第8話 ポーメリウス迷宮都市
日が暮れる前に都市に着いた。
森に囲まれた、大きな城壁のある都市だ。
城壁には蔓が巻き付き年季を感じさせる風合いをしていた。
カルカッソンヌの城壁に似ている。 城壁の間にいくつもの三角塔が見えた。
「次!」
何度か魔物に襲われたが、驚いたことにポンメイさんも戦闘ができてめちゃくちゃ強かった。
まぁそうじゃなきゃ怪しい男と二人で行商なんてしないか。
この世界の人はみんなあれくらい戦闘ができるのだろう。
優しくて綺麗で可愛いポンメイさんですら、地球でならトップ格闘家にも負けないと思う。 それほど優雅に戦闘をこなしていたのだ、思わず見惚れて魔物の牙に貫かれたよ。 不思議パワーで服が破れただけで済んでよかった。
「むッ! ……怪しい奴だな? なんの用で来た!?」
都市へと入る列に並び検問を受けた。
槍を持った門番にめっちゃ怪しまれているんだけどなんでだ?
「ブチュ村からコンコロを売りに来ました、こっちは旦那です」
「「えっ!?」」
ポンメイさんのその一言に門番と俺の声が重なった。
「そ、そんな……う、嘘だろ……」
「旦那です」
「ぐあぁああ!?」
ウソだ、ウソだと叫ぶ門番は同僚らしい人に引きずられて去っていった。
「なんだあれブヒ?」
「ふふふ、いつもしつこいんですよ?」
悪戯気にわらうポンメイさんマジ小悪魔!
勝手に旦那にされた俺のハートもどうにかしてほしいです。
オルコ君がいるとはいえ、普通にポンメイさん可愛いからな~。狙っている人も多いのだろう。
さっきの門番はその一人かな。
「ポーメリウス迷宮都市」
アーチ状の大きく書かれた文字が読めた。
異世界の言葉と文字がわかる。 書くことはできないけど。 不思議パワーのおかげか、ミリアナ様に感謝だな。
石畳を進んでいく。
目に飛び込んでくる都市の風景は緑に溢れていた。木造の家が多く樹木も草花も多い。 緑と花の都市。
美味しそうな果物の匂いがする。
「よお! 今日はどうしたぁ? 来るのがちとはえぇんじゃねぇか?」
コンコロの卸先、青果を商う露天商のおじさんが声をかけてきた。
肌の色はポンメイさんと一緒で少し褐色肌をしている。額に巻いたバンダナが眉を隠している。 快活に笑う歯が白く光る。
なかなかのハンサムおじさんである。
「おっ、メッテジか? そっちのがやったのか?」
荷車には途中で狩ったイノシシみたいな魔物、メッテジものせている。
そこそこの値段になるらしい。
「そうよぉ、タクマさんとっても強いのよ」
「むふぅ!」
荷車も引いてきたから結構不思議パワーを消耗したけど、ポンメイさんの好感度アップだぜ!
……お腹空いた、その美味しそうな果物食べたいな。
「へぇ? そんな強そうにはみえないが……、たしかに傷も少ない。 これは高く買わせてもらうぜ!」
サムズアップするバンダナおじさん。
青果以外も取り扱ってくれるらしい。
ポンメイさんと世間話をして仲がよさそうだけど、どういう関係なんだろう……?
むやむやする。
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