#26 太陽を纏った朝顔の花 その①

翌日、緑莉の家から直接学校へ向かった葵と朱珠は、学校の授業を全て終えると、再び仕事の為に緑莉の家へと向かっていた。


綾女 葵

『疲れは取れた?』


神原 朱珠

『疲れは取れたで! せやけど大変な仕事やなぁ。』


綾女 葵

『昨日は運が悪かっただけよ。

毎日あんなハードな事をしている訳では無いわ。』


2人が歩いているとコンビニが見えて来た。


神原 朱珠

『なあ、葵ちゃん!

昨日、泊めてもらった御礼に、緑莉ちゃんにお菓子を買って行きたいねんけど、ええかな?』


綾女 葵

『そうね。 夕飯も御馳走になった事だし、私も何か買って行こうかしら?』


そういうと朱珠は『ほな行こ! ほな行こ!』と言いながら、葵の手を掴みコンビニの中へと引っ張っていった。


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緑莉の家に着く2人。

玄関の扉を引くと、部屋の中から黄泉の機嫌の悪そうな声が聞こえて来た。


ソファが設置されている部屋に入る葵と朱珠。

そこにはソファに座り始末書に文を書いている黄泉の姿があった。

向かいの腰掛けの無い小さなソファに、緑莉も困り顔で座っており、玄関側の扉の近くには白華の姿もあった。


綾女 葵

『何かあったの?』


白華に対して葵が問い掛けると、白華は『おはよう。 リーダー。』と言い、葵と朱珠を玄関の方へと連れ出した。


林藤 白華

『昨日の事なんだけどね。

ユリちゃんが拳銃でマンションの硝子を割ったでしょ。

あれでblancのお偉いさんが怒ってしまったみたいで、何とかサクラさんが怒りを沈めてくれたみたいなんだけど、始末書は魔逃れなかったそうなんだ。』


綾女 葵

『そういう事だったのね。』


少し沈黙が続いた後、白華は朱珠の方に向かって笑顔で『昨日はお疲れ様。 疲れてたでしょ。』と話しかけて来た。


神原 朱珠

『へへ! 大丈夫やで!

それより、サクラさんって誰なん?』


綾女 葵

『私の前に、ここのリーダーを務めていた人よ。』


神原 朱珠

『えっ! そうなん!

葵ちゃんが中心に出来たチームやないねんな!』

 

綾女 葵

『えゝ、ヨツバちゃんも私が加入するより前から居る子よ。』


神原 朱珠

『えっ! そうなん!』


そんな話しをしていると、玄関の扉が開き橙羽が入って来た。


日廻 橙羽

『こんにちはー!』


林藤 白華

『こんにちは!』


綾女 葵

『こんにちは。今日は、これで2度目ね。』


神原 朱珠

『せやな。』


満足げに微笑む橙羽。


林藤 白華

『それにしても、結構、時間が掛かったんだね。』


日廻 橙羽

『うん!』


神原 朱珠

『時間?』


林藤 白華

『ヒマワリちゃんは面倒見が良いからね、今日も放課後お友達に勉強を教える事になっていたんだって。』


神原 朱珠

『へぇ〜意外やなぁ!』


腰に両手を添え威張り顔をしている橙羽。


綾女 葵

『どうりで寄り道をしたにも関わらず、道中で合わなかった訳ね。』


日廻 橙羽

『えっ! もしかして橙羽の事、待っててくれたの?』


神原 朱珠

『ちゃうちゃう! 昨日、家に泊めてくれた御礼に、ヨツバちゃんに御礼のお菓子を買いにコンビニに寄っただけやで!』


日廻 橙羽

『あっ! 橙羽、何も買って来たら良かった!』


綾女 葵

『また仕事で外へ出るから、その時に買って帰ってあげたら喜ぶんじゃないかしら。』


日廻 橙羽

『そうだね。 そうする!』


そんな会話をしていると、玄関の扉が再び開き紫月が入って来た。


朝顔 紫月

『おはよう!』


綾女 葵

『おはよう。』


林藤 白華

『おはよう。これで皆、揃ったね。』


朝顔 紫月

『外に居なかったから、黄泉ちゃん来ていないのかと思っていたんだけど、来ていたんだね。』


林藤 白華

『書いてほしい書類があって、今日は先に入ってもらったんだ。』


朝顔 紫月

『書類?』


白華は葵達に話した会話を、紫月にも伝えた。


朝顔 紫月

『そうなんだ。 何か責任、感じちゃうな。』


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ソファの設置された部屋に入る5人。

黄泉は始末書を書き終えた後の様だった。

そんな黄泉に近寄り、頭を下げる紫月。


朝顔 紫月

『黄泉ちゃん! 御免ね!』

 

百合 黄泉

『紫月ちゃん! 止めてよ!』


顔を赤くし立ち上がった黄泉は、再び怒った形相で『あの警部さんが、いけないのよ!』『私は、ちゃんと許可を取ったんだからね!』と俯きながら少しキツめの口調で言葉を発した。


四葉 緑莉

『それはそうなのかもしれないけどね、限度ってものが・・・。』


百合 黄泉

『限度? じゃあ、あの場でどうしろって言うのよ?』


俯く緑莉と緑莉を睨み付ける黄泉。

白華は黄泉の肩を撫でながら『まあまあ、落ち着いて!』と声を掛けていた。


ふと黄泉は紫月の顔を眺めると、紫月が涙ぐんでいる事に気が付いた。

その瞬間、黄泉は悔しそうな表情を浮かべ『今日は帰るわ。』と言い外へと出て行った。


綾女 葵

『普段は休日の日も、ここで本を読んでいるのに、今回は余程、腹が立っているみたいね。』


白華が緑莉に対し『また、私の方からも言っておくね。』と言うと、緑莉は『大丈夫だよ。』と少し悲しそうな表情を浮かべていた。


涙ぐんでいる紫月の元に向かう橙羽と朱珠。

 

日廻 橙羽

『アサガオちゃん、大丈夫?』


朝顔 紫月

『大丈夫だよ。 御免ね。』

 

神原 朱珠

『せや! チョコレート買って来てん!

これ食べて元気出し!』


朝顔 紫月

『有難う。』


紫月は朱珠からチョコレートを受け取った。

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