第13話

 それから雷珠と葉月はお互いに口喧嘩を行ない始める。そして、ある場所で決着をつける事になった。


 「長持の壺の中ってこんな風になっていたんだな。」


 「本来は大量の物を保管する為の場所ですが、一応は空間保存壺の中でも訓練も可能になっています、ハジメ様。」


 長持の中に入っていた3つの壺。葉月が教えてくれた本来の名前は空間保存壺。この壺の中は見た目以上どころか、サッカーコートくらいの広さが壺の中にはあった。


 そんな空間保存壺の中で雷珠と葉月がお互いに戦う事になる。


 「ご主人、本気で戦いたい。生体エネルギーを貰っても良いか?」


 「ハジメ様。雷珠さんの頼みを聞いてください。本気の雷珠さんを倒さないと意味がありませんから。」


 「分かった。雷珠、生体エネルギーを渡すぞ。」


 生体エネルギーを操作して、俺は雷珠の身体に生体エネルギーを注いで行った。


 すると、肩から飛び降りた雷珠の身体は徐々に大きくなり、身体は180センチくらいの背丈で止まる。


 ここまで雷珠が大きくなると、雷珠の豊かな胸と尻に視線が向かってしまう。


 雷珠の身体に視線が向かったのは俺だけじゃなく、葉月も雷珠の大きな胸へと視線が向かって自身の胸に思わず手が向かっていた。


 それを見た雷珠は大きな胸をゆさりと揺らして俺の手を自身の胸に誘導する。


 「どうだ?ご主人。オレの胸は柔らかいだろ?」


 「そ、そうだね。」


 「あんっ!」


 むにゅと雷珠の大きな胸を手のひら全体で触らせられると、つい無意識に指が沈むほど雷珠の大きな胸を鷲掴みにしてしまう。


 雷珠の艶やかな声が空間保存壺の中に木霊する。それを見聞きした葉月の額には青筋が浮くと、俺の元まで葉月が来て、葉月も俺の反対側の手を取ると、自身の着物の中に手を突っ込ませて胸を直に触らせてきた。


 「どうですか?ハジメ様。雷珠さんよりは小さいですが、弾力は負けませんよ。」


 「ふん、オレの柔らかさに勝てる訳がないだろう?」


 そう言ってお互いに胸を俺に触らせてくる。雷珠の胸は握る指が沈み込むほどに柔らかく、葉月の胸は弾力があり握る度に弾かれそうになるほどだ。


 どちらの胸の感触もいくらでも飽きずに触り続けられる良いおっぱいだった。


 「ご主人、葉月とオレの胸のどっちの勝ちだ。」


 「もちろん私ですよね、ハジメ様。」


 雷珠も葉月も顔を赤くして艶のある声で聞いてくるが、どっちの胸が良いか決められない。


 「りょ、両方良いおっぱいだよ?」


 決められずにそう言うと、雷珠も葉月もムッとした顔になる。


 「やはり決着は戦いで決めましょう。」


 「ああ、そうだな。負けねぇぞ!」


 「あっ……。」


 2人が離れて行き、手のひらで感じていたおっぱいの感触が離れて行くのを名残惜しく感じながら、2人の戦いを見守る為に足元のクロと一緒に距離を取る。


 「始めましょう。どちらが上なのかを決める戦いを。」


 「ああ、行くぞ!葉月!!」


 妖力を全身に纏った雷珠が葉月へと突撃する。


 「おりゃああ!!!」


 「甘いです。」


 「うわっ!……っとと。」


 雷珠の右ストレートが葉月の顔面に向かって繰り出されるが、葉月は雷珠の拳を受け流し捌きながら投げ飛ばした。


 投げ飛ばされた雷珠は空中で体勢を整えると、そのまま床に着地する。


 「判断が遅いです!」


 「なっ、うぐっ!!」


 雷珠の着地位置を予測した葉月が雷珠のお腹に蹴りを入れて雷珠を蹴り飛ばし、受け身を取りながらも雷珠は空間保存壺の床を転がって行く。


 「その程度ですか?まだまだですね。雷珠さん。そんな体たらくでハジメ様を守れるのですか?」


 「うるせえ!まだこれからだあ!!!」


 雷珠は全身に雷を纏うと、葉月へと向かって飛び出した。


 バチバチと全身から迸る雷を鳴らしながら突撃する雷珠に対して、葉月は妖力を纏い始める。


 そしてお互いに拳を蹴りを繰り出して攻撃を防がれ躱されしながら、雷珠と葉月の攻防は続いて行く。


 「なかなかやりますね。雷珠さん。」


 「はぁはぁ葉月お前、まだ本気じゃないだろ!」


 あれほどの攻防を重ねて息が荒くなる雷珠とは違って、葉月は息を乱していない。これだけでどちらが強いのかは分かるだろう。


 「ええ、そうです。私が本気を出すにはハジメ様に強くなっていただかないいけませんから。今のハジメ様では耐えきれませんからね。」


 「そうかよ。くそ、オレの負けだ!」


 雷珠が負けを認めた事で雷珠と葉月のお互いの格付けは決まった。俺たちの中で1番強いのは葉月と決まり、これからどうするのかの話が始まった。


 「そんな物があるのかよ。」


 「そうですよ、雷珠さん。ハジメ様。まずは結界の点検を行ないます。行きましょう。」


 「うん。案内頼むよ、葉月。」


 空間保存壺の中から出た俺たちは家族に空間保存壺であった事を伝えると、祖母の家の敷地に張られている結界を見に行く事を伝える。


 「あの大きな岩の下にそんな物があったとはね。だから、あの岩を動かす事を禁じていたのかしら?」


 「多分そうだと思うよ、お婆ちゃん。じゃあ行って来るね!」


 「行ってらっしゃい、ハジメちゃん。雷珠ちゃん、葉月ちゃん。あら、クロちゃんも行くのね。クロちゃんの行ってらっしゃい。」


 俺とクロに雷珠と葉月の4人で家の玄関から外に出ると、庭の片隅に置かれている大きな岩の元まで向かった。


 「少し待っていてください。」


 葉月が大岩の前に出ると、葉月は大岩に触れて生体エネルギーを流し始める。すると、大岩の一部が音を立てながら変形して扉へと変わった。


 「この扉の先の階段の向こうに結界を張る基点があります。皆さん、行きますよ。」


 葉月を先頭にして大岩の開いた扉の先にある階段を降りて行くと、その先の部屋の中にはしめ縄を巻かれた元は白かっただろうと思われる若干白と灰色の部分もある黒く染まった円柱があった。


 「ここまで瘴気に染まっているとは……まずは浄化から始めないといけませんね。雷珠さん、貴女は浄化系統の力は使えますか?」


 「いや、使えない。それより葉月は使えるのかよ。」


 「ええ、使えます。瘴気に侵された異界の攻略には重要な技術ですから。」


 葉月は懐から札を取り出すと、黒く染まっている円柱型の結界の要石に妖力を流した札を貼る。


 すると、札が貼られた場所から徐々に要石の黒く染まった部分が白く元の色に変わって行った。

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