第2話 レイラ姉さん
村の酒場に来た。
此処に来れば...まぁレイラ姉さんは居る。
「レイラ姉さん、風邪ひくよ!」
「なんら…おっリヒトくんじゃないか…あははっ、あたいなんてもう、どうなってもいいらよ!」
凄く酒臭いな…
暇さえあれば、酒を飲んでいるんだから仕方ないな…
気のせいか、汗迄酒の臭いがする。
「良くないよ? 女なんだからこんなに酔っぱらっちゃってたら、危ないよ!」
「なんら…そんな事言うのは、リヒトくんくらいらよ…ヒクッ、うぃ~あたいなんて抱きたい男なんていないを…男娼すら断られる女なんらよ…あたいわ…前の英雄パーティで唯一婚姻相手がでなかった…女なんらを…あたいわ…」
俺からしたら、そんな事は無い、赤髪のシャギーに綺麗な大きな目、褐色の肌に大きな胸に大きなお尻、鍛えられている筈なのに細マッチョで決してゴツゴツして無い体…そして柔らかそうな太腿。
思わず『ごくり』と生唾ものだ。
しかもジョブが闘士だからか服装も、薄い。
まさに理想の女性だ。
男娼に断られるのは…ベロンベロンに酔っぱらっているからだ。
「はいはい、そんな事言うならさっさと俺に抱かれて嫁になって下さいね」
「相変わらずだねぇ~リヒトくんわぁ~そういうじょうだんわぁ…いいかわね…親子並みに歳が離れていうんだからね…気を使わなくて良いから…う~ん」
酔いつぶれて寝てしまった。
「リヒト悪いが、またレイラを連れ帰って貰えないか?」
「良いですよ、それじゃ…」
俺はレイラ…姉さんを担いで村の酒場を後にした。
◆◆◆
レイラ姉さんが飲んだくれているのには理由がある。
それは、先の英雄パーティで活躍したのに、レイラ姉さんだけが不遇だったからだ。
レイラ姉さんは闘志というジョブでブラスナックルを使った接近戦が戦闘スタイルだ。
そのせいで『剛腕のレイラ』なんて字(あざな)がついたのだが、暴力的で野蛮人という風評で『ゴリラ女』なんてあだ名をつけられ陰口を叩かれていた。
英雄パーティに居るやっかみもあるのかも知れない。
剣や魔法で戦う他のメンバーに対し確かに優雅じゃない。
魔物をぶん殴り血肉が飛び散る戦いは確かに凄惨に見えるが…それを守って貰っている奴が陰口を叩くのは違うと思う。
英雄パーティの中で凄く人気が無く、それ処か英雄パーティとして戦い、国を救った中心人物の1人だったのに…婚姻相手が居なかった。
普通は、手柄に対して婚約者が山ほど現れる。
だが、レイラ姉さんにはゼロ。
普通、勇者や英雄パーティならばその旅が終わった後は勇者や英雄の側室になるか、王族貴族との縁談が沢山来る。
事実、その時の聖女や賢者には貴族を含む婚姻希望者が山ほど現れ、選ぶのは凄く大変だったらしい…
レイラ姉さんだけに婚姻の話どころかお見合いの話も無かったそうだ。
それだけじゃなく…その後も縁がなく今も1人。
これがレイラ姉さんが荒れている原因だ。
「リヒトむにゃむにゃ…」
確かに戦っている時のレイラ姉さんは恐ろしく見えるのかも知れない。
だけど、俺には普段のレイラ姉さんは凄く可愛らしく見える。
それに、野蛮だとか皆は言っていたけど、魔物をブラスナックルで倒す姉さんは幼い頃の俺の目には本物の英雄の様に見えていた。
それが、今は飲んだくれ…まぁ、それでもレイラ姉さんは可愛いし美人に思えるけどね。
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