ラスカルと開ける24の扉【アドベントカレンダー2023】

秋色

12月1日 はじめまして

 はじめまして。クリスマスまであと25日となりました。今日から12月25日までの間、アドヴェントカレンダー企画として、ささやかなエッセイを毎日更新します。  


 タイトルは「ラスカルと開ける24の扉」。


 ラスカルは、昭和世代では、カルピス名作劇場として放送されたアニメ、「あらいぐまラスカル」のメインキャラとして、それ以降の世代でも、再放送や縫いぐるみ等キャラクター商品を通してお馴染みですよね。私も再放送のアニメで大好きになり、本を読んだクチです。



 内容は……ある日、森で見つけたアライグマの赤ちゃんを主人公はラスカルと名付け、育てるのですが、翌年の春、成長したラスカルは、もう小さな子どものアライグマではありませんでした。村で一緒に暮らすのは困難となり、悲しくも森に放す……ざっくり言うとそんな感じの約一年間のお話です。

 アニメと原作とでは、終盤が特に異なっています。共通しているのは、ラスカルが愛らしくて、一緒に過ごす日々が幸せいっぱいに描かれている事。


 元々は、スターリング・ノース(1906〜1974)が少年時代を回顧して書いた作品で、時代背景も1918年(大正7年)の初夏から1919年(大正8年)と、かなり古いお話です。この小説が1963年(昭和38年)発表されるとアメリカ合衆国でベストセラーとなり、その後、ディズニーにより実写版映画が公開されています。



「そんな古い話を今なぜ?」と言われそうですが、私自身、どうしてもこの小説の描くテーマが古いとは感じられないのです。もちろん描かれている社会自体は、かなり昔の北米の農村ではあるのですが。


 なぜ古いとは感じられないかと言うと……




 最近クマやイノシシ、猿、さらにはキョンによる被害が日本各地で起こっています。そういったニュースが、この作品の中に描かれる"野生動物との共存の難しさ"をどうしても思い起こさせるからです。


 また、去年、この本を読み返すきっかけとなったのが、一週間少しのコロナ療養でした。

 部屋から出られないこの期間にラスカルを再読したのですが、奇しくもこの作品で描かれている年、世界はスペイン風邪(H1N1亜型インフルエンザ)の大流行に見舞われているのです。作中でも主人公のスターリング少年がスペイン風邪にかかります。

 当時のスペイン風邪の猛威は、コロナ(COVID-19)の比でなく、死者数は一億を超えていたとか。コロナの死者数は今のところ690万人程で、それも決して少なくはない数字なのですが。

 また、昨年には、それに加え、ウクライナ侵攻という世界情勢もありました。この作品の時代背景は、第一次世界大戦中で、主人公の兄は徴兵されていて、それも現代にリンクするのです。スペイン風邪の方は、結局その流行が第一次世界大戦の終結を早める事にもなったらしいのですが。


 このように色々理由をあげても結局は、この小説が大好きであるという事に尽きます。

 繊細でありながら、淡々と書かれていて、また昔の作品なのに、スターリング少年の視点が割と新し目なんですよね。この作品が書かれた1963年という時代からしても、もっと現代に近い感じ。それは、きっと作者が新聞記者であった事と関係があるのでしょう。


 特定の小説をあげるのはどうなのかなと思いましたが、大好きな作品であり、リスペクトしつつ紹介させて頂きます。

 ちなみにここで紹介させて頂くのは、基本、小説の方です。が、アニメ版と比較する事も多くなるでしょう。


 この作品、及びアニメをご存知ない方にも楽しんで頂けるように書けたらと思います。


 まずは、明日、主な登場人物の紹介から。。。


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