これが魔術師入門書?〜パクリまくりですが何か?〜

シロトクロ@カクヨムコン10準備中

プロローグ〜西暦9999年〜

世界の終わりと始まり

色彩、音、響き、香り。

風の通り過ぎる感覚と、直前まで嬲っていた高揚感。それら全てが消え去り、世界は無音無色に満たされた。


その日、人類は栄華を極めた9999年の西暦に幕を閉じる。

一万年を控えて浮かれていた人々は痛みでも、病でも、ましてや戦争という愚かな行為でも無く、飢えという単純な問題に直面して多くの命が生き絶えた。


音と色を奪った存在は、同時に世界から食物を奪い去った。

様々な食物をエネルギーに換え、後に神や悪魔、妖精などと呼称された存在は砂糖を舐めて口角を上げる。


『これだ——』


どこから現れたのか、その存在は他の食物に対する興味を失せて、代わりに糖に執着する。

それと同時に再び世界は色彩を音を響きを香りを取り戻し、全世界で消え去っていた食物が姿形を現した。


「食物——」


「飯だ!!」


「俺のだ!」「私のよ」「僕のだ」「誰にもやらない」「触るな!」「消えるぞ」「消えないのか」「大丈夫なのか!?」


——その時、既に世界から食物が消えて数年の月日が経過していた。


「食物って、何かって? そんな事も教わってないのか? 簡単な事だ、覚えておけよ? 人類が食べる事の出来る、生物以外の全てだ」


魔王暦。妖精暦。神話暦。


様々な敬称を与えられた新たなる世界の暦は、lostLifeと名付けられ、表記はlLとした。

西暦は、迷暦と改められて、人類は新たな歴史を刻む事となる。


————

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る