【初見】芋が始める配信業【Vstreamer/やってみた/新人V】

@abarai

#1【Vstreamer準備中】これが31歳のリアル

カッカッカッ

「はい。ではこの問題がわかる人いますか?」


.....。


「んーこれはですね。前の授業で説明した方程式を当てはめて考えます。」


.........。


きーんこーん。

鐘の音と同時に死んでいたカマドウマの巣

かと思っていた箱の中が一斉に鳴く。


今日も私の授業はご清聴いただいたようで

起立と礼すらできないほどの感動を

与えてしまった様子だ。


(はい今日も私のソロステージ第一部終了ー。)


そう心の中で思いながら

セルフスタンディングオベーションで

私の授業はそれはもう静かに幕をおろす。


アンコールはかかったことがない。

なんせ私のステージは7日しか無い

1週間のうち5回も開催されるからだ。


(オベーションってなんやねん。

なんかエロくね。)


そんな我ながらしょーもないことを

考えながら死ぬほど歩いた道のりを

無意識に歩き、記憶喪失の中たどりついた

職員室の戸におもむろに手をかける。


ガラガ...

「佐藤先生!」

「...はい?」


しまった脳内会議が熱を持ちすぎて

反応が遅れてしまった。


まあ反応しなくてもこの教頭の左右に

分けられてしまった頭部の離れ小島と

この分厚いへの字くちびる顔は

もう死ぬほど見てきたからわかる。


これは自分の出世に怪しい影が

こっち向いてホイしたときの

苦悶の形相である。


きっとどこかの親から何か苦情が

あったのだろう。

激おこペニーワイズ。


「なんでしょうか。」

「先生のクラスの雨宮さんの親御さんから電話がありましたよ!1学期はA判定だった高校がC判定になったけどちゃんと授業はしてるのかって!」


ちっ。

お前の娘は最近付き合い始めた底辺高の

1年のクソガキと毎日指紋消えるかって

ほどラインして塾サボって公園の隅で

なんかしてっからだよ。


私の授業は静寂を極める。

このへんの情報は授業中の無駄話で

嫌でも耳に入る。


「電話。しておきまs」

「お願いしますよ!!PTA通されたらもう終わりですよ!」


食い気味やめろ。

校長がチラついてからやたらと

気に障るようになったペニーワイズの

脇をアメフト選手のごとく抜け

私は職員室の自席につく。


はぁ。あれもう11月もおわるじゃん。

今年もただひとつ歳を重ねた

素晴らしい1年でしたごちそうさま。


と私がお笑い芸人でライブ中だったら

爆笑の嘲笑をちょうだいするネタを

脳内で展開するが観客は皆無だ。


(つまんねぇな。) 


ヴーヴー。

スマホが震えながら私を嘲笑した。

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