一巻終了時における登場人物「無責任」座談会

姫川「いや~、終わった、終わった。聖少女暴君一巻も滞りなく終わったね」


折笠「終わったって、あんた余命一年でしょう。人生も終わってるよ」


鳴海「天音さん、ポジティブですね。余命一年なのに」


村雨「余命一年のヒロインは需要ありますね!」


折笠「いやいや。この子は悲壮感ないから。少しはしおらしくしなさいな」


姫川「だって、余命一年なのにやりたいこと我慢したら損しちゃうじゃない」


折笠「だいたい、学生カップルコンプレックスってなんなのよ。そんな病気があってたまるか」


姫川「(小声で)うお座の運命に忠実な男も同じ病気を患っているらしい」


村雨「作者に病気を移されたのですね」


折笠「言い方ね」


村雨「創作ではよくあることです」


折笠「だいたい、前作がダークファンタジーだったのにつぎが女の子ゆるふわガールズラブって、うお座の運命に忠実な男の思考回路はどうなってるの?」


姫川「ダークファンタジーはやりきったからしばらく食べたくないって」


折笠「ダークファンタジーって食べ物なの?」


村雨「たくあんを毎日食べ続ければ、つぎは梅干しが食べたくなるということではないでしょうか」


折笠「うお座の運命に忠実な男にとって、ダークファンタジーはたくあんなの? そしてわたしたちは梅干しなの?」


姫川「極上の梅干しよ」


鳴海「(挙手して)あの、わたしずっと言いたいことがあったんですけど」


折笠「なに?」


鳴海「わたしたちのなかでわたしだけ美少女っていう描写がないのはなんでなんですか? 『ふくよかだがめんこい』ってキャラクター一覧に書かれてるんですけど!」


折笠「それは全体のバランスでしょう。全員美少女なんて、リアリティがないじゃない」


鳴海「ひどーい!」


姫川「鳴海さんにはストーリーテラーという重要な役割がある」


鳴海「それだってタイトルの聖少女暴君って、天音さんのことですよね? わたしってダミーの主人公なんじゃ……」(全員視線を逸らす)


姫川「シャーロック・ホームズにおけるワトソン! ポワロに対するヘイスティングス! 常識人であるあなたが語り手だからこの作品は成立するの。良いこと言ったな」


鳴海「本当ですか? そういえばわたしたちの名前ってどこからきているんですかね」


姫川「わたしの名字は某漫画のヒロインから。天音はうお座の運命に忠実な男が自分に娘が生まれたらつけたい名前なんだそう」


折笠「うお座の運命に忠実な男って結婚しているの?」


姫川「いんや。お嫁さん募集中!」


折笠「こらこら。作品で婚活するな。わたしの名字は女性声優さんから。詩乃はうお座の運命に忠実な男が学生時代に苦手だった女の子の名前なんだって」


鳴海「なんでまた?」


折笠「学生時代彼女を避けていた罪滅ぼしだそう」


鳴海「ふーん……」


村雨「わたくしの名字は南総里見八犬伝に登場する刀・村雨からです。初音の由来はいつの間にか決まっていたそうです」


鳴海「わたしは?」


姫川「鳴海はすぐに決まった。千尋は普通にありそうな名前から選ばれた」


鳴海「やっぱりわたしだけ普通なんですね。もうひとつ、琴流ことながれ女学院て、なにか由来があるんですか」


姫川「ことなかれ主義の学院だからに決まってんじゃん」


鳴海「やっぱり……」


護国寺先生登場「お疲れさま、みんな。おれもいるぞ」


姫川「うっしーの名前の由来は?」


護国寺「護国寺は駅の名前。牛次郎はイケメンをだいなしにする名前」


鳴海「ひどーい!」


姫川「護国寺先生はハンサムボーイだと思うよ。性格もね」


護国寺「本当か? そう思っているならもっと優しくしてくれ」


折笠「ところでこの作品て何巻ぐらいで完結するの? 気になるんだけど」


姫川「初期プロットでは二巻だったけど、実際に書いてみたらどうなるかわからないって」


折笠「でたよ。うお座の運命に忠実な男のプロットいい加減問題」


姫川「執筆中に面白そうなアイディアがでたらプロットを変更する悪い癖があるからね」


村雨「わたくしと同じです。似てますね」


折笠「そうりゃまあ、小説家同士だし、うお座の運命にあらがう女っていうペンネームの類似性も指摘できるし」


姫川「二巻はまだ執筆途中なんだって。うお座の運命に忠実な男、がんばって!」


折笠「自作自演だわ」


姫川「九条さんたちも呼ぶ?」


折笠「ストップ! 収集がつかなくなるから。さて、宴もたけなわでは御座いますが、『聖少女暴君第一巻』はこれまでにしたく存じます。みんな一言ずつなにか言って」


姫川「二巻はイベント盛りだくさん! 読者さま方、正当な評価としてお星さまをくださるとわたしたちが飛びあがって喜びます。次巻はeスポーツ部が発足します! 新メンバー黒咲ノアも加わります」


折笠「いたな。あの奇人変人が加わるのか。さきが思いやられるわ」


村雨「わたくしの作家デビューはどうなるのでしょう。書籍化作家になれるのでしょうか」


姫川「二巻で語られます」


鳴海「もっと活躍したーい!」


姫川「うっしーもなにか言いなよ。面白いこと言って締めて!」


護国寺「なぜおれが……。また来世で会いましょう!」


女子一同「ズコーっ!」


SE(ちゃんちゃん♪)


折笠「この座談会、本編を台なしにしてないかしら……」

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