第52話 アニコス、そしてパフェ


 本当にかわいい。

 元々スタイルがいいキャラだけにとても似合っている。何度か前かがみになったり変身の時や必殺技のポーズをまねしている。胸元を寄せてきてこっちに見せつけているのが一目でわかる。


「すき焼きにはオレンジを入れるといいのじゃ! 焼肉は全てレモンなのじゃ!!」


「よく知ってるね」


 魔法少女「マジカル・オレンジ」のキャラ、蜜柑田・陽菜ちゃんのセリフ。どんな食べ物にも柑橘系の味を入れてくる通称「シトラスハラスメント」が有名なんだっけ。相当見てたな。


「じゃあ次行ってみるのじゃ」


 それから次の服装。今度は、それか──。


「対妖忍──どうじゃ?」



 黒を基調とした、和風かつまるで忍者のような格好。これは、18禁ゲームのキャラクターだ。

 セクシーでスタイルのいい女忍者が、悪のお代官様を秘密裏に裁くエッチなゲーム。


 忍者なのに、時折セクシーなシーンが流れるのが有名なんだっけ。俺はやらないけど。



 なお、その後エッチな薬を飲まされ「無限絶頂の刑」に処されるらしい。なんでも感度1000倍にされて絶頂するとか。

 しかもその絶頂シーンが色々なルートにそれぞれ設定されていてその姿がネタにされて、ネットでは何かと話題になっている。


「くっ! わらわはこれしきでは感じないのじゃ。ビクンビクン。くっ、体が勝手に!!」


「自分で効果音言うのかよ……」



 苦笑いしながら突っ込む。ノリノリでセクシーポーズをとるネフィリム。こいつ、ゲームの方もやりこんだのか?


 

 それから、今度はゴスロリメイド服。お前がメイドかよ……。

 白と黒を基調としていて、なぜか胸元が見えてしまっている。大きくて形がいい。ついつい視線が吸い寄せられてしまう。体つきは、本当にいいんだよなこいつ。グラビアアイドルとか普通に出来そうなくらい。

 そして、俺の正面に立ってから礼儀正しくお辞儀をしてくる。


「お帰りなさいませご主人様なのじゃ~~」



「え、えーと」


「どうじゃ?」


「うん、とってもかわいくて似合ってるよ」


 メイド服。うん──これも似合ってる。後、わざと胸元を見せつけているだろ。キャラクターへのなりきりも上手い。魔法使いなら魔法使いメイドならメイドのキャラクターになり切っている。多分、何を着ても似合うんだろうな。


 他にも、女子高生2人が色々なパロディーを行う「モクテ・ミミック」。

 鉄血のフリージロの「オル子ママ」。

 日常×暗殺者アニメ「ミルキーレイベー」のターニャなどいろいろなコスプレを楽しんだ。



 店を出たころにはすっかり16時くらい。ちなみに、本当に気に入ったコスプレの服を2着ほど買ったとか。


 メイド服と柑橘系魔法少女の服。着てみて、仲間たちに見せつけたいと豪語していた。

 魔王だった奴がメイド服を着たらみんな驚いてしまいそうだ。


「はしゃいでたら疲れてしまったのじゃ」


「そうだね、ちょっとお茶でもしようか。美味しい店調べておいたよ」


「いいのじゃ。教えて欲しいのじゃ」



 ネフィリムは色々と服を着て、こっちはネフィリムのことを気を使ったおかげで俺もネフィリムも気疲れしてしまった。という事で、おしゃれなカフェを見つけて一休憩。


 店に入った瞬間、スイーツの甘いにおいが充満している。ここにいるだけでお腹が空いてくるくらいだ。そして2階の渋谷の街の景色が見える窓側の席に座る。


 俺はカフェオレとショートケーキ、ネフィリムはアイスティーとクリームたっぷりパフェを注文。


 疲れていたので、あまり会話が進まない。買った服のことを話して数分で、頼んだものがやってくる。


「すごいパフェなのじゃ。クリームたっぷりに、カラフルなチョコ。甘くて美味しいのじゃ」



 出されたパフェを見るなり驚くネフィリム。

 大きな容器の中に、コーンフレーク、てんこ盛りの生クリームと輪切りにされたバナナ。生クリームにはカラフルスプレーのチョコがいっぱい。パフェの方も、かなり美味しそう。


 ショートケーキも、クリームやイチゴが市販で買っている物よりボリュームがある。

 そういえば、カラーのついたカラフルなチョコはあっちの世界にはなかったっけ。ショートケーキも大きくて豪華そうな形をしている。どっちも普通に売っている物よりも高かったけど、豪華そうな外見で味も美味しい。


 この店にしてよかった。美味しくケーキとパフェを頂く。

 半分ほど食べ終わる。さっきから会話が弾まないな。


 そういえば、ネフィリムのことで気になっていたことがあったな。ちょっと聞いてみるか。

 パフェを置いて、アイスティーを飲んでいるネフィリムに話しかける。



「そういえばさ、仲間だった人達はどうしたの?」


「そうじゃな。時折交流はとっておる。困ったこととかも聞いておかなければおかないからな」


「そうなんだ。みんな、元気にやってる?」


「そうみたいなのじゃ。困ったことがあったら、わらわが聞いているから心配ないのじゃ」


 その言葉にどこかほっとした。

 それなら大丈夫そう。戦いが終わった後も部下を気にかけていて面倒見がいいのがネフィリムらしい。そして、ネフィリムは残りのパフェを美味しそうに食べる。


「とっても美味しいのじゃ!」


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