第13話 いつもと違う日
あ~う~本当に困った。
普通信じられるか?
15歳の若い男が27歳のあたいに本気で惚れるなんて…
しかも、あたいは『剛腕のレイラ』なんて字持ちで男女扱いで、皆から敬遠される女だぞ。
しかも『英雄パーティメンバー』なんて下駄迄履かせても結婚出来なかった負け組女だ…
正直言えば、あのままさせてあげても良かったんだけど…
流石にこれじゃ無理だ。
下の毛の手入れもして無かったからボーボー状態。
脇もそうだ…これじゃ幾らリヒトでも引くよな…
今迄、本当に女捨ててたわ。
大体…こういう話はあたいには無い…そう思っていたからな。
ハァ~此処迄きたら、もう否定なんて出来ねーよ。
リヒトが、女としてあたいを好きなのが解ってしまった。
もう腹を括るしかないな…
リヒトが帰ってくるまでに準備位はしておいてやるか…
本当に仕方ない…仕方ない。
◆◆◆
本当にこれで良いのか?
取り敢えず、恥ずかしくない様に、脇毛も股の毛もちゃんと処理した。
なんなら、脛も腕も気がつく限り手入れを済ました。
しっかりとシャワーを浴びて…リヒトがくれたお小遣いから、下着も新品を買ってきて身に着けた。
本当にこの下着で良かったのか?
あの店員『お客様にはこう言うワイルドなのが似合いますよ』なんて言ってヒョウ柄の物を押し付けてきやがった。
これお尻側なんて殆ど紐だし、ブラも乳首位しか隠せてねーじゃん。
本当に大丈夫かな?
しかし、見れば見る程自信が無くなるよ…
リヒトは喜んで揉んでいたけど、あたいの胸はどう見ても10代の時より垂れてきているし…
お腹だって鍛えているけど、少し柔らかくなった気がする。
お尻なんて元からやや大きめだし…
なんだかな…
それより、今迄男経験無いんだけど、まさかあそこカビていたりしないよな(笑)?
臭いとかは大丈夫かな…おばさん臭とかしないよな?
化粧は…あははっ、うん、化け物にしか見えないから諦めた。
仕方ない…仕方ない、これが今のあたいの限界だ。
大体、あたいの事が好きだって言ったのはリヒトだ。
これで満足して貰うしかないな。
これ以上は無理だよ…うん…あたいは鏡で再度可笑しな所は無いか確認して、服を着た。
◆◆◆
「ただいまぁ~レイラ姉さん機嫌なおったぁ~」
「リヒト、なに言っているのかな?別にあたいは機嫌なんて悪くないよ?それより、リヒト今日は美味しい物を食べに連れていってくれるんだよな?」
なんだかレイラ姉さんが凄く綺麗に見える。
「勿論、凄く美味しそうなレストランを見つけたんだ行こうか?ワインも美味しいらしいよ」
「うん…だけどワインは良いや」
「お酒、あんなに好きだったのに?」
「あははっ、そんなに好きじゃないよ!嫌な事を忘れる為に飲んでいただけさぁ」
そう言えばレイラ姉さんも昔はあまりお酒を飲んでいなかった気がする。
「そう言えば、そうだね」
今日のレイラ姉さんは凄くおしゃべりだ。
いつもと違い、笑顔で話してくれる。
そうだ…俺はこの明るくて、優しい、このレイラ姉さんに一目ぼれしたんだ。
「それじゃ、レストランの予約の時間があるから行こうか?」
俺は無理元でそっと手を伸ばした。
手を繋ぐのではなくレイラ姉さんは俺の腕にしがみ付いてきた。
「なんで驚いた顔してんの?喜びなさいよ…(ボソッ)恥ずかしいんだから…」
「うん…ありがとう」
「どう致しまして」
これって、まるでデートみたいだ。
◆◆◆
「随分と張り込んだね…」
「レイラ姉さんとデートだから張り込んでみましたぁ~」
「そう、ありがとう!」
流石に貴族がくる様なレベルじゃないけど、冒険者や平民がくるレベルじゃ高級店だ。
「さぁ、入ろう」
「そうね…」
「いらっしゃいませ」
「予約していたリヒトです!今日はよろしく!」
「はい、2名様でご予約のリヒト様ですね、承っております、それじゃお席に案内させて頂きます」
静かな良い席をお願いして置いた…なかなか良い席だ。
「凄く、良い店だね…こんな店入った事ないわ」
「昼間見た時に気にってね、なかなか大人っぽい雰囲気の良い店でしょう?」
「こう言う店に『私』は来たことが無いから解んないなぁ~」
今、レイラ姉さん私って言ったなかったか?
「レイラ姉さん?!」
「なに驚いているの? まぁ良いけどさぁ…私と付き合いたいなら、その姉さんって言うのは無しにしない? ただでさぇ親子程齢が離れているんだからさぁ、姉さんって呼ぶと姉弟にしか思われないよ? ほうら…」
「え~とレイラさん…」
「なんで、『さん』をつけるのさぁ…私と付き合いたいんだろう?」
「レイラ…」
「宜しい、それじゃ、食事しながらお話でもする?」
「そうだね…」
「しかし、本当に凄いね、5歳位からって考えると10年かぁ、良く考えたらあの時ですら私は17歳、村で考えたら、普通に結婚していても可笑しくない歳だよね…」
「いえ…俺がレイラ姉さん…」
「レイラ」
「俺がレイラを好きになった時は…もっと前、3歳位の時からかな、尤も、まだ子供だから『好き』って意味も解らない時期だったけど」
「3歳?!凄い話だね…言われてみれば、懐かれていた気はするけど…あはははっ、そうなんだあの時、既に私の事が好きだったんだ…納得、うん納得した…」
「レイラ姉さん、どうしたの?」
「レイラ…」
「そうだね、レイラ、笑いだしてどうしたの?」
「本当にマセテたんだね! 子供の癖に…良く抱き着いたり、胸やお尻を触ってきたからさぁ、今思えば子供にしても妙におかしいと思っていたんだよ…そうか、あの時から既に好きだったんだ…成程ね、確かに良く考えたら、好きになってすぐに花束を渡したりしないよね…しかし、3歳ね…3歳…うん? だけど、あの頃はカイトのお母さんミレアさんにも懐いていたような気がするけど?」
「まぁ一番好きなのは…そのレイラだったけど、ミレアさん達も充分魅力的だったから…まだ子供だし結婚の意味も解らなかったし…」
「そりゃそうだ、知っていてそんな事する奴は流石に居ないよ! それでさぁ、記憶を思いだしてみたんだけど? ある時から私にべったりになったじゃない? どうして?」
今日のレイラは凄く笑顔で話してくれる。
「多分、両親が亡くなって、1人になった時からかな?どんなに好きになっても俺を一番に好きになってくれる人なんて居ない…そう思っちゃったんだ! 仕方ないよね…家族じゃないんだから」
「成程ね、私も家族を早くに亡くしたからその気持ち、良く解るよ!」
「まぁ、湿っぽくなっちゃうから、この話はもう無し、まずは料理を食べちゃおう…ほらワインもあるよ」
「そうだね、頂いちゃおう」
今日のレイラは何時もと違って凄く楽しそうだった。
どうしたんだろう?
◆◆◆
宿に戻ってきた。
「今日はありがとうね!凄く楽しかったわ」
「俺も同じだよ!レイラ姉さん」
「だから…レイラ…」
「レイラ、これで良い?」
「うん、良いよ…」
レイラはそのままベッドへ仰向けになり寝ころんだ。
「私、こう言うの初めてだから…激しくしないで優しくしてね」
俺にとっての長い夜が始まる。
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