プロローグ


巣鴨の街を、お年寄りが歩いていく。

その腰についたラジオの音が、すれちがう男の耳にとどく。

ー 4月1日、午前6:55になりました。本日の天気をお知らせします。

巣鴨は、エイリアンが降るでしょう ー


すれ違う4人の男。1人は気にせず歩き、1人は振り返り、1人は小首を傾げて立ち止まり、1人はよく聞かせなさい、と近寄っていく。


4月1日 午後1時。

「束田、きみ、クビね」

「え……あ、そうですか……そうですよね」

 束田たまよは、その日、4年勤めた会社を、クビになった。


「田山、やめてくれ」

「は?」

 田山寅次郎は、転職初日に、仕事を失った。


「中田、すまないが、明日からもう来なくていい」

「……ぐすっ はい」

 中田銀二は、泣きながら、退職通知勧告を受け取った。


「Dr.シュニ!!! きみはクビだ!!」

「失礼ながら、私の責任に帰すべき事由なく、退職勧告をするのは、違法になる可能性がーー」

「いますぐここから消えろ!」

 普段、絶対に怒らない男をキレさせたミスター・シュニーブリテン・テオドルモは、荷物を持って、大学を去った。


この日、4人の男が、職を失い。

巣鴨に降り立ったエイリアンに襲われた。


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