第113話 受験開始
試験における一般的な注意事項の説明の後、テストが配られる。
最初の科目は『言語』だ。
「用紙は行き渡りましたか? 鐘が鳴ったら開始してください。次に鐘が鳴ったら用紙を裏返して置いてください。早く終わった方は途中で退出しても構いません」
キーンコーンカーンコーン
「始めてください。最初に名前を書くのを忘れずに」
ババッ カリカリカリカリ‥‥‥
皆が一斉に用紙を裏返した音の後、会場は筆記音のみが響く。
問題は‥‥‥難しくはないな。問題集のお陰だな。
時間をかなり余らせて解き終わる。全て埋めたし見直しをしても答えとして迷う箇所もない。
退出して次の科目の準備をするか。
手を挙げて退出する旨を伝える。早すぎるのではないか、再入場は出来ない事も注意されたが問題ないので退出させてもらった。
声はしないがザワっとした雰囲気になった。しまった、目立ってしまったか。
若干後悔しつつ退出する。
廊下に出ると誰もいなかった。それはそうだ。
次の科目の教本を開き確認をする。すると別の教室から女性が二人出てきた。
エリーゼ様と‥‥‥どこかで見覚えのある人。
小声で話しかける。
「エリーゼ様、終わったんですね」
「エドガー様もさすがお早いですわね。私は次の科目の方が不得意ですもの。今のうちに復習しておくのですわ」
「貴方、エドガーくん?」
「!? 王女様?」
声を聞いて思い出した、あっぶねぇ‥‥‥。
王様に呼ばれた時に会ったマリア王女殿下だ。良かった、ギリ思い出して。
「その言い方はやめてって言ったのに!」
「しーっ! 声が大きいですよ」
見回りの先生?に見られたが何も言われなかった。
とりあえずもう少し声の出せる所に移動する。
「ここなら話してもいいでしょう」
「エドガーくんも受験してたのね!」
「エドガー‥‥‥くん? マリア、ずいぶん親しいんじゃない?」
「エリーゼ様、王女殿下とお知り合いなのですか?」
「その言い方やめてってば!! もう!」
「マリアは私の『はとこ』ですわ」
はとこ‥‥‥と言う事はそれぞれのご両親のどちらかが従兄弟同士ということか。まぁ親戚という事だ。
「それよりもエドガー様? マリアとずいぶんと親しげですわね?」
エリーゼ様、なんか普段の声のトーンと違うぞ? 怒ってる?
「叙爵された時にお会いしまして」
「別に何もないわよ、少し話を聞いただけ。エリーゼはなんで怒ってるの?」
「べ、別に怒ってなんかないですわ! そうそう、次の科目の復習をしないといけませんわ!」
「あ、そうね。ワタシも苦手なのよ、算術‥‥‥」
俺も復習しよ‥‥‥。
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