第4話 妹は悪気の無い破壊魔!

「お兄ちゃん!壊れた!助けて!」


そんな声を出して、階段を上がってくる妹…また何かを壊したらしい。


俺は、ため息を漏らした…そして、勢いよく開くドア!


そして、そこに立つ破壊魔、そう、俺の妹である。


チビで、ツインテールで巨乳、周りからは可愛いと甘やかされている為、全然、向上心が無い!


周りの方々には申し訳ないが、俺は全然可愛いと思わない!


俺は内心こう思う…その胸の分が、おつむに回れば、どんなに良くなるのか…非常に、非常に残念だ!




しかし、ノート型パソコンを直して3時間経ってないだろ!


何を壊した?…何が壊れただ!壊したんだろ!どんな壊し方したんだ!


「お兄ちゃん…これなんだけど。」


おい!それ、俺がさっき直したばかりのノート型パソコンじゃねーか!


ん?


な、なにー!


キーボードのボタンが、ぶっ飛んでやがる!


おい!液晶も割れてるぞ!


ヒ、ヒンジの所が折れて、ブラブラに…。



は絶句した...想像の斜め上を行きやがった!


「おい!説明しろ!」


「お兄ちゃん…怒んない?」


「状況による。」


「…」


あいつの言う話では、何故か移動中にパソコンを開きぱなしでダイブ!ズザザザ…とやって、パソコンがご臨終したと言う事だ。


…もうダメだ。あいつには、軍事用のノート型パソコンでないと…モタナイ。


「直る?」


「おい!これだけ破壊しといて、直る?でないだろ!メーカー修理だ!いや…恐らく全損だから丸々交換だ!」


グズッと泣いているが、泣く前に自重しろ。


「このパソコンは諦めろ、保険で新しい物と交換だ。」


「でも、お兄ちゃん…それ、おじいちゃんの形見…。」


「だったら何故、大切に扱わなかったんだよ!」


妹は、ぼろぼろと涙を流している…。




はぁ…まいったぜ。


確かに、俺の知識と技術、部品の流通を考えれば、修理は出来ない事はない。


最悪、部品が無ければ、一から作る…それが、今の俺の職業。


しかし、直すのは良いとして、こいつの為になるのか?


正直、俺もじいちゃんの形見を見捨てたくはない。


しかし、それは本当の意味で、形見の役割を全うした事にならないのではないか?


今の復元する仕事に就いても、そんな事ばかり考えていた。


人には感謝され、お金を儲けている…そして、生活出来ている、が、俺は正しい事をしているのだろうか?


いまだに分からない。


やれやれ…仕方がない、条件付きで復元するか!


「条件がある。」


「直してくれるの?」


「ああ、その条件って言うのは…そのパソコンを直す代わりに、今後、お前からの修理を一切受け付けない!」


「えっ!」


「時間はある、よく考えろよ。」


「ありがとう!お兄ちゃん!お願い、直して!」


…おーい、もう少し考えろよ!一切直さないのだぞ?


「本当に良いのか?」


「うん!」


「約束だからな!」


「わかった!約束!」


やれやれ、また仕事が増えた…。



形見…か。


はぁ、なんだかんだ言って、俺もじいちゃんの形見である、この店を守っているんだよなぁ…。


残念な妹だが、今回の出来事で成長してくれたら良いのだが…やれやれ、俺も甘いなぁ。


おっと、今日までに、この仕事を終わらさないと、非常に不味い、納品に間に合わせないと…。



修理工房 復元、それがこの店の名前だ。


今日も、思いが詰まったこの店で、思いが詰まった壊れた物の復元に、汗を流し、悩み続ける俺がいた…。


答えは何時も闇の中…いや、これも1つの答えなのか。

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