400字。

cs放送

『有象無象』『連帯責任』

 四百字。長いようで短い。ああほら、もう二十字だ。

 これをあと二十回続ければ終わってしまう、そんな世界。

 そんな世界で私は、何を見せることが出来るだろうか。


―――

『有象無象』


 私、十三歳の少女。趣味は多分、散歩。今

日は道路を歩いている。とても爽やかな気持

ちだ。道路の真ん中を歩くという『ちょっぴ

り悪行』をしているのが、これまたいい。た

だ、今私にとってそれは悪行じゃない。なに

か物足りない。

 ライトに有象無象が集まる。虫だ。何の虫

だろう。とは思ったが、手を伸ばしはしない。

きっと、引き込まれてしまうから。

 光を避けて歩く。ああ、なんというか、朝

になるのが怖い。散歩できなくなっちゃうか

ら、怖い。そんな事を考えていると、思い出

の場所についた。


 昨日、ここで轢かれた。


 私は死んだ。ただ、成仏できてないわけで

はない。そもそも、死人は天国や地獄には行

かないから。

 ただ延々と、彷徨い続けるのだ。

―――


 …いや、なにか足りない。

 そうか、虫だ。虫に意味がない。あと朝のくだりとかも。

 でも、意味がないものを意味があるものとして楽しむのも、楽しみ方の一つか。

 でもなんか、満足できない。

 もう一つ作ってみる。


―――

『連帯責任』


 あるところに魔術師がいた。

 魔術師は正体を明かそうとしなかった。

 そんな魔術師にある男は「あなたは一体誰

なのですか」と聞いた。魔術師は、

「あなたは『人間とは何なのか』と聞かれて、

何なのか説明できますか?つまり魔術師とは、

一種の生物みたいなものですよ。」と答えた。

 男は更にもう一つの疑問が浮かんだ。

「ならば貴方は、人間ではないのですか?」

「まさか、人間ですよ。」

 男は訳がわからなくなった。 

「では、魔術師はただの役職…ですか?」

「いや、それも間違ってます。魔術師は魔術

師。そういうものです。」

 男はますます訳がわからなくなった。

「魔術師というのは呪いです。なので正体を

明かさず、死ぬまで生きるのが努め。私は魔

術師という、呪いに包まれた人間です。」

 なのでまあ、連帯責任です。

 その日から、男は行方不明になったとか。

―――


 バッドエンドにはしてみた。

 けどなんか、ミスリードがないよなあ。

 美しくない。

 でもまあ、こんなところか。


 もう一つ考えようとしたが、あまりにもやる気と筆の進みが酷かったので、私は執筆を止め、寝ることとした。

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