装丁

 書棚には日本語の本だけではなく、洋書がいくつか刺さっている。

 もちろん、インテリアである。

 洋書が刺さった本棚のほうがインテリっぽく見えるからと思って購入したものである。間違っても「この前取り寄せてた◯◯の論集どうだった?」とか聞いてはいけない。

 おしなべて読んでいない。日本語の本も面倒くさくて読んでいないのだ、いわんやをやをやをやである。


 さて、こうして買った横文字の本、大抵がペーパーバックである。

 インテリアだったら、ちゃんとハードカバー買えよと思われた方もいるかもしれない。

 猛省してほしいところである。 

 大事なのは外見ではなくて、中身なのだ。

 背表紙やめくれたページから横文字がちらりとさえのぞけば、それでいいのだ。私はコスパ重視である。


 横文字の本でカバーがついているものなんて、図録の類ぐらいのものだろう。

 逆に日本語の本では雑誌を除けば、カバーがついていない本のほうがすくない。

 せいぜいムックの類くらいか。


 カバーがつけられていない本をよく見かける場所はコンビニエンスストアだ。

 空港の売店もそうかもしれないが、ここ何年か飛行機に乗っていないのでおぼえていない。

 日本では文庫本にまでついているブックカバー、あれがなければ本が少し安くなったりしないのかしらと思う。


 そんなことをつらつらと考えていたときに、手元にあったインテリアの一冊を手にした。

 無粋な値段のシールが直張りされているが、それが約8ユーロだったのだ。

 大きさこそ、新書と同程度だが、ページ数はよくある新書の倍、四二〇ページで注と補遺までついている。

 今ではもう少し値上がりしているみたいだけど、まぁ、硬い本でもそれなりに安く読み手に届けられる。ちなみに私が手にしたのは次に貼ったリンクのシリーズのうちの一冊である。

 https://www.gallimard.fr/searchinternet/advanced?collection=434&SearchAction=1


 本が高くて買えないよなんて若い頃に思っていた身としては、日本でもペーパーバックが流行っていればなあなどと思わないでもないのだ(と言いながらも、私自身、装丁に惹かれて買ったものもあるのだ。それについては、いつの日か、別稿で記してみたい)。

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