第77話:艦内カフェ
セラフィと侍女たちが移民団に加わってから、艦内に喫茶スペースが出来たよ。
これまでは食堂でドリンクとお菓子を食べる程度だったけど、農園の延長で花園が出来て、そこにテーブルと椅子を置いて、花を眺めながら飲み物やお菓子を味わえるようになった。
年齢問わず女性陣に大人気となった花園カフェは、朝食と昼食の間や、昼食と夕食の間にティータイムを楽しむ人で毎日賑やかだ。
色とりどりの花々を眺めながらのティータイムが、まさか宇宙船の中で楽しめるとは。
太陽系を出た時には想像もしなかったよ。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
種類豊富な農作物が集められた農園エリア。
そこに隣接する花園から、今日も楽しそうな声が聞こえる。
様々な惑星の花が咲く庭園は、まるで植物園のよう。
メイド服を着た2人の女性型アンドロイドたちが、上品で洗練された所作でお茶を淹れている。
今日の茶葉は艦内農園で栽培している地球系ハーブのレモングラスとカモミールのブレンドティーで、柑橘類のような味とリンゴに似た味がほどよく混ざり合っている。
レモングラスには消化促進や胃痛緩和効果が、カモミールには消炎作用や血液循環を促す作用があり、健康茶としても飲まれていた。
「まさか宇宙船の中で、こんな服を着てお茶を飲むとは思わなかったわ」
「アルビレオはあちこち宇宙船っぽくないところがあるけどね」
「乗組員がドレスを着るなんて、コロニーじや考えつかないわ」
そんな会話を交わすのは、貴族の令嬢かと思うようなドレスを着せられた女性乗組員たち。
着ているドレスは、メイド型アンドロイドたちが仕立てた物。
アルビレオ艦内の花園カフェでは、優雅なティータイムを楽しんでもらおうと、ドレスの着付けサービスが始まった。
「お嬢様方、ダンスレッスンなども提供出来ますが、いかがですか?」
「それ、いいかも!」
「うふふ、彼も巻き込んじゃおう」
メイドの提案に、期待に目を輝かせる女性陣。
彼女たちはすぐに、付き合っている男性乗組員を巻き込もうと企む。
その後、花園カフェで始まるダンスレッスンに、何人かの男性陣が引っ張り込まれる事となった。
「クッキーのおかわりいかがですか?」
「ありがとう! そうだ、アイオもダンスレッスンしない?」
「アイオはドレスが似合いそうだから、女性パートがいいかも」
「トオヤもダンスレッスンに巻き込んだら?」
「楽しそうな計画ですね」
おかわりのスイーツを届けに来たアイオを見た女性乗組員たちから、ダンスレッスンの誘いからドレスを着せてみよう計画まで上がる。
更には、トオヤも巻き込もう計画まで出てきた。
計画は実行され、ドレス姿のアイオにおねだりされたスーツ姿のトオヤが、花園でダンスレッスンを受ける様子が見られるようになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます