球を取り出して撮影し始めるのは、明らかに頭のおかしな人物認定されかねないので、ここはグッと堪える。
それに、いきなり見下してきたアイシャの態度に腹が立ったのも事実なので、その相手に『(原作の)ファンだから映像を撮らせて欲しい』等とは言いたくない。
そこは絶対に譲ってはいけない部分である。
「ほう、威勢だけは良いようだが、その威勢がどこまで持つのか私が試してみよう。それと、金持ちの坊ちゃんには分からないでしょうから一応忠告はさせてもらうわね。良い武器を使い自身のステータスを強引に上げた状態を『自分の本当の力』だと勘違いしているのかもしれないのでしょうけど、それはあくまでも武器の力であって貴方自身の力ではございません。その力を自分の力と過信していてはいつか『本物』が現れた時にその事に気付いても遅いでしょう。ですがあなたは幸福です。その本物から教授できる機会を今から体験できますもの。本来であればその授業料は自身の命となる事が多い中、今回は私への土下座謝罪で許してあげましょう」
うん、絶対に譲らねぇわ。何なら泣かすまであるな……。
俺が密かにヒロイン三人揃っている光景に感動している事には気付いていないアイシャは、俺がアイシャからの模擬戦を承諾するだけではなく、俺がアイシャに勝って当たり前だというような態度が癇に障ったのか長めに説教じみた事を俺に言ってくる。
確かにアイシャの言わんとしている事は分かるのだ、戦う前から『俺はアイシャよりも弱い』と決めつけられて話をされると流石の俺も腹が立つというものである。
そもそもこのアイシャは確かゲーム内では主人公たちと同様に高ランクの魔物に挑み、勝てないと分かって命からがら逃げてきたところで主人公たちと出会い、主人公も昔魔獣に挑んで敗走した経験話で打ち解け意気投合から仮のパーティーを組み勝てなかった魔物へ再度挑んで討伐成功し、そして正式に主人公たちのパーティーメンバーとなるという話であったはずである。
その本来こうなる筈であったifの未来を知っている俺からしてみればブーメラン過ぎて『お前や!』と突っ込みたくなる。
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