第九話:聖女様の秘密


 こんなうわさが流れていた。


 勇者様のパーティーにいた聖女様が魔王との戦争のあと、諸国を漫遊して人々をいやしながら残った魔族たちを駆逐くちくしていると。

 それは戦後疲弊ひへいした国々に希望の光をあて、弱いとは言え街中にまで出没する魔族を捕らえ人々に安心を与えると言うとうとい行為。

 人々は聖女様に感謝し、そして彼女をたたえていた。



「おかしいですわ、何故私はバージンのままですの?」


「いや、エマリアル様その様子を見ているとしっかりと、びっち女ですが……」


 エマリアルは半裸の魔族の男の子たちを拘束したまますりすりと頬ずりしたり、その豊満な胸に少年たちを挟んだり、太ももに無理矢理膝枕させたりしてホクホク顔でいる。

 しかし対する魔族の少年たちはメンタルを削られ、魔力が抜かれぐったりとしている。


「流石聖女様だ、魔族どもを改心させるためにお身体を張って懲らしめるとは! それがし感服いたしましたぞ!!」


「いや単に好みの若い子をでてるだけなんだけど…… 相手が人間ならいくら若い子だって大喜びしそうなものなんだけど……」


 魔族にとって聖女から発せられる聖なるオーラは精神を削り、魔力を減少させる。

 これがバージンで無ければまだましなのだが、神聖なそのオーラは魔族にはきつい。


 まさしく聖女。


 彼女はこの秘密の封印された村で既に捕まえた何十人もの魔族の男の子たちをとっかえひっかえでて楽しんでいる。

 おかげで中には『もう悪い事しません、だから許してください。この村で大人しく封印されますからこれ以上抱き着かないでぇっ!』とか涙目で言い出す子も出始めている。

 それだけ魔族にとってこの聖女は脅威きょういとなっている。



「はぁ~、目的の男捕まえる前に逆ハーレム作っちまったからエマリアル様のお肌テカテカだし。この後どうするんですか?」


 ちゅっちゅと魔族の男の子の頬にキスしていたエマリアルはよだれを垂らしながらリーリアに振り向く。


「それは勿論理想の旦那様を見つける為にここを拠点に男の子成分を補給しながら頑張りますわ!」


「いや、もういっそ気に入った男の子を拉致らちってここでその子を使ってバージン捨ててそのまま子作りして結婚しちゃえばいいんじゃないですか?」


「なるほど、それもアリですわね!! では早速近くの街でいい男の子をゲットですわ!!」


 完全に自分の欲望に誠実な聖女エマリアルはものすごいやばい事に何の迷いもなく同意をする。



 そしてバージンのまま、また今日も自分好みの若い旦那様を見つける為に人々に勘違いされながら近隣の街に希望の光をりまくのだった。


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