#19 初めての任務 その⑥
事故が起きてから少し経ち、
トンネルの入り口に、葵と朱珠が到着した。
葵と朱珠がトンネルの中へ入ると、
小規模の炎ではあるが、
炎が上がっている乗用車3台と、
乗車している人を救助に向かっている、
白華と如月警部の姿があった。
朱珠が慌てて炎の上がっている
乗用車に向かおうとしていると、
葵は朱珠の肩を掴み
『駄目よ。』と一言呟いた。
神原 朱珠
『えっ! でも!』
綾女 葵
『バラちゃんの中には、
学校で出逢った女性警察官の霊体が居るの。
この炎の中に飛び込むのは、危険よ。
ここは、憑依されていないリンドウちゃんと、
如月警部に任せましょ。』
神原 朱珠
『う、うん。』
葵は話し終わると、
持っていた白と黒に彩られた球体を、
炎の上がっている乗用車の方へと投げた。
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救助に向かった白華と如月警部は、
衝突された乗用車を避け切れずに、
衝突された乗用車に衝突した
乗用車の運転手は軽傷だった様で、
自力で外へ出て来ていた為、
2手に分かれて、
白華は突き込んで行った白い乗用車へ向かい、
如月警部は衝突された乗用車へ向かっていた。
白い車の中でハンドルと座席に挟まれ、
『痛いよ! 熱いよ!』と泣き叫ぶ運転手は、
正気を取り戻している様で、
どうやら憑依した霊体は、
消滅した後の様だった。
白華は運転手に、
『大丈夫ですよ! 今、助けますから!
さあ、私に捕まってください!』
と声を掛けた。
運転手が弱々しい力で白華にしがみ付くと、
白華は腕に自身の持つ全ての力を入れ、
運転手をハンドルと座席の間から、
助手席の方へと引き摺り出した。
林藤 白華
『はぁ、はぁ。
もう少し、もう少しですよ。』
そう言いながら白華が後部座席に目をやると、
チャイルドシートが設置されていない事に
気が付いた。
その瞬間、青ざめる白華。
林藤 白華
『あの・・・。 赤ちゃんは・・・?』
運転手は顔を歪めながらも少し笑顔を見せ、
『赤ちゃん? 居ませんよ。 僕、独身なので。』
とゆっくりと話した。
そんな中、
緊急車両のサイレンの音が聞こえて来た。
どうやら、
如月警部の連絡で
救助が駆け付けてくれた様だ。
目の前に止まる救急車や消防車を眺める葵。
綾女 葵
『私達は、用済みの様ね。』
神原 朱珠
『せやな。』
2人が話していると、
白華は運転手を救急隊に引き渡し、
葵と朱珠の方に近づいて来た。
林藤 白華
『リーダー! 御免なさい!
どうやら聞いた車を、
見逃したみたいなんだ!』
神原 朱珠
『見逃した? でも白い車は、そこで・・・。』
林藤 白華
『この車には、
チャイルドシートが
付いて居なかったんだ・・・。』
神原 朱珠
『えっ! この車、違う車なん⁈』
燃えている乗用車を眺める葵と朱珠。
綾女 葵
『燃えているから分からなかったけど、
確かに少し形が違うわね。』
神原 朱珠
『て事は、何なん?
あの車はどこ? この事故は関係無いん?』
林藤 白華
『目の前の白い乗用車の運転手は、
車に打つかる直前までの
意識が無いみたいだし、
異常なスピードを出していたから、
たまたまこの周辺に、
悪霊が2人居たと考えた方が良いと思う。』
綾女 葵
『そうなると一刻も早く、
私達の見た乗用車を探す必要があるわね。
目的が
小さな子をもつ幸せな家庭を壊す事なら、
その為の手段は選ばないはずよ。
目的を果たした後は、その体を抜け出て、
罪をなすり付ける事が出来る訳だからね。』
葵の話しを聞き、
唾を飲み込む白華と朱珠。
そう話していると如月警部が、
葵達の元へやって来た。
如月警部
『林藤ちゃんから話しは聞いたよ。
少し時間は掛かるけど、
車のナンバープレートの情報から、
所有者を特定してみるよ。』
綾女 葵
『有難う御座います。』
そう言うと如月警部は、
スマホを手に電話をかけ始めた。
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