第17話 目を付けられる3人

 3人の連携でグルーズにダメージを与えた。それによって、地に倒れている当のグルーズはピクリとも動かなさそうであった。


「はぁ、はぁ……!た、倒した、のか?」


「さぁな……。だがもう立たないで欲しいぜ。」


「俺も、流石に倒れてて欲しい、かな。」


 3人が口々にそういう中、グルーズの指がピクリと動き、グルーズはゆっくりと起き上がったのだ。


「おいおい、勘弁してくれよ……!タフにも程があるぞ!?」


「やってくれたなぁ、おい。肋骨4〜5本は折ったし、全身バキバキだぞこれは。」


「だったら痛そうにしろよ……。」


「だがまぁ、おかげでやる気にはなったぜ?ここからは俺が『ピリリリッ!!ピリリリッ!!』あっ?」


 グルーズは懐から音のなる水晶を取り出すと、それを見て渋い顔をする。


「んだよおい、シュラの奴から呼び出しかよ!……今日はここまでだ、お前ら。」


「「「はぁ!?」」」


「面倒臭いが、メンバーから呼び出し食らっちまったから帰らなきゃならねぇ。まぁ、また殺り合う事が合ったら容赦はしないがなっ!!がははっ!!その時までに精々強くなってろよ!!!」


 グルーズは背中に翼を生やして空に舞うと、何処かへと飛び去って行き、それを見たブライ達はその場にへたり込むのであった。


「はぁ、た、助かった。」


「本物の化け物だったな、あいつ。」


「“帝国”にはまだあんなのがいるのか?」


「……なぁ、ホムラ、ソウガ。」


「「あ/ん?」」


「強くなろう……。」


 ブライの言葉に2人は頷き、3人は一時的に脅威が去ったことに胸を撫で下ろすのであった……。


◆◆◆


 その頃、ドメニア帝国へと戻ったグルーズは“四天”と“凶王”の待つ広間へと入ってきた。


「よぉ、またせたな!!」


「遅いわ馬鹿。どこで油を売ってた。」


「いやぁ、わるいわるい。ちょっととやり合ってなぁ。おかげで、ボロボロ、だぜ。」どしっ!!


「「「!」」」


「ほう?グルーズ、お前に傷を付ける奴が居たか。どれほどの者だ?」


「竜人と炎を扱う鳥人、それに氷狼族のガキだ。今のところはまぁまぁだが成長すれば、俺等に並ぶかもな。」


「ほう?」


「何故それ程の存在を仕留めて来なかった?脅威になるかもしれないのなら尚更!」


「シルヴィアちゃんよぉ、俺等と張り合える存在がいるんだぜ?そういうのが居てこそ潤いのある人生になる、そうは思わねぇか?」


「野蛮人が……!!「シルヴィア。」っ!陛下!」


 シルヴィアが剣を抜こうとした時、凶王がそれを止める。


「怒るのも分かるが、グルーズの言うことも分かる。今回は剣を収めろ。」


「……はっ。」


「しかし、稀少種の氷狼族と炎を扱う鳥人だけでも珍しいのに、竜人かぁ。中々面白そうじゃないか。まぁ頭の片隅に置いておくとしよう。」


 そう言うと、凶王は楽しげに笑うのであった……。

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