法に優先されるもの
(何だ、今の?)
レオンはクリスの
(今、絶対記憶消された……感じ、よね?)
(反応変だったもんな)
(右頬の雷様の模様が光りましたね。何かの
当然のように離れた場所から口も動かさずにセルシアが内緒話に参加してくる。音の剣とは便利なものだ。
(ちょっと、雷様……怖いわね。今回は助かったけど)
(マジでごめんな。完全に気が抜けてた)
(気持ちは分かります、クリス君を
(毎回記憶消されてると脳にもヤバそうだしな。悪い人じゃないみたいだから負担になりたくない)
(脳にもヤバいの? 私は単に常に雷様に見張られてるのが怖いって話だったんだけど……というかこの調子で
(確かに。でも、イグラスの技術レベルが分からないので、軽く見るのはいけませんね……)
クリス抜きで会話していると、彼はふらっとセルシアの方に寄ってきた。
「ねーねーセルシアさん。あの二人、デキてんの?」
「でででデキてねーけど!?」
レオンはびっくりして飛びあがった。サンリアも口を
「……デキてはないそうですよ?」
「へー、なるほどねー。じゃあセルシアさんはボッチかー。俺にしとく?」
「お金もらえるならいいですよ」
「うわっ、ノータイムでそんな返しする人初めて見た! お兄さんかなりのヤリ手だねー。こういう人に手を出してはいけないことを俺は知ってるぞーちなみに今のは
「そういう商売でしたからね」
「何の話してんのよ……
「えー? まあ大体よその国と同じだよ? 人に危害を加えないー、物を盗まないー、屋外で飲酒やドラッグをしないー、違法モノには手を出さないー、オフライン時は警告ラベルを付けるー、毎日ボディメンテするー、高速移動する時はハイウェイを使う……免許は他国のでも使えるはずー。
うちの国特有と言えば、そうだなー……雷様が法より上に立ってるから、
ぜんぜん自分達の国とは同じでない部分が多い点については、三人ともがんばって
「諦めること、ですか。たとえば、……記憶を改ざんされたりは?」
「人同士ならもちろん、同意無しだと違法だよー。合意ならそういう治療もあるから大丈夫。でも雷様にされたなら、しかたない。意志とか関係ない。諦めてねー」
「さっき、されてたわよ」
「んー、そうなんだ。でもね、そういうの、言わなくていいよー。悲しくなっちゃうからねー」
ニコニコしていたクリスの笑顔が突然スッと
「そう……なの」
「うん。雷様を否定するならこの国には居られない。でも、消された記憶はなんだったんだろう?って、気になっちゃうのはしかたないよねー? そしてその答えはほぼ確実に得られない。理由があって消されたなら、周りに聞いて
「分かったわ。ごめんなさい」
「いいよいいよー。それでも雷様の
クリスは右頬を人差し指でトントンと叩いた。
「雷様は、いつでもどこでも見ててくれるのか?」
「見てる。見てるし、その時見てなくても
「何も悪いことできなくて、息苦しくはならないですか?
「あるよー合法だよー。悪いことしなくてもちゃんと楽しく生きられるよー」
「ならちょっと安心したけど。僕が
「まあ、今更あなたに遊ぶななんて言わないけれど。……本来の目的は忘れないでよね?」
「わはは、武闘会もセルシアさんのいい
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