悲劇を乗り越えた姫と騎士はお互いのために尽くします
ヒース@『最強の中ボス公女の転生物語』
第一章 姫と騎士の出会い
プロローグ 姫の起床
呪ってやる。
死んでもこの恨みだけは必ず残る。
私を裏切った貴様らも、貴様らの子孫共も、永遠に恨み続ける。
未来永劫、呪ってやる――。
「――め様! 姫様! 大丈夫ですか?」
パメラは急いで自分を呼ぶ声を聞いて目を覚ました。
真っ先に目に入ったのは豪華なキャノピーと天井。次に冷や汗に濡れて体にくっつく服と髪の感触が感じられた。まるで突然の起床に体がゆっくりついてくるように、意識と感覚が一つずつ覚醒していった。
「姫様、ご起床になりましたね!」
パメラは横へと首を向けた。自分を心配そうに見つめる幼いメイドが見えた。彼女の後ろでは他のメイドたちがこっそりとため息をついていた。
そのため息に導かれたように、パメラは苦笑いした。
「慣れる時になったんじゃないかしら? 悪夢を見るのが一度や二度でもないし」
悪夢。その一語できれいに整理できるほど、パメラは〝夢〟に慣れていた。同じ夢をもう百回以上見ているから当然のことだろう。
夢の中で彼女はすべてをまともに認識できなかった。ここがどこなのか。自分は誰なのか。さっきまで何をしていて、今はどんな状況なのか。すべてが曖昧でぼやけていた。ただ大勢の群衆がわいわいしているのと、それが自分に向けられたことだけをやっと認識しただけだ。それさえも群衆の顔は真っ黒で全然見えなかった。
すべての中心で彼女を非難するように立っている二人の姿も、もちろんまともに見えなかった。
最初はわけの分からない夢が怖かった。三回目になるとイライラした。だがその後も続くと次第に無感覚になった。その悪夢に意味があると思ったのも最初の数回だけ。いつからか気にしなくなった。
でもパメラと同じ年頃のメイドであるエラは、パメラが悪夢を見るたびに今のように心配してくれた。
「本当に大丈夫なんですか?」
「もう慣れてるわよ。むしろいつも同じ光景ばかりで飽きるほどだもの」
パメラは大したことないように話し、立ち上がった。鮮明で強烈な赤髪が長く流れ、ルビーのように赤く輝く瞳が周辺を見回した。幼い年にも早くも輝く美貌が周りの息を呑ませた。
パメラ・ハリス・アルトヴィア。十歳だが優しくて早熟な美少女であり、このアルトヴィア帝国の第一皇女だ。
「他の人たちを見習ってみて。もう平気じゃない」
「平気ではありません。いつも申し上げることなのですが、どうか医者さんの診察をお受け取りくださいませ。悪夢を繰り返してご覧になっているじゃないですか」
「ふふ、心配してくれてありがとう。でも本当に大丈夫だから心配しないでね」
パメラは立ち上がり、きれいに身繕いをしてから部屋を出た。
日程を確認しながら移動する。いつもと同じルーチン。不規則なことは、たまに廊下で誰かと出会うことくらい。ありふれたことではなくてもたまにあることなので、廊下の向こうから誰かが歩いてきてもパメラは驚かない。
今日も、本来ならそうだったはずだ。
「……え?」
パメラの声が思わず漏れた。
パメラの前方、廊下の角から人が何人か現れた。騎士団長と指揮下の騎士たちだった。そのうちの一人、はっきりと若く見える少年だけが騎士見習いの団服を着ていた。
その少年を見た瞬間、パメラは完全に固まった。
「パメラ第一皇女殿下、お元気でしたか。ご挨拶しま……殿下?」
騎士団長の方もパメラを見つけて挨拶したが、パメラの状態に気づいて言葉を止めた。メイドたちも彼女の気配がおかしいことに気づき、声をかけた。しかしパメラはそのすべてを聞いていないようで、騎士見習いに視線が釘付けになっていた。
パメラと全く逆の青色の髪と瞳をした少年。容姿は秀麗だったが、それ以外に目立った特徴はなかった。少なくとも顔だけを見ると外見以外に注目に値する要素はなかった。
だが彼を見た瞬間、パメラは未知の感覚にとらわれた。確かに初めて見る顔なのに、まるで昔からの知り合いを見たような既視感がしたのだ。
唇が動くのも彼女の不本意だった。
「アルラ……ザール?」
見たことのない顔、聞いたことのない名前。
突然浮かんだものを口にした直後、パメラは突然気を失った。
「姫様!?」
―――――
新作を投稿することになりました! よろしくお願いします!
本作は私が以前連載した小説『転生したら前世の仇敵の娘だった件』のリメイク版です。
キャラ設定からストーリープロットまで多くのことが変わっていますので、以前の連載作をご覧になった御方でも新しい気分でお読みいただけると思います。
更新は火~日曜日の週5回を目指し、仕事が忙しくて5回を満たせない場合もあります。
これからよろしくお願いします!!
そして誤字や表現が変な部分を見つけたら、積極的にご指摘くだされば本当に助かります!
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