転生できたら最強になれるであろうゲーム世界の主人公に転生したのだろうか?
三国洋田
第1話 やり込んだゲームの世界に転生!?
『リミバカオス・ゼビリピード』
タイトルにはなんの意味もない、硬派で王道でやり込み要素たっぷりで重厚なストーリーで世界的に人気のあるロールプレイングゲーム。
例にもれず、俺も夢中になってプレイした。
いや、しまくった。
それにしても、なんで作り込まれまくったゲームなのに、タイトルだけはなんの意味もないのだろうか?
謎すぎる……
まあ、どうでもいいか。
中身が面白いからな。
ある日、俺は通勤中に奇妙なものを発見してしまった。
リンゴとミカンとバナナとカキとオレンジとスイカとヘイケガニが、まとまった状態で道に落ちていたのだ。
なんであんなものが?
と思っていたら、なぜか足が滑り、後頭部に衝撃を受け、気を失った。
気が付いたら、目がよく見えなくて、体がうまく動かせなくて、肌がスベスベになっていた。
あれ?
俺、赤ん坊になってない?
なんなの、これ?
なんでこんなことに?
もしかして、これは転生なのか?
前の俺はどうなったんだ?
訳が分からなさすぎて、泣いてしまった。
一か月くらい経過した。
ようやく気持ちの整理が付いた。
そして、この体で生きていくことを決意した。
というか、仕方ないので、そうすることにした。
なす術ないからな。
さて、赤ん坊らしく食って、寝よう。
あっ、適度な運動もしないとな。
とりあえず、手足を動かそう。
「なんか急に泣かなくなったわね。どうかしたのかしら?」
周囲の人たちが、日本語を使っている気がするぞ。
ここって日本なのかな?
俺の名前は『アルヴェリュード』というみたいだ。
周囲の人たちには『アル』と呼ばれている。
性別は男のようだ。
アルヴェリュードか……
リミバカオス・ゼビリピードの主人公のひとりと同じ名前だな。
主人公の中で最も強くて、使いやすいキャラだったなぁ。
ん?
周囲の人たちが日本語を使っているから、ここは日本である可能性が高いよな。
この名前って、明らかに日本人ではないよな。
鈴木 アルヴェリュードとか、
佐藤 アルヴェリュードとか、
田中 アルヴェリュードとか、いないだろうからな。
なら、俺の両親は、常識や感性に問題があるヤツらである可能性が極めて高いんじゃないか!?
最悪、親族まで、そんな感じなのかもしれないぞ!?
これは人生の危機なんじゃないか!?
勘弁してくれよ!?
確か名前って、裁判所で変えられるんだっけ!?
ああ、調べたい!!
早く動けるようになりたすぎるぅぅぅっ!!!
さっさと成長しろよ、俺っ!!
目が見えるようになってきた。
俺の寝ているところは、ここはかなり広い部屋なんだな。
キレイな家具が並んでいる。
お高い感じがするベッドに寝せられている。
壁や天井は白くてキレイな壁材が使われている。
この家は裕福なのだろうか?
どうなんだろう?
ああ、早く動けるようになりたいなぁ……
両親の名前と容姿が分かった。
父親の名前は『リゾベペポム・ゼゼネーヴェ』
容姿は、茶髪で高身長でお固い感じのするイケメンおじさんといった感じ。
母親の名前は『イオダベルーエ・ゼゼネーヴェ』
容姿は、茶髪でスタイルの良い優しそうな美人お姉さんといった感じ。
この名前も容姿も、ゲームと同じだな。
ということは、もしかして、ここはリミバカオス・ゼビリピード日本語版の世界なのだろうか?
もしそうなら、ゲーム知識で最強になって、モテまくり、無双しまくりで、勝ち組人生確定じゃないかっ!!!!!
と一瞬思ったけど、すぐに思い直した。
もし本当に、ここがリミバカオス・ゼビリピードの世界だというのなら、人を襲う存在である『魔物』がいるからだ。
しかも、このゲームは、町や村が魔物に襲われることもあるから、絶対に安全という場所がない。
これはマズいな……
平和に慣れまくっている生粋の日本人である俺が魔物に襲われたら、なす術もなく殺されるだろう。
対策を立てないと。
ああ、早く動けるようになりたいなぁ……
ある日、俺の前に白いローブを着た神官みたいなおっさんが現れた。
父さんと母さんもいる。
なんだ、この人?
親戚のおじさんか?
アルヴェリュードに神官の親戚なんていたっけ?
神官みたいなおっさんが、俺の前に切ってない半透明の青白いスルメイカみたいな形をしたものを置き、何かに祈りをささげた。
えっ!?
ナニアレ!?
リミバカオス・ゼビリピードに、こんなのなかったよな!?
ま、まさか俺がこの世界に来たあとに、追加された要素なのか!?
いきなりスルメイカが青白く光り出した。
な、なんだこれは!?
光が収まった。
そのあと、神官みたいなおっさんがスルメイカみたいなものを、布で拭き始めた。
あれは何をやっているのだろうか?
訳が分からなさすぎる……
「なっ、こ、これはピピョピョピョッ!?」
神官みたいなおっさんが、突然そう言った。
えっ!?
どうしたんだ!?
「こ、この子の副業は『
副業!?
ピピョピョピョッ!?
ナニソレ!?
訳が分からなさすぎるぞ!?
これも追加された要素なのか!?
「な、なんということだ……」
「そ、そんな……」
父さんと母さんが膝から崩れ落ちた。
どうしたんだよ、ふたりとも!?
「くっ、イオダベルーエ、なんとか跡取りを……」
「そうですね……」
おい、何言ってんだよ!?
そんなにマズい事態なのか!?
俺、死ぬのか!?
「お気を確かにお持ちくださいピピョピョピョッ。それでは、これで失礼しますピピョピョピョッ」
「はい、ありがとうございました」
神官みたいなおっさんが部屋から出て行った。
おい、待てよ、おっさん、説明しろよ!?
そう言いたかったが、赤ん坊だからしゃべれなかった。
くっ、赤ん坊はつらいぜ!!
って、そんなことを考えている場合じゃない!
なんとか調べてみないと!!
そういえば、そろそろハイハイくらいできるんじゃないかな?
よし、練習してみよう!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!
よし、ハイハイができるようになったぞ!!
この部屋には、情報が手に入りそうなものはないみたいだな。
では、他の部屋を見に行こう!
いざ、出陣!!!
「アルちゃん!? ハイハイができるようになったの!?」
あっ、母さんに見つかってしまった!?
しかも、捕まってしまったぞ!?
「困ったわ。これでは片時も、目が離せなくなってしまったわね」
母さん、邪魔しないでくれよ!?
くっ、これでは情報収集に行けないじゃないか!?
どうすれば良いんだ!?
こうなったら、母さんに頼もう!
言葉がしゃべれなくてもアイコンタクトとジェスチャーで、俺の熱い思いを伝えてやるぜ!
母さん、今すぐ俺を部屋の外に連れて行ってくれっ!
副業、
「アルちゃん、どうしたの? お腹がすいたの?」
ダメだ伝わらない!?
クソッタレがぁぁっ!!!
いや、一度の失敗程度でへこたれてはいけないっ!!
もう一度チャレンジだっ!!
「ん? アルちゃん、もしかして、お散歩に行きたいの?」
おおっ、通じたぞ!!
その通りだ、母さん!!
さあ、連れて行ってくれ!!
「良いわよ。行きましょう。 ……これで最後かもしれないし」
えっ!?
何言ってんの、母さん!?
ええっ!?
ちょっと、母さん、なんで泣きそうな顔をしているんだよ!?
「それじゃあ、行きましょうか」
母さんに抱きかかえられた。
そして、部屋を出た。
家の中と庭を散歩をした。
この家、ものすごく広くないか!?
アルヴェリュードって、庶民じゃなかったっけ!?
俺がこの世界に来たあとに、変更されたのか!?
どういうことなんだ!?
くっ、謎が増えてしまったぞ!
って、そんなのどうでもいいか!
今は副業、
どこかに何かないのか!?
残念ながら、何も見つからなかった。
くそっ、また次の機会にするか!
次の日、ただものじゃない感じのする仙人みたいなじいさんが、部屋に入って来た。
父さんと母さんもいる。
「この子が
仙人みたいなじいさんが、そう言った。
ピピョーン!?
「はい、そうです……」
「うむ、では、連れて行くとしようピピョーン」
「はい、よろしくお願いします……」
「ううううう……」
連れて行く!?
どういうことだ!?
なんで母さんは泣いているんだ!?
これはいったいどういうことなんだ!?
俺はこれからどうなるんだ!?
あと、ピピョーンって、なんなんだ!?
訳が分からないことが多すぎるぞ!?
もしかして、ここってリミバカオス・ゼビリピードの世界ではないんじゃないか!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます