空の死神~その瞳に狙われたら~
毛根死滅丸
第1話 終わりと始まり
「ここは何処だ!?」
気がついたら真っ黒の場所にいた。
自分の手すらも見えない・・・・・。
自分が今どんな状況かも分からない・・・・・。
くろ、くろ、くろ、くろ、黒・・・・・。
今わかるのは、真っ黒い場所にいる・・・それだけだ。
なぜ自分がここに居るのか分からない。
ここは死後の世界なのか?
三途の川も奪衣婆も閻魔大王にも会ってないぞ?
「ふーう。やっと魂が安定したな」
「!!!」
突然の暗闇からの声
俺は・・・あまりの驚きに声が出なかった。心臓がバクバクと脈打つのが分かった。
「驚かせてすまんの。ワシはこの世界アティムを主に代わり管理しておる神の一柱じゃよ。そなたの魂が異世界アティムに馴染むまで、この空間で保護していたのだよ。ようやく、そなたの魂が安定して自我を取り戻したのだよ」
「かみさま!!!」
驚きすぎて・・・それしか言葉が出なかった。
「すまんが姿は見せられん。そなたは現在、肉体はなく魂だけの存在になっておるから、ワシが姿を見せれば存在が消滅する」
「消滅!」
「聞きたいこともあろう。ワシの話をする前に聞きたいことがあれば答えよう」
マジか!?正直助かる・・・今、自分が置かれている状況も不明だし・・・さっき神さまが言ってた異世界とか魂の安定とか意味わからん。
「なるほど。では初めから答えようかの」
なぁ!俺・・・喋っていないよな・・・・・?
「そなたは今、肉体がなく魂だけの存在。そなたの思っていることはダイレクトに聞こえるのだよ」
「マジかよ!?」
「うむ。先ずは、そなたの疑問に答えよう。そなたは地球という、こことは別世界で死んだのだよ。そして魂がこの異世界アティムに来たのだよ」
「自分は・・・死んだんですか?」
摩訶不思議な体験を現在進行形で体験してるから・・・何となく自分が死んだんだとは思ってたけど、ハッキリ言われるとショックだな・・・・・。自分が何で死んだのか覚えていないな・・・・・。健康体そのものだったから病死ではないし老衰でもない。俺は30歳だったからな・・・・・じゃあ!アレか!トラックに轢かれそうになってる子を助けて代わりに俺が死んだのか!マジが!トラック転生かぁ!?異世界転生の小説は大好きなんだよ!!!まさか俺がトラック転生の当事者になるなんて!
「違うの」
「トラック転生ではないんですか!!!」
「なぜ!?トラックに拘っているのか分からんが、そちの世界では小学生と言うのかな、その小学生に集団暴行を受けての死じゃの」
その言葉を聞いた瞬間に思い出した。
社会人になってから、10代の頃にハマって大好きだったゲームにアニメと趣味に使える時間がなくなった。そんな時に出会ったのがネットの誰でも書き込みができる小説サイトだった。サイトを開いた時に一番最初に目にしたのは異世界に召喚された勇者の冒険記だった。それを初めて読んでからドハマりして異世界系の小説をよく読むようになったんだ。何といってもバスや電車の移動中やお昼休みにサクサク読める便利さにドハマりしたんだよな。
久しぶりの休みの日だった
「あぁ、腹減ったなぁ。夜飯まだ食ってないな・・・コンビニに弁当とパン買いに行くか。朝からネット小説を読んでたな・・・もう夜中かぁ!時間が経つのが早いな・・・・・」
俺は独り言をつぶやいていた。
自宅から徒歩10分の所にあるコンビニで、とり弁当とカレーパンを買って自宅に帰りながらカレーパンを食ってる時に・・・
「アレ?ここまでしか思い出せない・・・・・」
「そうであろう。そなたは後頭部を背後から鉄の棒で殴られたのよ。」
「・・・・・・・・・・」
「誰がそなたを殺したか見たいかの?」
「見たい!神さま!見たいです!」
「見たところで何も出来んぞ?それでも見たいかの?」
俺は神さまを(肉体はないが)見つめた!
「よかろう」
神さまが、そう言った瞬間に28型位の液晶テレビが出現した。
俺は液晶テレビを凝視した。ニュースキャスターが映し出されていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
続いてのニュースです。
昨夜未明、東京都××区○○長のコンビニ近くで会社員の龍崎青空さんが何者かに襲われ後頭部から血を流して倒れている所を通行人が発見して、警察と救急に通報するも救急が現場に到着時に既に龍崎さんの意識はなく病院で死亡が確認されました。警察は目撃者を・・・・・。
液晶画面の映像が変わり
現場の角読さーん!
「ハイ。現場の角読です。こちらか事件が起こった現場です。
昨夜未明、こちらのげ・・・ダメダメおばあちゃん!!!」
今、TVの生放送中だから・・・
「わたしゃ昨日見たのよ」
「えぇっ!おばあちゃん?昨日の事件、目撃したの?」
「まっきんきんの髪の子が二人で男の人をバットで後ろからバンって殴ってたのよ。わたしゃ怖くて怖くて・・・・・・」
液晶画面の映像が変わり
小学6年生男児二人殺人容疑で補導!!!
再び液晶画面の映像が変わり
ピンポーン!
「今回お子さんが・・・・・」
「あの!迷惑なので帰ってください。私の子供は悪くありません。まだ未成年なんですよ!!!」ガチャ!
再び液晶画面の映像が変わり
「何でこんな事をしたんだ」
「反省してまーーーーーす」
「ぼくも反省してまーす。軽く叩いただけで、あのオッサンが倒れたときに打ち所が悪かっただけでしょ?」
「僕ら二人反省してるし未成年だよ?」
液晶画面の映像が終わった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふざけやがって!!!ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!!!」
それから俺は暫く叫び絶叫していた。
「落ち着いたかな?」
「・・・・・はい」
俺の魂が揺らいでるのが分かる。
「そなたに頼みが一つある。ワシの頼みを聞いてくれたら、そちの願いは一つ叶うであろう」
「俺の願いですか?」
「今から話すことを最後まで聞いてから答えよ。良いかな?」
「はい」
「そなたには異世界アティムに転生してもらいたい。本来は異世界と異世界の魂の循環のために定期的に魂を行き来させておるのだよ。故に本来は転生に使命はないのだ。別の世界に魂を送るのが目的だからの。だが今回アティムのトレビス王国が古代アーティファクトを使用して異世界人を強制召喚しようとしておるのだ、神々が行う魂の循環と違って、古代アーティファクトは異世界人を召喚する際に異次元と異次元の空間を無理やりこじ開けるのだ。その亀裂の修復には膨大な力が必要なのだよ。もはや今回の異世界人召喚は止められん。そなたの居た世界とアティムが繋がってしまったのだよ、その繋がりを無理やり断ち切ると地球とアティム二つの世界が消滅するかもしれないのだ。神とて万能ではない。直接の介入はできないのだよ」
あまりの話のスケールに俺は絶句した。
猶も神さまは話を続けた。
「そなたに頼みたいのは、トレビス王国にあるアーティファクトの完全破壊と異世界人の抹殺・・・そなたも元日本人になるな・・・殺したくなければ、奴隷契約の魔法を使用し自由を奪え。だが異世界召喚される異世界人の中に、そなたを殺した二人も含まれているのだよ」
俺は神さまの理解不能な発言に困惑した・・・・・。
「え?はぁ?え?え?え?」
「縁とは不思議なものでな。偶然は必然になり運命に変わる」
猶も困惑する俺に
「その二人が高校3年生の時に異世界アティムに召喚されるであろう!」
その言葉を聞いたときに俺の心が魂が歓喜に震えた。殺せると!必ずこの手で殺すと!!!
「神さま!俺は依頼を受けます」
高3の時にって事は・・・俺を殺して僅か数年で外に出れて普通に生活してるのか?
いくら何でも酷すぎだろ・・・・・ふざけやがって!
人を殺しといて10代で出所?いや、未成年は刑務所に入らなかったよな?
俺がぶつぶつ独り言を言ってると
「ではこの肉体に入るが良い」
いきなり俺の前に青年が現れた!
「あ、あの神さま?」
俺は困惑した・・・・・。
「おぬしの身体じゃよ。創世神さまにお願いして作ってもらったのだよ。本来は人の子として生れ落ちるのだが、今回はアーティファクトの破壊をしてもらわねばならんからな。この肉体でアティムに転生してもらう。胸の辺りに手をかざしてみよ。」
改めて青年を見た。身長は180後半ぐらい、髪は真っ白だな、顔は北欧系かな、瞳は閉じてるから分からんな。俺より若い20代だな。
俺は言われた通りに(イメージで)手をかざした。
なんか、暖かいなポカポカするな・・・・・光が、魂が、吸い込まれていく。
「これは・・・俺の手かぁ?」
「無事に魂が肉体に入れたようだな。魂も体に馴染んでおる。そなたがアティムで困らぬように肉体は強化してある。」
いきなり俺の前にハリポタのダンブ〇ドアが現れた!
「なぁ!!!」
「肉体に魂が入ったからワシを見ても問題ない。」
「なるほど」
「覚えておけ魔法はイメージ想像で使う。使いたい魔法を思い浮かべ魔力を込めよ、その為に肉体を強化した。アティムに移転後に魔法を使ってみよ。トレビス王国が異世界人を召喚したらアーティファクトを完全に破壊せよ!」
「分かりました。」
「アーティファクト破壊後は好きに生きよ!自由にアティムを楽しむがよい。アティムには、そなたの居た世界には無い魔法がありモンスターと呼ばれる魔獣もおる。強化しておるとはいえ、油断すれば死ぬぞ!気を引き締めよ」
「はい。」
「アティムに移転後にステータスを見なさい。移転先は古き魔境の森になる。そこで鍛えた後にトレビス王国を目指せ!魔境の森の近くにある街に行き冒険者ギルドに入るとよいアティムでの身分証になろう。」
「分かりました」
魔法、モンスター、ギルド、昔ゲームでプレイしたRPGファンタジーの世界だな。
「では、今より移転の儀を始める。最後に聞きたいことはあるかの?」
聞きたいこと・・・・・あるある!大事なことがある!!!
「神さま。俺、アティム語?喋れませんよ?」
やべーぞ!英語もロクに喋れないのに異世界語なんて俺にはムリムリ。
それに異世界の物価とかも分らんしな・・・・・。
「言葉は心配不要じゃ!スキルを付与してある。物価は銅貨2枚で一番安いパンが買えるの。少し餞別を指輪に入れておいた、あちらに移転したら確かめなさい」
神さまから指輪を手渡された。
「分かりました。神さま。必ずアーティファクトは破壊します」
「アーティファクトは何時使用されるか分からんが、一度使用されたら、しばらくの間は使用できん。その間に破壊せよ!そちの居た世界とアティムは時間が異なるが10年以内には召喚されるだろう」
マジが・・・理屈も原理も俺の頭では分からんな・・・・・よし!考えるのはやめよう!
「では、移転の儀を執り行う」
俺の足元に魔法陣が出現した!魔法陣が光り輝き・・・・・何も見えなくなった。
「では行け!我が子ソラシスよ!」
「はぁ?」
そして俺は異世界アティムに転生した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アティム大陸・どの国の領土にも属さない無主地・古き魔境の森
眩い光で失われてた視界が回復すると・・・・・
「ここが古の魔境の森かぁ!なんか最後に神様に我が子とか言われてたな」
俺・・・神様の子供なのか?よく分からんな・・・・・。
あぁ、ステータス見よう!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】ソラシス
【種族】亜神族
【身分】アティム神の子・使徒
【性別】男
【年齢】20
【レベル】1
【ライフ】10000/10000
【魔力】10000/10000
【スタミナ】S
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【魔法】
【創世魔法】レベル10
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【スキル】
【武術の極み】レベル10
【殺気】レベル10
【気配探査】レベル1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【特殊スキル】
【鑑定】レベル10
【スキル習得】レベル・なし
【魔弾製造】レベル・なし
【経験値倍増】レベル・なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【称号】
【報復者】
報復対象の位置が常に分かる
【転生者】
異世界より魂が召喚されし者
異世界の言葉を理解できる
前世の記憶を保持している
【神の代理人】
神をないがしろにする人間の傲慢に容赦なく手きびしい罰を与える者が与えられる称号。真面目な教会関係者、信徒からは好意的に接される。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんか・・・・・いろいろとスゴイなぁ!チートだよなぁ。あぁ、そうだ、神様からの餞別を見よう!この指輪ってアイテムボックスだよな?どうやって中身を出すんだろ?よく分からん・・・・・とりあえず指輪に鑑定を使ってみよう!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
≪時の指輪≫
【ランク】鑑定不能
一覧↓
ブラックドラゴンのローブ
【ランク】S
エンシェントフェアリードラゴンの卵
【ランク】SSS
火縄銃
【ランク】鑑定不能
神からの手紙
【ランク】鑑定不能
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「手紙?」
そう言葉にしたら目の前に手紙が現れた!
「無事に転生できたようじゃな。そなたを殺せる存在はアティム大陸には多くおる。故に油断はせんようにな。指輪の餞別を上手く使いなさい。そこから西に3000キロも行けば人の住んでる街があるので、初めはそこの町を目指しなさい」
手紙を読み終わった直後に手紙が一瞬で燃えた!
「あっ!!!」
火傷した手が痛む。右手全体に火傷の水膨れができてる。
「神さま。手紙を燃やすのは別にいいが、火力間違えてるよな。てか3000キロって
徒歩で何日かかるんだよ・・・・・」
それよりも先ずは火傷した右手を治そう。魔法はイメージって言ってたよな。だったら昔アニメで観た回復のイメージをして、心で回復と唱えた。
「おぉ、右手の火傷が治った!魔法ってすごいんだな!」
お次はブラックドラゴンのローブだな。目の前に黒い漆黒のローブが出現した。
「おぉ、めちゃイケてる。かっこいい!中二病が復活するな!背中に金の糸で刺繍を入れたくなるな。」
鑑定
ブラックドラゴンのローブ
【ランク】S
魔法耐久には弱いが頑丈な鱗は刃を通さない。
俺は現在、神さまが着させてくれた冒険者ぽい普通の服に靴を履いてるだけだ。
そして俺はブラックドラゴンのローブを羽織った。
次を鑑定しよう
エンシェントフェアリードラゴンの卵
【ランク】SSS
かつて神の逆鱗に触れた人族の国々に放たれた神獣。
異世界アティムの八割を焼き尽くした。
「なんか・・・・・めちゃめちゃスゴイなぁ!!!」
大きさはバレーボールくらいか
でも?どうやったら生まれるんだ?ニワトリみたいに卵を温めればいいのか?
俺はとりあえずタマゴに魔力を1000入れてみることにした。
俺はタマゴを抱き抱えて魔力を卵に流して見た。
その直後に卵が脈打った!
「おお!タマゴが動いた!!!」
まだまだ魔力が足りないのか?
その時だった!
「ギィギィ!ギィギィ!」
俺は声のする方を見た
「げぇ、ゴブリン」
それは異世界系でお馴染みのちっさいオッサンだった。緑色の肌に木のこん棒らしき物を持った全裸の身長130程のオッサン達が10匹いた。
くそぉ!はしゃぎすぎて周囲の警戒を怠った・・・・・
しかし勘弁してくれよ、全裸のフルティンのオッサン達に囲まれた・・・・・
ぶらんぶらんソーセージが揺れながら走って来るオッサン達。
「くそぉ!タマゴを抱えて戦えない」
何かないか・・・・・俺は指輪に入ってる、まだ出してない火縄銃を取り出した!
その火縄銃を手にした瞬間に使い方が頭に入ってきて。
「魔弾製造・風・魔力10込め!!!」
その瞬間に魔力を込めて作った魔弾が火縄銃に吸収された。
「ギィギィ!ギィギィ!ギィギィ!」
「ギィギィ!ギィギィ!」
全力のフルティンに片手で持った火縄銃の銃口を向けて魔弾を発射した!!!
無音の火縄銃から放たれた魔弾は見事に100発100中の如く全てゴブリンに当たり命を刈り取った。頭を心臓を撃ち抜かれたゴブリンは幸せだったろう。最後のゴブリンはフルティンを撃ち抜かれ、暫く激痛に顔を歪め苦しみ絶命して逝った。
「しかしスゴイな!この武器は良いな!」
レベルが体に入ってきた感覚がする。不思議な感じだな。
ステータスオープン!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】ソラシス
【種族】亜神族
【身分】アティム神の子・使徒
【性別】男
【年齢】20
【レベル】10
【ライフ】20000/20000
【魔力】18800/20000
【スタミナ】S
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【魔法】
【創世魔法】レベル10
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【スキル】
【武術の極み】レベル10
【殺気】レベル10
【気配探査】レベル1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【特殊スキル】
【鑑定】レベル10
【スキル習得】レベル・なし
【魔弾製造】レベル・なし
【経験値倍増】レベル・なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【称号】
【報復者】
報復対象の位置が常に分かる。
【転生者】
異世界より魂が召喚されし者。
異世界の言葉を理解できる。
前世の記憶を保持している。
【神の代理人】
神をないがしろにする人間の傲慢に容赦なく手きびしい罰を与える者が与えられる称号。真面目な教会関係者、信徒からは好意的に接される。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おお!一気にレベルアップしたな。魔力の消費はタマゴに1000、魔弾に100で火傷の治療に100かぁ!タマゴに8800魔力を入れてみよう!俺はタマゴを抱き抱えて魔力を流した。ドクンドクンとさっきより鼓動が早くなったな。もう少し魔力を入れたら生まれる感じがするな・・・よし!あと5000入れてダメだったら明日にしよう。まだ明るいが今のうちに拠点確保と食える物を探さないとな。俺はタマゴを抱き抱え再び魔力を入れた!
タマゴの脈打つ鼓動がドンドン早くなっていき・・・ついにタマゴに亀裂が入った!
タマゴの殻から顔を覗かせるのは、丸く(つぶらな)美しい目をした純白のドラゴンだった。そしてドラゴンは俺と目を合われると・・・
キュ~ウ、キュ~ウと鳴きながら俺の胸に突っ込んできた!
じゃれつくドラゴンを落ち着かせ抱き抱える
「俺はソラシス。俺と同じで真っ白だな。お前は今日からクウだぁ!よろしくなクウ。」
「キュ~キュ~」
俺はクウに鑑定を使った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】クウ
【種族】エンシェントフェアリードラゴン族
【身分】ソラシスの従魔
【性別】メス
【年齢】0
【階位】SSS
【レベル】1
【ライフ】50000/50000
【魔力】50000/50000
【スタミナ】S
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【魔法】
【煉獄魔法】レベル1
【風魔法】レベル1
【神聖魔法】レベル1
【水魔法】レベル1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【スキル】
【気配探査】レベル10
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【特殊スキル】
【ミラー】レベル・なし
魔法を反射できる。
【サイズ変更】
変更するサイズにより魔力を消費する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【称号】
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
強いな。
「クウお前強いな!」
俺の周りを飛び回りながら喜んでるクウ。
「キュ~キュ~」
しかし小さいな・・・ネコ程の大きさしかないな・・・ぬいぐるみだな。
「よし!クウ。今から魔物の狩りをするぞ!クウのスキルで魔物の場所まで連れて行ってくれ!」
クウは頷くとゆっくりと空を進んでる。羽をバタバタと上下に動かしつつ周囲を見渡し魔物のいる方向へ案内してくれる。俺は指輪から火縄銃を取り出して、左手に持ちながら頭の中でゴブリンを倒した時の魔弾を30発用意した。作った魔弾は火縄銃に吸収されていった。そう言えば火縄銃を鑑定してなかったな。俺は火縄銃を見て
鑑定
【ランク】鑑定不能
火縄銃
神が平和な世界から魔物が蔓延る世界へ転生したソラシスへの餞別、いきなりの近接戦闘は厳しいだろうと判断して特別に与えた武器。魔弾に込める魔法と魔力量により威力が変わる。
「チートな武器だな!神さま。ありがとうございます。」
上空を見上げてお礼を言うソラシス
しかし、ここら一帯は木が一本も生えてないな。ちょうどここは丘の上だな。少し行った所には日差しが入らないぐらい、鬱蒼とした木々が生えているな。こんなに大きい木は日本で、いや、地球には生えてないな。
「キュ~キュ~」
クウがオレの頭の上に降りてきた。重い・・・
「クウ!魔物はどっちにいた?」
俺の言葉にクウは俺の頭から再び浮上して空を飛び
「キュ~キュ~」
こちらを振り向きクウは首を二、三度縦に動かした。
俺はクウの後ろをついて行き・・・約10分ほど歩いただろうか
「うん?アレはオークかぁ?」
へぇー昔TVで観た大相撲の曙だな。確か曙は身長2メートルくらいだったよな。
曙さんより一回り大きい感じだな。俺は安心した・・・オークはゴブリンより知恵が有るようだな、腰回りにボロいが布らしき物を巻いてる・・・フルティンでは無くて大変よかった。俺は鑑定をオークに使用した。ゴブリンの時はフルティンに動揺して鑑定して無かったし魔石?有るか分からないが回収もしてなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】なし
【種族】オーク族
【身分】なし
【性別】男
【年齢】3
【階位】D
【レベル】34
【ライフ】340/340
【魔力】180/200
【スタミナ】D
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【魔法】
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【スキル】
【身体強化】レベル1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【特殊スキル】
【絶倫】レベル5
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【称号】
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なるほど。二体とも同じ感じだな」
クウにも戦わせてレベル上げをしないとな。
「クウ。オーク一体と戦ってみるか?」
クウは俺の顔をジーと見て頷いた。
「よし!俺は左のオークをヤルからクウは右のオークを頼む。危なくなったら逃げていいからな!」
「キュー」
そう短く鳴いてスゴイ勢いでオークに突っ込んで行った。
「よし!俺もオークを倒すか!」
火縄銃を構え銃口をオークの頭に向ける、こちらにまだ気が付いてないオークに火縄銃の引き金を引いた。火縄銃の銃身から風の魔法が込められた魔弾が発射されオークの頭ではなく肩を貫いた。
「ブモォー!!!!!!!!!」
「くそぉ!外した」
肩から血を流しながらこちらに走って来るオークに再び火縄銃の銃口を頭に向け引き金を引いた!
「ブモ」
魔弾はオークの額を貫き命を刈り取った。
「フゥー焦った焦った。」
やっぱりゲームと違って現実は動きが予測できないな。俺はクウの方を見た。クウは巧みにオークの攻撃を躱して手の爪でひっかき攻撃をしていた。オークは身体の至る所から血を流していた。体格さはあるがクウはオークを圧倒していたが、オークの脂肪が分厚いのとクウが小さいのでクウの攻撃は決まるが致命傷には至らなかった。
「クウ魔法を使え!」
「キュー!」
俺の言葉でクウはオークから距離を取り
「えぇ!クウ待てぇー!!!」
俺の言葉は間に合わず、クウは煉獄のブレスをオークに吐いた!!!
その煉獄のブレスは一瞬でオークの命を刈り取った・・・だけでは済まず周りの木々に炎が燃え移った。
「ヤバい!!!」
俺は慌てて水の魔法を上空に放ち人工の雨を降らした。
「はぁ~はぁ~はぁ~はぁ~はぁ~」
俺は魔力をかなり使い肩で息をした・・・・・隣には申し訳なさそうな表情をしてるクウが俺を見上げてた。
「今回は俺も悪かったが、クウ。次からは森や火が燃え移りそうな場所では気をつけて魔法を使うんだよ?火の魔法では無く違う魔法を使いなさい」
「キュー!」
そう答えてソラシスの周りをぐるぐる飛び回っているクウ。
「クウが倒したオークを見てみるか・・・丸焦げだな・・・これじゃ食えないな」
ソラシスはクウが倒したオークを諦めて自分が倒したオークに近づいて
「さて解体はどうやってするんだ?ナイフ一本持って無いや・・・とりあえず時の指輪に収納してから考えるか」
ソラシスはオークを収納して
「クウ!今日の狩りはここまでにしよう。今から仮拠点作りとオークを解体するぞ!クウ。魔物が少ない方に向かってくれ!」
「キュ~」
ソラシスに声をかけられたクウはソラシスの周りを飛び回るのを止めて周囲を見渡してソラシスの目を見てキュー!と鳴き、ゆっくりと飛んで行く、ソラシスはクウの後をついて行った。
一時間ほど歩いた所でクウは地面に着地した。移動中にソラシスはフルティンに三度遭遇した。合計14体のフルティンのゴブリンを魔弾で倒して指輪に収納したのだった。その時に鑑定したゴブリンのステータスは・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】なし
【種族】ゴブリン族
【身分】なし
【性別】男
【年齢】1
【階位】F
【レベル】8
【ライフ】80/80
【魔力】0
【スタミナ】F
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【魔法】
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【スキル】
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【特殊スキル】
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【称号】
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「クウ。ここで今日は休もう!」
ソラシスはクウに声をかけた
周りが見渡せる小高い丘の上でソラシスは地に手をつけて土魔法を発動した。
イメージは自分の周りを囲む土壁。
「やべー壁に閉じ込められた」
「キュ!!!」
急に目の前に壁が現れ、そして壁に閉じ込められて驚くクウ。
ソラシスは目の前の壁を拳で殴った。殴った場所は崩れ落ち外から光が入って来た。
ソラシスとクウは一旦壁の外に出たのだったが、クウが抗議の為か器用にしっぽでソラシスの顔をびしばし叩いて来たのだった。
「クウ。悪かった悪かったー。許してくれよ?今日は美味しいオークの肉を焼いて食べさせてやるから~」
「キュ~」
喜ぶクウに・・・・・。
オークの肉って美味しいのかな?勝手な俺のイメージだけど和牛ぽい味がする・・・・・したら良いな。
「クウ。今からオークを解体するから辺りの警戒を頼む。弱そうな魔物ならクウが倒してくれ!強そうなのが来たら俺を呼んでくれ!」
「キュ!」
クウは一言鳴いてから空に飛びだった。オークを指輪から取り出しソラシスの目の前に横たわるオーク。
「さて、どうやって解体しよう・・・風の魔法でザクっと適当にブロックにするか」
今の俺に細かい芸当はムリだ。1ブロック10キロのイメージで切っていこう。
オークの解体を始め約20分。
悪戦苦闘しながら解体をするソラシスは・・・・・
オークの心臓の中からゴルフボールくらいの大きさの紫色の塊りが出てきた。
「お!これが魔石かぁ!日本で見たことある水晶に似てるな指輪に収納しとこ」
オークの肉は20個の塊りに分けられ収納された。
ソラシスはオークの肉を焼くためにデカい石と枝を探して30分ほど仮拠点を後にした。
ソラシスが拠点に戻ってくると仮拠点の周りはフルティン達の死骸で埋め尽くされていた。
「しまった!!!オークを解体した時に出た血の臭いでフルティンが来たってことか・・・・・。」
ソラシスは仮拠点の上空を飛んでるクウに
「クウー!!!ありがとな!」
「キュ~」
ソラシスの言葉にクウは短く答えた。
「しかし・・・フルティンの死骸が大量に散乱してる場所でメシは食いたくないな。場所を変えようかな」
結局ソラシスは一時間ほど移動した場所に仮拠点を作り直し・・・
「よし!クウ肉が焼けたぞ!」
調味料も皿も何もない・・・オークの肉は一キロごとに枝にぶっさして焼いたのだった。意外にもクウは焼いた肉においしそうに食らいついていた。
「まぁまぁ旨いな。塩コショウ、焼き肉のたれを使えば絶品だろうな・・・」
気がつけば夕日が沈みかけている・・・
「クウ今日はもう寝よう」
そう言いクウを呼び寄せ最初に作った仮拠点より頑丈に強化した壁の内側に入って行くのだった。
そして、ソラシスの異世界アティムの最初に一日が終わるのだった。
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