第36話 なんだかんだここは公共施設みたいになりつつある

『ロブスターたべたーーい』『うっせーこのクソガキャー! ナニコラタココラ』


 と自転車で突っ込んできた少年に長●力がラリアットをかますCMでお馴染みの、

 ……って異世界転生したからってそんな嘘はいけないな、はい、

 とにかく高級海鮮ファミレスで食事を終えた僕らはとりあえずロビーに戻って来た。


「やや、テイク殿」

「あっ、ひとりア●ムスファミリーことリーフ師匠ではないですか!」

「……本日はそちらの人格がお目覚めですか」「師匠も今日も、肩に掛けた三節棍が決まっていますね!」


 上半身裸でムッキムキなマッチョメンが帰ってきた、

 汗をタオルで拭きながら……修行場でしこたまポイントを稼いできたのだろう、

 その姿にスティラ様、マリーヌちゃん、リリアンちゃんが丁寧にお辞儀している、深々と……お世話になったからね。


「リーフ様、お疲れ様です、これをお土産に」


 スティラ様直々にお土産チーズクラッカーを。


「おお、最近は子供達も健康でな、孤児院を出た子も食事を食べに遊びに来るくらいでの」

「院長様、私も将来はポイントで寄付できるように、頑張ります」

「うむ、リリアン、立派に生きて行きなさい、テイク殿、頼みますぞ」


 僕の所へ来るのは報告済みか、

 断れる心配とかしてなかったんだろうな、

 そりゃあスティラ様にお願いされたら断る訳にはいかない。


「あっ、リーフ様、おいら、しつもーん」

「なんですかな?」

「エバレイの姐さんは最近どうよ? どうなのよ?」


 そこ聞いておかないと、

 俺の中のテイクがそわそわするからね。


「夫婦共々、真面目にやっておりますな、

 最近は畑作業は力の付いた少年らにやらせておりますゆえ、

 もっぱら子育ての方を……やはり愛し合っている夫婦は、奴隷でも良い物ですな」


 うん、安心した、

 こっちに引っ張ってくるつもりは更々無いけど、

 とりあえず本物の? テイクのために、更生して頑張って欲しい。


「おいらも、たまーーーに、行く!」

「喜ばれますぞ、さて、本日分のポイント交換を……

 まずは化粧品売り場でリンスインシャンプーを」「そのハゲで?!」「子供達のですよ」


 おおっと、

 ファミレスエリアから王室ファミリーが出てきた、

 ゲームの主人公一家……とたんにおいら達は横並びになって頭を下げる。


(ここはハゲに、いやリーフ様に任せよう)


「国王陛下、ごぶさたしております」

「うむ、この基地の中では基本、無礼講だ、肩の力を抜け」

「本日はいかがなされましたか」「娘が『パフェ』を食べたいと言うのでな」


 うん、王室らしくロイヤルなファミレスに入って行ったのは見た、

 あそこは普通に肉料理も美味しいから国王陛下お気に入りらしい、

 あそこもあそこで値段、いやポイント的に高級ファミレスと呼んでもいいかも。


「やあテイクくん、何か困った事は無いかい?」

「あっ、エリオ王子様! おいら、十五歳になっちゃった!」

「それはおめでとう、何か欲しいものはあるかい?」「それが……おいら、嫌な予感がするんだ」


 どうせだ、

 例の砂漠関係、

 本来のストーリーの半分が残っている件について相談しよう。


「失礼する」

「あっ、ドミニクさまぁ!」

「テイク、お前はスティラに骨抜きだったのでは無いか」「うん、愛の奴隷だよっ!」


 ていうかペガサス四姉妹まで来たのか、

 もうここは公共施設みたいなものだな。


「ガルデーダス国王陛下、奥様、エリオ王子、チル姫、ごぶさたしております」

「おお、マティスリア国のスノか、今日は姉は」

「お姉さまはここの存在をいまだに信じておりません」「もったいない話よのう」


 スノちゃんはまだしも、

 陛下はポイントを息子や騎士団に稼がせて使っているくせに!


「あっ、クリネ」

「お姉ちゃん、お久しぶり、こっちは快適そうだね」

「クリネも……」「スノちゃんと一緒ならね」


 うん、実の弟を絶賛、ネトラレ中だねっ!!


(今夜は慰めてあげないと)


 これで逆に悪女化しないか心配だし。

 改めてゲームも主人公、エリオ王子が俺に、少年テイクに尋ねる。


「それで、嫌な予感っていうのは?」

「ここだとみんながみんな、座れないよね……」

「では喫茶店、いや、カラオケルームはどうですかな?」


 いつだったかリーフ様に演歌とかサザンとか教えたからね、

 憶えてしまった、たまに付き合わされて僕も歌わされるという。


「じゃあ、パーティールーム40人収容部屋で!」

「わかったよテイク君、ポイントはお願いするよ」

「えー」「話したい事があるんだろう?」「……アルコール呑み放題とか付けなくてもいーい?」


 結局、付けさせられた。


(とんだ散財だよぉ、ポイントだけれども)


 まああそこは、

 歌わなければ静かだから、まあいいか。


(って40人で足りるよね? 陛下のお付きも何人か来てるけど!)


 そんなことより、

 またもやストーリーの先取り、

 そして四大悪女の残り二人の回収大作戦だ!!


(まーた天啓って事にしておこうかな)


 フロントで申し込みをして、っと……

 リーフ様が陛下を案内する、そしてみんなぞろそろ、

 あっ、クリネくんとスノちゃんの手が、恋人繋ぎだー!!


「スティラさん、スティラ様、スティラお姉さま」

「なあに? ……あっ、そうね、ふふふ」


 うん、そうそう、この握り方だ!


「……テイク、私も」

「マリーヌちゃんは、こっちの手で!」


 両手で恋人繋ぎ、うん、良いね!


(ちなみにリリアンちゃんはスティラさんのもう片方の手を握っています)


 って横に四人並んでると、さすがに入りにくいなおい。

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