第30話 つづきから はじめる



 そして、俺とネフィリムは同時にダンジョンに入っていった。

 さっきの続きからのスタートとなるみたい。


 ちなみにダンジョンに入る前に、こんな画面が現れたんだけど……。


 さいしょから はじめる

 つづきから はじめる

 せっていをかえる


 ……とりあえず先に進まなきゃ。

 つづきからはじめる を選択。目の前が真っ白になり、しばらくすると以前助けた村へと移動していた。


“昔のゲームかよ”

“変にレトロ要素あるよな”

“ただ腹が立つだけじゃなくて、ネタになってるのが草”


 コメント通り、いきなり変な画面になった。これから先が思いやられる。


 最初の村へと再び戻る。


 どこか安っぽい作りの、人気の少ない小さな村。



「とりあえず、璃緒を探そうか」


 璃緒は、すでにこっちに来たと言っていた。どこにいるのか周囲を確認。すぐに場所がわかった。

 大きな家屋の前で体育すわりをしている。とりあえず話しかけないと。


「ごめん、待った?」


「あ、からすみさん


「じゃあ、よろしくお願いしますね」


 隣りにはすでに、璃緒の姿。視線が合うなり、礼儀正しく頭を下げてきた。

 お辞儀をする素振りも、とても丁寧だな。


 流石はお嬢様。こんな人と、釣り合いが取れるのかな俺。


 コメントは──予想以上の物だった。


“背後にいるの璃緒ちゃん?”“

“璃緒ちゃん?? 同姓同名じゃなくてあのNo1の?”

“マジかよ。先日助けたあの?”

“くそう、ネフィリムの手籠めにしたと思ったら今度は璃緒ちゃんかよ。まさにハーレムだな”

“夜は3Pか”

“もう寝たのか? お愉しみはこれからなのか?”


 こんなコメントが何千という数で見えないくらいの速さで流れてくる。

 とりあえず、やんわりと事実を報告しよう。


「えーと、その。コラボ動画の告知です。いきなりですが、しばらくの間エンシェントロマンの璃緒さんとともに行動することになりました。足を引っ張らないように頑張ります」


 それからのコメントは──もうすごいものだった。まとめて言うと「出世したな」とか「ハーレム野郎」とかそんな感じ。うらやましがられてるのか、からかってるのか。いずれにせよ、誰もコメントしてくれなくて無視されるよりかはましだ。


 とてもプレッシャーだけど、2人とうまくいくように努力しないと──。期待にこたえられるような配信者になりたい。

 一歩璃緒も、告知を始めたようだ。カメラの前で、にっこりと営業スマイル。そして俺の隣に立って手を振ってきた。



「皆さんに報告があります。先日のダンジョンで、負傷したみんなですが、しばらく負傷離脱することになりました」


 突然の事態なのに、何一つ不自由なく接している。流石は璃緒だ。スラスラと、自然な笑顔を見せながら視聴者に向けて話しているのだ。すごい、俺もあんな風になれたら、羨ましいな……。


“Yでも言ってたな。早く治るといいね”

“ダンジョンの戦いだもんね、首を長くして待ってるよ”

“からすみ君となんだ。助けてもらったお礼ってことかな? 頑張って!!”


「それで、今日からしばらくなんですがその時助けてもらったからすみさん。からすみさんと一緒に行動することになったネフィリムさんと行動することになりました」


「美人な璃緒と一緒なのじゃ。よろしくなのじゃ!」


 そして、璃緒の隣にこれまたにっこりとした笑顔で画面の前で両手で手を振った。

 こっちも周囲にいい顔をするのに慣れているのだろう。にっこりとした笑顔で両手を振る。


“かわいいな! この前の魔王様だろ”

“一緒になったんだ。裏切りとか注意してね”

“ネフィリムだっけ? 前から思ってたけど、彼女のかわいいよね。配信者とかやったら絶対人気出るとは思ってた”


 最初は敵同士だから大丈夫かなとは思ったが、大丈夫そうだ。考えたら、璃緒はそれを知っていてコラボを組んでいたし、ネフィリムだって、あの異世界での戦いを最後まで戦ったのだ。


 それぞれが生き残りをかけて戦っている中で、敵味方が入れ替わることも多々あった。考えてみればそれをネフィリムが知らないはずがないし、味方になると決めたら普通に接せるのだろう。


「こっちこそよろしくお願いします」


「一緒にセラフィールを倒すのじゃ!」


 そう言って、カメラの前で2人は握手した。大丈夫だ。ネフィリムに立っては、璃緒よりも癖が強くて裏切りを繰り返したり犯罪を犯しまくってたやつだってうまくやってた。問題はないだろう。

 初めての連係プレー、色々想定外のことがあるかもしれないけどしっかりと対応していきたい。


掛け声をかけたのはいいが、モンスターはないから狩りはできないし何をすればいいかわからない。


「とりあえず、村人に話しかければ何かわかるんじゃないですか?」


「そうだね」


璃緒の言葉に、俺はコクリとうなづく。それなら、まずは設定上の実家がいいだろうか。


「あのヒュドラたちは、北の方から来みたいじゃ。からすまとネフィリムとエンシェントロマン達ならできる。信じておるぞ」



「北へ行けばいいという事か?」


「あのヒュドラたちは、北の方から来みたいじゃ。からすまとネフィリムとエンシェントロマン達ならできる。信じておるぞ」


☆   ☆   ☆


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