第59話 俺達に義務は無い
「それで、これからどうするの?」
「どうしようかな? お金もそこそこ溜まったし、カイトの補助という仕事も終わったから……もうちょっと楽な場所に移って冒険者をしようと思うんだ」
「楽な場所!?」
俺は勇者じゃない。
だから生き方を自由に選べる。
魔族、強い魔物……クソ喰らえだ。
そんな物と戦う必要は無い。
ゼウスさんも言っていた『税金を払っているんだから、貰っている奴が戦えば良い』ってな。
魔族と戦うなら、騎士や兵隊がやれば良い。
「勇者カイトが負けた位の敵が、この先にいる以上、出来るだけ此処から遠ざかりたい。ゴブリンやオーク位しか出ない様な場所を探して、そこで冒険者をするなりして生活しようと思う……それが分相応だよ」
「そうだね! 良かったよ……カイトが死んだと知った時から顔が青かったからね」
「もし、俺が天才なら敵討ちとか考えたかも知れない……俺は思った以上にカイトが好きだったようだからね……だけど俺は凡才だからそれは出来ない……だから危ない場所から遠ざかり、レイラと楽しく暮すよ」
「それを聞いて安心したよ……私もリヒトも身近に英雄や勇者が居ただけで、少し才能があるだけの普通の人間なんだよ……それをリヒトも解ってくれていて安心したよ」
「そうだね……」
カイトを見て思った『大きな力を持った者はその力に義務が生じる』
大きな力を持たない俺達には義務は無い。
「それじゃ」
「どこか落ち着く場所を探して、楽しく暮そう」
「良いね、それ」
レイラと一緒に安住の地を探しに俺は旅立つ事を決めた。
FIN
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