第13話 少女はそっと微笑む
「ま、まぁそんなことは今はどうでもいいじゃん!」
そう言って私は強引に話を遮り、歩き出す。
これ以上はまずいと、私の中にある直感が告げていたからだ。
相変わらず後ろからとんでもない視線を感じるのだが、それは一切気にしないことにした。気にしたら負けだ気にしたら負けだ……
どこからか、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ………と、何かの初号機に乗っていそうな高校生の声が聞こえた気がするが……まぁよし。
「それじゃあ、まずは………」
そう言って、周りを見渡すと、何やら人だかりができていた。
「なにあれ」
人混みの隙間から見ると、それはくじ引きのようなものがあった。
「くじ引き……?」
まぁ、確かにゲーセンだけど一応店的なのもあるからなぁここ。
「やってく?」
私はみんなにそう尋ねた。
今回は私だけが楽しむわけじゃないしね。
「「「やる」」」
三人一致でやるとの意見が出た。
私たちは列に並んで順番を待った。
ーくじ引き後ー
「まぁ、くじ引きってこんなもんだよね」
と、もーねは言った。
2人は初めての体験だったのか、目をキラキラさせている。
もーねとみかんさんといちごさんはみんな4等のティッシュだった。
まぁこれはくじ引きなどで定番の品物といえるだろう。
「もーね達はいいとしてさ…………」
私は見事に一等を当てたには当てたのだが………
「景品が………腹巻ってどういうことだ………」
そう。私が当てたのは腹巻だった。
腹巻のために、こんな人だかりができてたのか?
「まぁ、すごい伸縮性らしいじゃん?ほら、こんなに伸びるじゃん」
もーねが腹巻をひっぱり、軽々と1mも伸びた。これなら多分3mぐらいまでは軽々伸びるのではないだろうか?
「どんな素材でできてんだよ……」
この地球で作れる代物なのかこれ………?
「次はどこ行く?」
「あれしてみたい」
「……もしかしてクレーンゲームしたことないの?」
2人はコクンと頷く。
「じゃあ、クレーンゲームのコーナーに行こっか」
そしてクレーンゲームのコーナーに進むと、2人の目がキラキラと輝き始めた……ように見えた。それほど2人は楽しそうにクレーンゲームを見ている。
「はいお金」
私は2人に合計1万円……つまり100円玉100枚入った財布を渡す。
「え?これいいの?」
「まぁ、ね………スパチャなんだけど…..」
私はことの顛末を話す。
ー数分前ー
XXのあえかの投稿
『みんな。みんなのスパチャをみかんさんといちごさんに使いたいんだけどOK?』
というツイートをした。
「みんなOKしてくれるかなぁ…」
そんなことを口に出して心配していると、スマホが大量に震えた。通知がきた証拠だ。
『OKです』
『Daijoubudesu』
『Of course』
というものが大量に来ていた。
ー現在ー
「というわけ。だから大丈夫
「お姉ちゃん」
「ええ。遊びましょうか」
「うん!」
2人はクレーンゲームに走って行った。
…………コインが転がってきて、みかんさんだけつまづいて転んだけど……。
ー某所ではー
“仏”『匿っているものの情報が出たか?』
※あえかが言語を取得する度に対応する言語圏の人のこばが読者の皆さんも分かるシステムです。
“仏“『はいボス。逢崎あえか、中学一年生。荒木アエカという名前で活動しているVtuberです』
“仏“『Vtuber繋がりで頼ったのか……奴らも学ばんものだな。頼っても、頼った奴が消えるだけだというのに』
そうボスらしき人が言った。そして、
“仏“『お前ら。機会を伺い、あえかとやらを殺してこい。その周辺にもだ。あえかとやらに出会う際に仲介人がいたかもしれん』
“仏”『はっ』
そして組織の人間がアジト?から全員出ていった。その静寂が訪れたアジト?のなかでボスらしき人が呟く。
“仏“『盗聴器を見破り、破壊した腕前、しかと確かめさせてもらおう………盗聴器を破壊下付けを払ってもらわなきゃな……』
ービッチー
「そろそろ引っかかってる頃かな………」
「あえちゃん?」
魚は、あえかの仕掛けた釣り針にまんまと引っかかったのだった。
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