第32話 ハーレム完成?
「これが今回の件の報告となります。邪教を撃退し、やつらが狙っていたナナシは正式に俺の仲間となりました。
「そして、この屋敷も狙われる可能性が出てきましたので、警備の強化を進言させていただきます。私の方でもアテネ騎士団の団員を派遣してくれるように頼んでおきましたので力になれるかと思います」
「うむ……よくやったな。下がってよいぞ」
今回の出来事を伝え終え、父のいる領主の部屋から出た俺は大きくため息をついた。
「はー、終わったぁ……なんで今回に限って詳しく聞いてきたんだ……調書までとってたぞ……」
基本的にはドロシーの時もベロニカの時もこんな風にちゃんとした報告はしなかった。まるで、仕事の結果を伝えるかのようにどんな敵と遭遇し、何をしたかなどを事細かく聞かれたのである。
「多分だけど、領主様は主に期待しているんだよ。あの調書は王都に報告するんじゃないかな? それだけ六奇人を撃退するっていうのはすごいことなのさ、主が出世すれば騎士である私も鼻が高いよ」
「うへぇ……」
別に俺は出世がしたいわけではない。爆乳ハーレムを作りたいだけなのである。むしろゲームの主人公などに絡まれたらめんどくさいから、目立たない方がいいまであるのだ。
「そんな顔しなくてもいんじゃないかな? 主は出世欲がないなぁ……」
「まあな……それよりも助かったぞ。俺はああいうのは慣れていなかったからな」
てきぱきと報告書を作成し、父からの質問まで答えてくれたベロニカに感謝の言葉を告げると嬉しそうにはにかんだ。
整った顔から放たれる可愛らしい笑顔のギャップに胸がどきっとする。
普段の言動があれだが、やはり優秀な騎士なんだよな……
「ふふ、私も有能なところを見せておかないとね。役に立てて何よりさ。それで……私だけご褒美をもらっていなんだけど」
「え? ああ、頭をなでてほしいのか?」
「それもいいけどさ、私は大人の女性だからね。鍵は空けておくから今夜私の部屋に来てほしいな。意味はわかるよね……?」
先ほどまでのさわやかさはどこにいったやら、ベロニカは淫靡な笑みを浮かべながら服の胸元をちらっとあけると、色白で大きい谷間が見えて一つのことに気づく。
こいつノーブラだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! まじかよ。親父への報告を羞恥プレイの一環にしてやがった!!
「お前な……」
「ちなみにだけど下も履いてないよ。厳しい主ならいけない騎士をおしおきしてくれるだろ? ちゃんとサプライズも用意してあるからよろしくね♡」
変態騎士は唖然としてる俺を置いてさっさと自分の部屋の方へと戻ってしまった。なんかどっと疲れた気がするな……
とりあえず自室に戻って横になろうと、部屋の鍵を開けて扉を開くと、なぜかベッドが膨らんでいる。
「まさか、侵入者か?」
俺が警戒しながらも近づくと薄いシーツ越しだが、やたらとおおきくふくらんでいる二つの山が見えた。このサイズにこの形は……
「ナナシか?」
「さすがはグレイブ……私だってわかったんだ。嬉しいな……」
ベッドからもぞもぞと可愛らしい頭がひょっこりと出てくる相も変わらず無表情だが、その目はどこか嬉しそうだ。
おっぱいの形でわかったというのは言わない方がいいかもしれない。
「それで、なんでこんなところにいるんだ? ナナシの部屋もちゃんと用意したはずだが……?」
「私はもうグレイブの……ううん、ご主人様のものだからね……護衛をしに来たんだ」
大げさな……というのはあれだろう、確かに邪教が襲ってきたばかりなのだ。警戒してもおかしくはないだろう。
「でも、この部屋鍵かかってなかったか?」
「私は盗賊だよ……そんなの楽勝……イエイ……」
「そっすか……でも、ベッドは一つしかないぞ、どうするんだ?」
ナナシは俺の問いには答えずにベッドの空いている部分をポンポンと叩く。その意味がわからないほど、俺も鈍感ではない?
え、一緒に寝るってこと……? こいつ男と女が一緒に寝るって意味わかってるのか?
「せっかく、家族みたいになったから……のぬくもりが欲しかったんだけど……ダメかな……?」
「んん……!!」
ナナシに帰りの馬車で身の上話は聞いている俺は思わず自分の膝をつねる。孤児の彼女が俺を信頼して甘えてくれているというのに、なんてよこしまな感情を抱いてしまったのだろう。
これは母さんの裸、母さんの裸ぁぁぁぁぁ
自分に言い聞かせながら、ベッドに入り込むと、ナナシのぬくもりと甘い匂いが充満しているのに気づいてしまう。
そして、とどめとばかりに抱き着いてくるものだから、甘い匂いとおっぱいの柔らかい感触が襲ってくる。
「グレイブ……結構鍛えてるね……」
そんなことを言いながらこちらの胸板に大きいおっぱいを押し付けるかのように抱き着いてきた。やばいって……六奇人より手ごわいよ。
耳元で吐息と共にささやき声が聞こえてくる。
「あのね……私も……子供じゃない……だから……男女が同じベッドに入る意味……わかってるよ……」
「な……、おまえ!! おまえーー!!」
あわててナナシを見るとその顔は真っ赤に染まっており、恥ずかしそうに笑っていた。あと、おっぱいおも押し付けられていた。
可愛すぎるぅぅぅぅ、でも、童貞失ったら加護うしなっちゃうよーーー、どうすればいんだよ。
悪魔のおれがささやいてくる。
『いいじゃないかやっちゃえよ!! お前はそのために転生したんだろ? あのおっぱいがお前のものになるんだぞ』
確かに……あの爆乳といちゃつけるなら死んでもいいかもしれない。
今度は天使の俺がささやいてきた。
『本当にいいのか? 加護を失ったらお前は邪神の信者に勝てるのか……?』
『く、よけいなことを……』
悪魔の俺が悔しそうにうめく。
うう……そうなんだよなぁ。でも、おっばいが……
迷っている俺に天使がささやく。
『どうせ、死ぬならベロニカやナルヴィも誘って四人でやったほうがいいだろ。爆乳ハーレムで死ねるなら本望だろ?』
『ナイスだ。天使!!』
こいつ本当に天使か? 悪魔も喝采してんだけど……そんな風に葛藤していると腕をひっぱられる。
「グレイブ……もしかして……迷惑だった?」
ナナシの瞳は心細そうで……まるで俺に拒絶されたら生きていけないとでもいいだけで……俺は……こいつの笑顔を守りたい!!
「そんなことないぞ。今夜は寝かせないからな!!」
「グレイブ……うれしい……」
そして、俺とナナシが見つめあって徐々に唇を近づけようとして、ドタンという音ともに、扉が開けられる。
「ナナシ!! やはりここにいたのですね、お兄様の隣は私の特等席なんですよ!!」
スケスケのネグリジェに身を包んだドロシーがほほをふくらませながらこっちにやってくる。
「ドロシー……空気読んで……」
「空気を読むのはあなたです!! さっきは私が我慢したんですから今回はゆずるべきでしょう?」
騒がしくなってしまい、さきほどまでのいい雰囲気が霧散していくのがわかった。
クッソ残念だが、ナイスだぜ、ドロシー!!
加護はこれから生きるのにかならずや必要になるだろう。欲望に流されそうになってしまったが、俺は彼女たちと生きていきたいと思う。
そのためにもさっさと邪神を倒さないとと改めて誓うのだった。だけど、何か忘れているのは気のせいだろうか?
★★
「ふふ、主の性癖を私は知っているんだよ……こういうのが好きなんだろう?」
満足そうに自室で妖しい笑みを浮かべているのはベロニカである。彼女はビキニアーマーを身にまとい、窓で自分の体をはさんでおしりを突き出している。
そう、壁尻ならぬ窓尻である!!
盗賊ギルドの拠点に侵入した時に壁尻を見てグレイブが興奮しているのをベロニカは決して見逃さなかったのである。
「ああ、こんな状況の私は彼はどう罵倒してくれるかな? そして、このまま乱暴に襲われてしまうのだろうか♡ くしゅん……ああ、主よ、寒くなってきたから早く来てくれると嬉しいなぁ」
上半身は窓の外なのであたりまえである。この後のイチャイチャを楽しみにベロニカは窓尻状態で来ないグレイブを待つのだった。
翌日彼女が風邪をひいたのは当然のことといえよう。
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『破滅フラグしかないラスボス令嬢(最推し)の義兄に転生したので、『影の守護者』として見守ることにしました〜ただし、その正体がバレていることは、俺だけが知らない』
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