第74話 衛生レベルアップ②
今度は大人たちを集めた。
「お集まりいただいてありがとうございます。これから領都で流行っている病気の対策についてお話しします」
以前のモンスター襲撃の件があってからはみんなこういう会合には協力的に参加してくれている。実績って大事だな。
「お子さんのいるご家庭では石鹸の事はご存知だと思いますが、改めて説明させていただきます」
子供にした内容とそう大きくは変わらない説明をした。
あとはもう一点話さないとな。
「皆さん、農作業で埃っぽい作業の時に口と鼻を覆う布をつけると思いますが。それも流行り病に有効なんです。しばらくの間外出した際には付けていただけますか?」
「まぁエドガー様がいうなら‥‥‥」
「面倒なのは面倒だけどな」
嫌々でも付けてくれれば効果はある。だからもうちょっと付けるのが楽しくなるような工夫を‥‥‥。
「その覆い布は仮に『マスク』と呼ぶことにします。期間内にマスク品評会を行います。それぞれマスクをいろいろデザインして作って付けてください。皆さんの投票で選ばれたマスクの方には賞品をプレゼントします!」
「「「おぉ!?」」」
「賞品ってなんだべ!?」
「出来立てのオリザ酒一樽でどうでしょう!?」
「!! 乗った!! わしゃやるぞ!!」
「アタシもー!」
「うんうん!!」
ドワーフ三人衆、居たのか‥‥‥。
「私も参加します!」
「オレもだ!」
酒造りの二人もだ。あの二人は酒造りの時も普段からしてるしな。
「オリザ酒、飲んだ事はないが‥‥‥」
「ドワーフとあの二人が参加するというとよほど美味い酒なのか?」
ざわざわと村民が騒ぎ始める。
「俺もやる!」
「私も!」
「オラもやるぞ!!」
村民のほとんどが参加してくれる事になった。
ゾロゾロと帰っていく村民を見送る。
あ、しまった。
あの二人に大事な事頼むの忘れてた。
「ブルーさん、ブランさん、少し頼みたい事が」
「ん?」
「なんでしょう?」
二人にはワイン、ビール、オリザ酒の絞りかすから残っているアルコールを抽出、蒸留して消毒用アルコールを作ってくれるように頼んだ。
いわゆる粕取りだ。捨ててしまう部分から使えるものを作ろうという勿体無い精神だ。
せっかく作った酒からわざわざ消毒用のアルコールを作るのも勿体無いし。
「確かに蒸留した後の残りにもまだ酒精は残っていますからね、二人でやってみますよ」
「良かった、よろしくお願いします!」
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