#16
オークは全て
ちなみに、「主人公が、
なお、オーク肉は食用に足るが、好んで食肉処理をしたがる業者が少ない為、あまり一般には出回らない。その味は
★☆★ ☆★☆
ゴブリンの村を抜け、更に北へと行くと、そこでゴブリンがオークと戦っていた。
数の上ではゴブリン約50匹に対し、オーク12匹。だが負傷者の数はゴブリンの方が多い。それでも、じっくり観察していると、ゴブリンは負傷しているものの犠牲者はなく、オークは
ゴブリンは
こうして勝てないまでも時間を稼ぎ、また疲労を誘って撤退に追い込むのが、この方面のゴブリン
そんな戦場の様子を見届けたうえで、更に北を目指す。
その先にあったのは、やはり、オークの集落であった。
集落としての規模は、多く見積もっても50そこそこだろう。しかし、ゴブリン村の戦力を考えると、総力戦になったら全滅覚悟。つまり半数を南のカラン村に向けている現状は、明らかに有事体制であり、ゴブリン村としては、その体制を長く続けることは出来ないということだ。
一方のオークの集落にとっては。
ゴブリン村を全滅させても、オーク側も全滅したら意味がない。オークの生存目的は繁殖だ、などといわれているように、彼らも
それは、オークの集落のすぐ北側にあった。
◇◆◇ ◆◇◆
それは、超巨大な
森の一角を覆おおい尽くすような、巨大な蜘蛛の巣であった。
それを見た俺の本能と前世の知識は、全力で
「異世界転生」と「蜘蛛型魔物」。俺にとってこの組み合わせは、悪夢としか言いようがない。
もしかしたら、甘味をお
いや、そんな冗談半分の
そう。おそらくこれが、元凶。
必要な情報を
◇◆◇ ◆◇◆
「オークの襲撃に巨大な蜘蛛の巣、ですか」
カラン村の村長宅で、今回の一件の担当者であるギルド職員・ヨシュアさんに報告した。
「はい。おそらく蜘蛛型魔物が巣を作り、その巣を恐れたオークが南側に逃げ出してゴブリン村と戦争になり、ゴブリン村が
そしてそれがわかった以上、手を打てますでしょう」
「ゴブリンと同盟、ですか。屈辱ですね」
「そう腐るものでもないと思いますよ。
ゴブリンには話が通じる。オークには通じない。ならゴブリンと共闘し、のちにゴブリン村をその蜘蛛型魔物に対する監視兼防壁にする。蜘蛛型魔物が南下してきたとき、ゴブリンたちとの戦いを観察すれば、撤退すべきか村ごと避難すべきかすぐにわかるでしょう。そしてその為の時間も、ゴブリンたちに稼いでもらえます」
「
「それは当然でしょう。というか、その蜘蛛型魔物に関しては、我々は知らない筈はずのことですから、『カラン村襲撃の罪を
「そのあたりはこちらで詰めましょう。ともかくアレク君。今回はご苦労でした」
◇◆◇ ◆◇◆
ハティスの街に帰還して、すぐ。
俺は孤児院のベッドにぶっ倒れ、それから三日間目を
そして、普通に歩けるようになるまでは、更に五日間かかった。
その間に、カラン村の一件は全て解決した。
ゴブリン村を襲っていたオークは、ゴブリンと冒険者の共同作戦で全滅した。
戦術としては、ゴブリンたちがオークを誘い込み、退路を断った冒険者が一匹ずつ殲滅するという形を取ったのだという。
カラン村とゴブリン村は改めて講和が結ばれ、ゴブリン村は襲撃とオーク撃退の補償として向こう三年間、一定人数のゴブリンをカラン村の
☆★☆ ★☆★
カラン村の村人たちとゴブリン村のゴブリンたちの
ゴブリンたちも三年間の労役の中で人間語を学び、より村人に近しく寄り添うことになった。
ゴブリンたちの労役の期限である三年が過ぎた後も、ゴブリンたちは(今度は正当な商取引として)カラン村に労働力を提供し、対価として野菜や工業製品などを受け取り、その生活水準を向上させていった。
更にその
カラン村のゴブリンたちは、村人とその先にあるハティスの住民が避難する時間を稼ぐ為に奮戦し、最終的に全滅したという。
この地方から逃れた難民たちが
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