第37話 救出しにいこう

  カフェをあとにして俺はベロニカに敵の能力を説明しながら急いで屋敷の方へと向かっていた。



「さっきの爆発はなんだったんだ? 『世界の改変者』は攻撃魔法は使えないはずなんだが……」



 屋敷に放たれた魔法……あれはかなり強力なものだった。俺が考え事をしながら屋敷に足を踏み入れようとすると、服の裾を引張られた。



「ん……主よ、これ以上は進まない方がいいよ。嫌な感じがする」

「まさか、あいつの催眠ってこの屋敷一帯を覆うほどなのか……?」



 ゲームでは『世界の改変者』との戦いは、やつが催眠をかけ終わった砦に攻め込むという状況だったので、発動条件はあまり詳しくはわかっていないのだ。

 すでに催眠状態になっている男たちを兵士として使い、女たちをはべらかしてやがったのだ。女性は愛でて、女好きの女性というイメージしかない。ちょっとうらやましいと思ったのはここだけの話である。



「ふむ……いつの間にか屋敷の鐘がさしかえられているね……あの音で、精神に干渉しているんじゃないかな?」

「え、お前そこまで把握しているの?」

「当たり前じゃないか。私は主の護衛だからね、違和感があったら即座に気づけるように警戒しているに決まっているだろう」



 何をいまさら……とでも言いたそうな彼女に、そういえばこいつは性癖はあれだがエリートであるアテナ騎士団の副団長だったということを思いだす。

 ベロニカってやっぱりすごいんだな……ちょっと感心してしまう。



「もちろん主の大人な本も把握しているよ。ふふ、ゴブリンと女騎士か……これは主が今度ゴブリンの格好をして私をおそってくれると解釈していいかな?」

「お前、人の部屋をあさるんじゃねえよ!!」



 勝手に人のエロ本を漁って発情しきった目で熱い息を漏らすベロニカに感心して損したと、げんなりする。とはいえだ……



「あそこまでの距離は結構あるな……どうするか……」



 鐘の場所はわかったが、かなりの距離である。今日はデートということもありさすがに状態異常ポーションは持ってきていないので街のアイテムショップにいくしかないのか……



「それならば私に良い策があるよ!! ふふ、さあ、主よ、好きにしてくれたまえ!!」

「いきなり脱ぐんじゃねえ!! さすがの俺も仲間がピンチな時にエロいことをする余力はねえよ!?」



 突如上着を脱ぎだして、水着姿になり俺を誘うベロニカにツッコミをいれるが心外とばかりに首をふる。



「違うよ、魔鉱石に触れて投げ槍を作ってくれと言いたかったのさ。ミスリルよりも軽く、魔力を込められる魔鉱石はこの状況では最適だからね。主は何を考えていたのかなぁ?」

「くっ……お前……絶対わざとだろ……」

「ふふ、生意気な雌犬にあとでお仕置きをしてくれてもいいんだよ」



 にやりと笑うベロニカに触れようして気づく。水着だから当たり前なんだけど胸と下半身しかないんだけど……



「どうしたんだい、主……? みんなを守るためだ。公共の場で女性の大切なところに触れるのも仕方ないさ♡ だって、これは人助けだからね♡」



 息を荒くしながらベロニカはいった。こいつ状況をプレイに利用しやがった!! しかも、屋敷が爆発したからかどんどん人が集まってきている。

 だが、俺とてここまで挑発されたら黙っていられない。おっぱいを目の前にひくことなど許されんのだ!!



「お前のお望みどおりにやってやるよ!! 雌犬が!!」

「ああ、主のけだものぉぉぉ♡ こんな公共の場でぇぇ♡」



 俺が魔鉱石ごとベロニカの胸を揉みしだくと柔らかい感触が襲ってくる。こいつ……このおっぱいで女騎士は無理では……?

 スキル『大丈夫おっぱいもむ?』の効果と、たっぷりと魔鉱石に触れてその構造を理解した俺は投げ槍を想像しようとして……自分の下半身が大きくなっているのに気づいてしまった。



「あ、やっべ……」

「主……これはまさか……♡」



 邪念のこもった俺のスキルによってもたらされた亀の頭のような細長いものはまさに人間の体の一部を模したものだった。

 ついついしょうもないことを想像してしまったからだろう。



「待て、ベロニカ。急いで作り直すから……」

「ははは、さすがは我が主だね!! 公共の場で水着にさせ、チ〇コを模した棒を私に持たせるなんて……ああ、たぎる♡!!」



 俺が止める間もなく、ベロニカは俺が作り出した魔鉱石のチ〇コをにぎると、そのまま助走をつけて投げ槍の要領で放り投げる。

 むろんそんな奇行をしているのだ、やじ馬たちの視線がクッソ痛い。



「ねえ、あれって領主さまのご子息じゃ……」

「護衛の騎士にあんな格好をさせて……あんなものを持たせるなんて……やっぱり悪役領主の息子なだけあって鬼畜だ……」

「ははは、この羞恥!! この憐みの視線!! かつてないほどの加護を感じるよ」



 周囲の視線を受けてやたらと興奮したベロニカの放ったチ〇コは見事鐘の中心を貫いて破壊する。無駄に優秀だなこいつ……

 ていうか俺の評判がどんどん下がっていく気がするんだが……



「よし、行くぞ!!



 そして、なぜかあちらこちらで黄色い悲鳴のあがる屋敷へと俺たちは侵入するのだった。






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