第9話 和解


「リヒト!おまえ一体何を考えているんだよ!」


俺は今、レイラ姉さんに正座をさせられている。


これじゃ、どっちが主なのか解らない。


だが、悔いはない。


「俺にとってレイラ姉さんは理想の女性なので、奴隷落ちが決まっていたそうなので、そのまま買い取らせて貰いました…なにか問題でもありますか?」


「あのな…前にも言ったが、リヒトお前のあたいへの好意は『家族愛』であって男女間の好意じゃねー! 何度言ったら解るんだよ!」


「レイラ姉さんこそ、解ってない! 俺の好意がそうであっても、レイラ姉さんと俺は血が繋がって無いから問題はない筈です!大体、男は母親や姉に女は父親や兄に理想を見るものらしいですよ! だったら俺がレイラ姉さんを好きでも可笑しくない筈です」


大体、初めて好きになるのが母親や姉身近な人っていうのは良くある話だ。


「それも、ゼウスの影響かよ…まったくあの爺、碌な事教えねーな!」


「確かにゼウスさんは変わり者ですが、凄腕の冒険者です!それに転生者らしいので、色々教えて貰いました…」


「まぁ、それは良いけど…ババコンなんて変な癖までつけてどうすんだよ!」


「あはははっ、そうですね、ですが俺は同い年の女の子に全く興味がないのは事実です…もう治りませんよ絶対!だから…」


「それで、あたいか! 大体、ガキの頃から年上が好きで、馬鹿みたいにカイト達の親父に離婚するなら奥さん下さい…とか言っていたもんな」


「残念ながら『将来譲ってやる』なんて人は居ませんでしたね」


「それじゃ聞くけど?リヒトはババコンなのは仕方ないとしてだ…なんで、あたいが良い訳?上級剣士なんだから冒険者として稼げるだろう?それこそ、大きな都市に行けば未亡人とか居るし、金が貯まったら奴隷商に行って好みのお姉さんでも買えば良かったんじゃねーか?あたい位の年齢の女なら安く買えるんじゃねーか?」



「ハァ~レイラ姉さん酷いよ! 年上なら誰でも良い訳じゃないよ…レイラ姉さんが良いんだよ!」


「あん?そんな嘘言うなよ…だったらあたいの良い所言って見ろよ」


「義理人情に熱い所に、戦う姿が凄くカッコ良いし、凄い美人だし、スタイルも抜群…」


「あっあーそう?もういいや…」


レイラ姉さん顔が赤いな。


「もういいやって…」


「借金した、あたいが悪いし、元々どうなっても良い…そんな気持ちで飲んだくれていたんだ…そこ迄好きだっていうならくれてやるよ…それであたいはリヒトに何をすれば良いんだ、この体で夜伽の相手でもすれば良いのか?」


「それはしなくて良いや」


「なんだ…結局はお前も、あたいが抱けねーんじゃねーか」


「それは違う…どうせそう言う事するなら、しっかりレイラ姉さんに愛されてからしたい…だから俺が買ったのはレイラ姉さんと一緒に居られる時間を買ったと思っている! 俺は何時でもウエルカムだからレイラ姉さんが俺を本当に好きになった時に相手してくれればよいさ…」


「それで良いの?」


「ああっ」


俺が欲しいのは体じゃない心だからな。

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