第31話 目覚め

 一二歳になった。


「アオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」

「オオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!」


 人型になったガギアキースセギトたちが、え始めた。


「うるさいぞ! 何、吠えてんだよ!?」


「親父殿、体が熱いですだぜ!!」

「俺もだぜだぜ!!」

「私もですです!!」


「なんだそれは!?」


「アル殿、体調不良でありますか?」


「いや、俺は元気だぞ」


「しょ~しょしょしょっ! なら、なんだこれは?」


「分からない。なんだろう?」


「ぱねぇ~っ!? ぱぁねぇぱぁねぇぱぁねぇ、ぱね~っ!? ぱねぱねぱぁねぇっ!!!」


「日本語!!」


「ぱね~と言っていただけですよ、ぱね~」


「紛らわしいことするな!?」


「アルアル、こういう時はステータスを見てみようぜほしっ!」


「ああ、なるほど、何か書いてあるかもな。では、ステータスオープン」


 ステータスウィンドウが現れた。



「相変わらず、ゴチャゴチャしているなぁ」


「カスタマイズしたらどうだほしっ?」


「そのカスタマイズ機能が見つからないんだよなぁ」


「このゴチャゴチャしているのを見ると、探す気がなくなるしね、いちょ~」


「そうだな」



 ん?

 アルゥとエルゥが『生産力が上がる能力』というのを身に付けているな。


 アルゥとエルゥの生産力って……


 もしかして、えている原因は精通なのか?



「アオォォォォォンッ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「ウオォォォォォンッ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「オオォォォォォンッ!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「やかましいぞピピョーン。どうしたのだピピョーン?」


「ああ、おはよう、マスターじいさんマスター」


「うむ、おはようピピョーン」


「ガギアキースセギトたちが、急に吠え出してな。なぜか分かるか?」


「マスターじいさんマスター、体が熱いですだぜ! アオォォォォォンッ!!」


「こいつは何だぜだぜか!? ウオォォォォォンッ!!」


「なんとかしていただけませんせんか!? オオォォォォォンッ!!」


「これはおそらく発情だなピピョーン」


「ああ、やはりそういうことなのか」


「アルヴェリュードも、もうそんな年齢かピピョーン。大きくなったなピピョーン」


 マスターじいさんマスターが遠い目をしている。



「親父殿、これはどうすれば良いんですだぜか!?」


「とりあえず、ハモノと戦って発散するか」


「うむ、そうだなピピョーン」


「じゃあ、準備してくるよ」


「アオォォォンッ! アオォォォォォンッ!! アオォォォォォォォンッ!!!」

「ウオォォォンッ! ウオォォォォォンッ!! ウオォォォォォォォンッ!!!」

「オオォォォンッ! オオォォォォォンッ!! オオォォォォォォォンッ!!!」


「お前らは、大人しくしてろよ!」



「準備できたぞ」


「では、ゆくかピピョーン」


 家を出た。



 町の中を歩いている。


「親父殿、雌がいるですだぜ!」

「あそこにも雌がいるだぜだぜ!」

「あちらにも雌がいますますよ!」


「そんなの当然だろ。町なんだから」


「雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌ですだぜ!!!」

「雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌だぜだぜ!!!」

「雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌、雌ですですよ!!!」


「うるさいなぁ」


「アルヴェリュードは、女性が気にならんのかピピョーン?」


「うーん、ならないなぁ」


「ふむ、そうなのかピピョーン」


「ガギアキースセギトたちが、分離しているからなのかな?」


「そうかもしれんなピピョーン」



 町の外に出て、しばらく歩いた。


 すると、洞窟のような穴が開いている標高十数メートルくらいの砂山があった。


 その穴の横には、木製の立て看板がある。


「ここが目的地だピピョーン」


「ウトに似ている場所だな」


「当然だピピョーン。ここもウトだからなピピョーン」


「ウトって、複数あるんだ」


「うむ、世界各地にたくさんあるぞピピョーン」


「なんでそんなにあるんだ?」


「そこは不明だピピョーン」


「そうなのか」



「ここのハモノは、前のウトより強いぞピピョーン。心してかかれピピョーン」


「分かったよ」


「では、ゆくぞピピョーン」


「雌、雌ですだぜ! アオォォォォォンッ!!」

「雌、雌だぜだぜ! ウオォォォォォンッ!!」

「雌、雌ですです! オオォォォォォンッ!!」


「集中しろ、お前ら!!」



 ウトの中に入り、階段を下りた。


 周囲の様子は、前と同じだな。


 では、進もうか。



「体が熱いですだぜ!! アオォォォォォンッ!!」

「俺もだぜだぜ!! ウオォォォォォンッ!!」

「私もですです!! オオォォォォォンッ!!」


「静かにしろよ!? ハモノが寄って来るだろ!?」


「いや、もう来たぜうす!」


「えっ!? どこから!?」


「もう俺様がぶん殴って倒しておいたぜうす!」


「「私たちも旗で殴って倒したのであるもっち」」


「そうだったのか。ありがとう」


「ほら、これが襲って来たヤツだぜうす!」


「黄色いオオコンドリみたいなヤツだな」


 大根がたくわんになったみたいだな。


「それは『オオタクコンドリ』だなピピョーン。オオコンドリをひと回り強くしたようなハモノだピピョーン」


「へぇ、そうなんだ」



「アル殿、あそこにオオタクコンドリが三体いるでありますよ!」


「親父殿、今度は我がやるですだぜ!」

「俺もやるだぜだぜ!」

「私もやりますます!」


「ああ、頼むぞ」


「ロッドソード・ぺしぺしですだぜ!!」

「行け、俺の球だぜだぜ!!」

「私の球も行きなさいさい!!」


 オオタクコンドリたちは動かなくなった。


 エクスが入ってきたような気がした。



「なんかあいつら、強くなってないか?」


「確かに、そんな気がするであります」


「発情期になって、強くなったということですかね? ぱね~」


「そうなのか、マスターじいさんマスター?」


「考えられなくはないなピピョーン」


「そうか」


「うるさくなっただけじゃなくて良かったなほしっ!」


「ああ、そうだな」



「ああ、スッキリしたですだぜ!」

「俺もだぜだぜ!」

「私もですです!」


「それは良かったな」


「でも、やっぱり体が熱いですだぜ! アオォォォォォンッ!!」

「ウオォォォォォンッ!!」

「オオォォォォォンッ!!」


「敵地でえるなっての!?」


 ああ、先が思いやられるなぁ……

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