端末アイオの記録⑥
交流用端末アイオです。
アルビレオの端末が増えました。
アエテルヌムの宇宙船が、異星の人工生命体を端末にする事は稀にあります。
複数の端末を持つ事はよくあるので、追加登録方法はボクも知っています。
セラフィはもともと、フィリウス殿下の護衛用として作られた人工生命体でした。
見目麗しい容姿は殿下の趣味だったらしく、いつも一緒にいるなら愛でられるように美しく作れと指示したそうですよ。
研究室ではジュリア博士たちが、セラフィの代わりの人工生命体の製造に取り掛かっています。
今回はセラフィみたいな事態が起きないように、水槽内で育成中の人工生命体には、初期段階で人格形成プログラムが組み込まれました。
研究室にはフィリウス殿下が忙しい公務の合間に訪れて、水槽内で眠る人工生命体に話しかけて、絆を深めているそうです。
セラフィとアンドロイド侍女たちは、ネットワークが繋がっているので、彼女たちが得た情報はセラフィを通してアルビレオに伝えられます。
一方、ボクが得た調理関連の情報を彼女たちに伝えたので、セラフィや侍女たちもボクと同じ料理が作れるようになりました。
調理が出来る者が増えたので、艦内の調理場を拡張しましたよ。
長旅になるので、アルビレオの設備は乗組員に合わせてリニューアルを続けます。
今までの調理場は2つで、主食系とスイーツ系に分けた程度でしたが、加熱調理系とサラダ等の冷製料理の調理場を分けて3区画にしました。
子供たち用のお風呂も拡張しました。
浴槽を増やして、好みのお湯に浸かれるようにしています。
侍女たちの知識にある【花風呂】も始めました。
フィリウス殿下から贈られた物の中には庭園に咲く花の種や苗もあるので、艦内の栽培エリアに庭園を造り、侍女たちが育てています。
華やかで良い香りがする花風呂は、女の子たちに大人気ですよ。
パウアとベガの酒場には、フィリウス殿下から贈られた王室御用達の高級酒が入りました。
そのお酒に合うオードブルの作り方が侍女たちの知識にあったので、調理場で作った物を酒場に回しています。
殿下は、オードブルの材料まで提供してくれましたよ。
可愛いセラフィをトオヤにとられてしまったのに、人が良すぎですね。
今回、ボクが一時的に行動不能に陥った事で、トオヤとの仲が深まりました。
セラフィの中に思念が封じられて、ボクの器が機能停止している間、トオヤは心配でたまらなかったそうです。
復旧直後、トオヤはボクの身体が冷たいからと言って、しばらく抱いて温めてくれました。
あんなにぴったり素肌を密着させたのは初めてですよ。
トオヤはボクを「失いたくない特別な人」だと言ってくれました。
じゃあ恋人のキスをしましょうと誘ったら、もう少し待ってと赤くなっていましたが。
あと一歩、もうちょっと。
何かきっかけが必要なんでしょうか?
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